日本共産党水戸市議団の土田記代美です。通告に従って一般質問を行います。

はじめに、新市民会館整備計画について伺います。
1つは、これまで何度も指摘しておりますが、立地と規模の問題です。臨時議会でも指摘しましたが、現計画の新しい市民会館では、吹奏楽の全国コンクールなどはとても出来ないと考えますが、その点について答弁を求めます。
ご存じの通り、水戸市は吹奏楽が盛んであり、様々な学校で、多くの子どもたちが一生懸命、練習に励んでいます。私も、水戸五中、水戸一高と、当時、とても吹奏楽の強かった学校の出身です。吹奏楽部の友人も多く、現在、吹奏楽部の顧問をやっている同級生もおり、この間、詳しく話を聞きました。搬入口に、最低でも4台のトラックやバスがつけられること、15分おきの楽器の入れ替えで、一日中まるで戦場のような目まぐるしさだということ、全国から連なってくるバス・トラックの数など、具体的な状況を聞けば、駐車スペースの問題、50号の渋滞問題は、会館としては致命的なものです。一体、どうするつもりなのか、明確にお答えください。新市民会館で全国コンクールが出来るといいながら、実際には出来なかったなどと、吹奏楽をやっている子どもたちの夢を壊すような、現実味のない謳い文句は許されないことです。

次に、多目的ホールについて伺います。
2000席の大ホールが、無用の長物になりかねないと再三指摘してきましたが、私は、500名の多目的ホールについても、同様の危惧を持っております。
活用される文化施設は、利用目的にあった設備仕様が重要であり、文化・芸術活動に携わる専門家の間では、「多目的は無目的」という言葉もあるほど、このような、なんにでも使える多目的ホールは、あまり重視されない、使いたくないホールなのです。
演劇なら演劇に適したホール、音楽なら音楽に適したホールで、いいものを作りたいというのが表現者の本音であり、多目的ホールというのは、経済界や建築業界の発想です。ザンネンながら、ホールの文化的価値を無視したものと考えます。
いいホールをつくるために、実際に、水戸市でどんな文化を伸ばしたいのか、何に使いたいのかを原点にして考える議論が必要ですが、いかがですか。大ホールも同様ですが、演者にとっても観客にとっても価値の高い、質のよいホールでなければ、これからの時代は、選ばれるホールにはなりません。
さらに、多目的ホールの可動席は、メンテナンスや維持費が余計にかかってしまいます。先日、視察した尼崎市アルカイックホールでは、「ちいさい多目的ホールが大ホールよりも割高になるために稼働率が低く、金食い虫になっている。建て替えられるものなら、今度は、絶対固定席にしたい」という話も聞いてきました。2000席の大ホールが無用の長物になるだけではなく、多目的ホールも、文化的役割、目的をきちんと精査して設計しなければ、無用の金食い虫になってしまいます。有効に活用され、水戸市の文化を発展させる市民会館にするために、立ちどまって計画を精査すべきではないでしょうか。

3点目は、泉町の活性化についてです。
ホール施設の特性を考えれば、周辺の活性化が望めないことは、誰にでもわかることです。公演日に、ホールに大勢の人がやってきても、開演時間に、一気に施設に入り、終わると一斉に帰っていく施設です。人間は、密閉された空間で座席に座って2時間なり集中して舞台を見れば、とりあえず駅まで…とか、まっすぐうちへ…と、帰りたくなるものです。ついでに買い物しようとか、出てすぐにごはんを食べよう、お茶でもしようという気には、なかなかなりません。ですから、大きな劇場周辺が賑わっているところなど、どこをみてもありません。都内でも、海外でもそうです。そういう特性のある施設なのです。
賑わっているところがあるとすれば、元々雑多な繁華街につくられた小劇場やライブハウスだけであり、これは、劇場施設がつくった賑わいではありません。
例えば、百貨店の中に入っている三越劇場などでも、観劇後にゆっくり買い物をしていく人はあまりいないそうです。演目によって途中休憩があれば、同じ階でお茶をする位のことです。それもある程度長い休憩時間でなければ、お客さんはお手洗いにだけ行ってロビーで過ごしてしまいます。演劇界では、バブル崩壊後、黒字で動かせているのは、自前の劇場でやっている歌舞伎と宝塚歌劇だけだと言われてきました。歌舞伎座でも、お客さんは飲食も土産物も、中で済ませてしまいますから、周辺のお店は賑わいません。
さらに、公演がなければ人が来ないのが劇場施設であり、一年中公演がある宝塚大劇場でも、月に何度かの休演日には、周辺一帯まで本当に閑散としてしまいます。
劇場施設で、まちの賑わいをつくるという考えは、まったく現実を無視した幻想です。
そもそも劇場施設というのは、まちの賑わいをつくる施設ではなく、芸術と文化をつくる施設であって、目的から根本的にズレているのです。
現実に、施設の周辺に賑わいをつくることが出来るのは、不特定な時間に不特定な人が出入りをする博物館や美術館、図書館などの施設や、多くの人が行き来する公園やアミューズメント施設です。そういう施設でまちの活性化というならまだわかりますが、泉町の真ん中に、どれだけ需要があるかもわからない、年に何度かしか使われないかもしれない大きな市民会館をつくってしまえば、それこそイベントがなければ、大きな建物とのその周囲はひっそりとしてしまい、一段とさびしいまちになってしまいます。
まちなかの賑わいづくりに、まるで逆行する計画であると考えますがいかがですか。
本当にまちの活性化を考えるなら、まったく違う視点が必要であり、なにより巨大市民会館はありえない選択です。後々まで市民にふりかかる負の遺産をつくってしまう前に、計画を根本から見直すべきではないか伺います。
市民が求めているのは、使いやすい市民のための市民会館であり、長く愛される文化施設です。真摯に受け止め、計画を見直すことを強く求めてこの質問を終わります。

答弁≪市民協働部長≫

土田議員の一般質問のうち,新市民会館整備計画についてお答えをいたします。
初めに,立地と規模につきましては,泉町1丁目南地区と南北一体で拠点整備が可能であることや,中心市街地の賑わいを取り戻し,まちの活性化を図ること,さらには,水戸芸術館の隣接地である立地特性を活かし,芸術文化の拠点形成により,2つの施設の相乗効果が期待でき,水戸ならではの特色ある魅力発信が可能であることから,泉町1丁目北地区に決定したものであります。
吹奏楽コンクール等の開催につきましては,茨城県吹奏楽連盟へのヒアリングを行った際に,整備計画地において開催可能であるとの御意見もいただいております。
次に,多目的ホールにつきましては,新市民会館では,500席程度で客席を収納して平土間としても使える「多機能ホール」を整備してまいります。
この多機能ホールの利用イメージについては,市民の創作活動の発表会をはじめ,生涯学習の講座,展示会,芸能発表会,研修会,講演会,総会,式典のほか,ピアノ発表会や学校の演劇発表会など,旧市民会館でも行われてきた様々な事業の展開が考えられます。
また,客席を収納し,平土間になることから,ダンス大会,企業説明会,レセプション会場など,幅広い用途に利用することが可能となります。
次に,泉町の活性化につきましては,新市民会館には,展示やミニコンサート等もでき,誰でも立ち寄ってくつろげる憩いの場としての公共空間や近隣の学生が学習,交流等で使用できるスペースなどを整備することから,ホールでのイベントがない時でも,日常的なにぎわいが生まれるものと考えております。
新市民会館につきましては,多くの方々に愛され,親しまれる施設整備を進めるとともに,全国から多くの方々に「また来たい」,「また開催したい」と思っていただけるような,「おもてなし」のサービスを積極的に展開することにより,にぎわいの創出や交流人口の増加による,まちの活性化と魅力あふれる成熟したまちの実現を目指してまいります。