次に原子力行政について伺います。

(ア)まず東海第二原発につきましては、市長は、実効性ある避難計画ができない限りは再稼働の議論はしないとおっしゃってきましたが、そもそも実効性ある避難計画は策定不可能と考えます。水戸市では私が初めて議会に入った8年前にはすでに作り始めており、今もずっと作り続けています。しかしいまだに完成の見通しもたちません。8年以上かけてできない計画がこれから出来るとは思えませんし、現実的に全ての市民を安全に避難させることは不可能です。市民をまもる最善の安全策は、できない避難計画を作り続けることではなく、避難計画が必要なくなるよう、原電に対しきっぱりと再稼働の断念、廃炉をもとめることだと思います。

また、東海第二原発の敷地内で、度々火災や事故を起こし、安全管理のずさんさが目にあまる原電ですが、この間もまたコインランドリーから火が出るという火災がありました。照明器具やコインランドリーなど日常的な機器の安全も確保できない会社が、なぜ原子炉だけは安全で事故を起こさないと言えるのか、はなはだ疑問です。高橋市長にはぜひとも、国や原電のいいなりでNOと言えない茨城県にさきがけて、県都水戸からきっぱりと再稼働反対の表明をしていただきたいと思います。原電は、国の後押しで運転期間も60年を超えて伸ばせるとされ、再稼働に向け着々と準備を進めています。市長が、郷土と市民の安全をまもるべくNOをつきつける決断に早すぎることはないと思いますがいかがでしょうか。ご答弁願います。

次に、岸田首相が、これまでの約束を反故にして、福島第一原発のトリチウムの残る処理水の海洋放出を始めたことに対し、怒りと直ちに放出中止をもとめる声が国内外にひろがっています。そもそも海に流しても安全だというのなら、流す前に海洋水で薄める必要も、わざわざトンネルを作って1キロ先に流す必要もないのではないでしょうか。地上保管の場所を増やしたり、新たな保管方法を探求する善後策を放棄し、安易な海洋放出に舵をきったものと考えます。

私は、今回の海洋放出については、政治家として市民生活をまもるのみならず、地球環境や子どもたちの未来のためにもきっぱりと中止させるべきと考えますが、高橋市長のお考えをおきかせください。

答弁:市長

次に東海第二原発に関する御質問にお答えいたします。

広域避難計画の策定につきましては,「感染症対策の強化として避難所の面積確保の目安をこれまでの1人当たり2平方メートルから3平方メートルに変更すること」について,県内外の避難先自治体への説明が完了したところでございます。現在,当該変更に伴い水戸市民の受入れ施設の不足がどれだけ生じるかについて確認を行っているところであり,確認が完了次第,茨城県との連携のもと,追加の避難施設の確保に取り組んでまいります。

私は,使用済み核燃料が現存するなど東海第二発電所に災害リスクがある以上,再稼働する,しないに関わらず,市民27万人の生命と財産を守ることを最優先に考えて,広域避難計画の策定に取り組む必要があると認識しており,引き続き,国や県と連携を図りながら,避難車両の確保や要配慮者の対応をはじめ,安定ヨウ素剤の配布方法,人員体制の強化など,各種課題に対し一つ一つ丁寧に実効性のある対応策を積み上げてまいります。

次に,日本原電の施設管理に関する御質問についてでございますが,東海第二発電所の敷地内においては,昨年度に計3件の火災が発生しているほか,本年度においても既に1件の火災が発生しております。私は,安全を最優先に取り組むべき原子力施設において火災が立て続けに発生したことは,地域住民の安心した生活を脅かすものであり,大変遺憾に思うとともに,日本原電に対し管理体制の見直しと再発防止に早急に取り組むよう,厳重に注意したところでございます。

今後とも,日本原電に対し,適正な施設管理を行うよう強く求めるとともに,本市においても定期的に実施している立ち入り調査等を通して,施設の管理体制等を厳しく監視してまいります。

東海第二発電所の再稼働につきましては,施設の万全の安全対策が完了していることはもちろんのこと,実効性のある広域避難計画が策定できない限りはあり得ないと考えてございます。あわせて,市民意向調査の実施等により,多くの市民の皆様の声を十分に聞いた上で,時期に捉われることなく再稼働の是非について判断してまいります。

次に,ALPS処理水に係る御質問についてお答えをいたします。

国においては,先月24日,福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を開始いたしました。

このことに対する私の所感でございますが,何よりも,第一に申し上げておきたいことは,「私は処理水が安全であることについて,一点の疑念も抱いていない」ということでございます。

国は,処理水の海洋放出に当たり,6年以上にわたる専門家による検討に加え,その後の2年間において,万全の安全の確保と風評対策の徹底に取り組んだ上で放出を決定しております。

また,処理水が安全であることは,国際原子力機関IAEAが,科学的な分析や検証に基づき本年7月に公表した報告書において,「処理水の海洋放出は国際安全基準に合致している」と結論付けたことからも明らかでございます。

東京電力からも,これまでも数度にわたり,処理水の安全性に関して科学的な根拠に基づく説明を受けておりますし,先月の25日,海洋放出の翌日においても,改めて,放出の報告とともに,安全性や今後の方針等について説明を受けてございます。

その中において,処理前の段階で含まれている「トリチウム以外の放射性物質」については,水中濃度が国の基準を満たすまでALPSで浄化処理を行うこと,またALPSで浄化処理を行うことのできないトリチウムにつきましては,国の基準を大きく下回るよう,十分な海水で希釈した上で放出することを確認しております。

また,今後,国と東京電力との連携のもと,全ての処理水の放出が完了するまで,放射性物質のモニタリングを実施していくことも確認してございます。

くり返しになりますが,私は,処理水の海洋放出が安全であると強く認識しております。そして,国内外の皆様に対して,これまで通り,いや,これまで以上に福島県や茨城県の食品,観光を楽しんでいただきたいと思っております。

そのためにも,国や東京電力においては,住民の皆様に対して海洋放出の安全性について,今後ともしっかりと説明を行い,不安の払拭と風評被害の未然防止に取り組むとともに,風評被害が生じた際には,業種に捉われることなく,速やかに事業者に寄り添った対応をしていただきたいと考えてございます。

また,私ども県内自治体におきましても,先月24日,私が会長を務めます「茨城県市長会」において,茨城県に対して「風評対策や事業者への支援」等について要望を行うことを決定したところでございます。

今後とも,茨城県をはじめ,県内自治体が一体となって「処理水が当然に安全であることの周知徹底」に取り組んでまいります。