次に東海第二原発について伺います。
ア)まず、大きな地震が少ないといわれていた石川県、能登半島で甚大な地震が起きたことからも、今、日本はいつどこで大きな地震が発生するかわかりません。原発の耐震性は大変重要なことと考えます。耐震性を示す数値として基準地震動の値があります。原子力施設の設計の際に想定する最大の地震による地面の揺れを地震動といい、基準地震動は、原子力施設の敷地周辺の地質や地震工学的観点などから、事業期間中に発生しうる最大の揺れの値を指します。
東海第二原発は、46年前の建設当時、基準地震動は270ガルで設計されていました。
ところが東日本大震災3・11の時には600ガルにアップしており、さらに、震災後の現在の基準では1009ガルとなっています。簡単にいえば、1009ガルの地震までは耐えうるということですが、元々270ガルの設計で作った原発が、なにをどうすれば、あとから2倍、3倍以上にも耐震性があがるのでしょうか。特に東海第二原発は、原子炉も原子炉建屋も建設当時のまま何も変わっていない老朽原発です。さらにその配管や配電設備、電源ケーブルなども古いままです。施設や設備が老朽化すれば耐震性は下がるのではないか、と、普通は考えますが、なんと東海第二原発の耐震性は爆あがりしているのです。なぜそれが可能なのか、理解に苦しむところですが、市長はどう説明され、どう理解されますか。
さらに、その爆上がりした1009ガルを大きく超える地震が近年多発しておりまして、2016年の熊本地震は1740ガル、2018年の北海道胆振東部地震は1796ガルでした。日本では2000年以降だけでも1000ガル以上の地震が26回も起きており、とても安全な原発の立地場所などない国だと考えます。地震災害と原発事故のセットがどれほどの被害をもたらすか、私たちはもう知っています。事業者や規制委員会がいくら安全だといっても、市民にとってはなんの保証もない絵にかいた基準と考えますが、市長のご見解を伺います。
イ)次に、基礎部分のコンクリート未充填や露出した鉄筋の変形、さらには基礎の鉄筋やコンクリート籠が岩盤に届いていないなど、あまりにもずさんで深刻な原電の防潮堤工事の施工不良について伺います。高橋市長も5月27日に視察に行かれたとのことですが、現場の状況はどうだったでしょうか。例えば、当初発覚した南基礎ではすでに260日以上、のちに公表された北基礎にいたっては場所によって460日以上も鉄筋がむき出しの状態で、海のすぐそばで潮風に晒された鉄の腐食・劣化が苛烈であることは誰にでも想像できます。
原電は、これらを補修する、とか、腐食防止処理をする、とか、また、コンクリートが未充填となっている箇所の一部はコンクリートの補充ができないから追加の鉄筋を入れ込んで強度を高める、など、不良部分の補修と補強を行うだけで「必要な強度は有している」と報告し、工事計画自体は変えずにそのまま工事を進めるという姿勢です。市長は、現場をご覧になって、これで安全性や耐震性が確保されると思われましたか。
昨年9月6日、現場の工事関係者から日本共産党に内部告発があった際には、施工ミスの具体的な箇所や実態、そして「コンクリートの入ってない基礎は、腐食も早く基礎としての強度も保てない。その上に鋼製防護壁を20m以上の高さで組み上げたら早くに陥没したり、津波が来た際に防潮堤の役割が果たせるか疑問」と、技術者ならではの切迫した訴えが届いていました。ところが原電は、6月にはこれら施工不良を把握しながら4カ月もだんまりを続けていました。内部告発を受け送付した質問状にも一向に回答しないため、江尻県議と日本共産党議員団が10月16日に記者会見を設定したその日に、あわててHP上で公表したという経緯からも、内部告発がなければ隠し続けるつもりだったのではないか、本当に信頼に値しない事業者だと改めて強い憤りを覚えました。しかも、その際も、南基礎のコンクリート未充填と鉄筋の変形等のみを公表し、より深刻な、岩盤にまったく届かず鉄筋もコンクリートも高止まりしているという北基礎の不良については触れもしなかったのです。とにかくバレなければ少しでも隠し続けたいという不誠実な体質を露わにしたと、私は思っています。
ウ)度重なる不祥事に真摯に向き合うことも再発防止を徹底することもなく、できるだけ情報を隠しながら、ただ再稼働に向け突き進もうとする原電と、本市は、もはや信頼関係の構築など不可能ではないでしょうか。度々おきる敷地内の火災など日常の安全管理さえ徹底できない事業者です。万が一の事故が起きてからでは取り返しがつきません。市民の安心安全、郷土の未来をまもる、その一点からも、ぜひ高橋市長から、きっぱりと「東海第二原発の再稼働は認めない、廃炉をもとめる」との表明をしていただきたいと考えますがいかがでしょうか。
答弁:市長
次に東海第二原発に関する御質問にお答えいたします。
原子力発電所の安全対策につきましては,2011年に発生した福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ,従来の災害想定や施設の災害対策が大きく見直されることとなり,2013年に国は,設計基準の強化や原子炉の損傷防止対策等を盛り込んだ新規制基準を施行いたしました。
これまで阪神・淡路大震災の発生等を契機に変更されてきた「発電所の耐震評価に用いる基準地震動」につきましても,この新規制基準において厳しく見直されたところであり,東海第二発電所におきましては,2011年当時の600ガルから,最終的に1009ガルへと,耐震性の強化に向けて変更されたところであります。
国では,この新規制基準は,福島第一原子力発電所の事故の反省を踏まえ,国際的な知見も取り入れた世界でも極めて厳しい基準であるとしております。東海第二発電所につきましても,国において,この新規制基準に基づき,施設の安全性が科学的に確保されるよう,安全対策工事の完了まで責任を持って審査されるものであります。
本市におきましても,東海第二発電所が再稼働する,しないに関わらず,周辺住民の安全確保に向け,発電所の安全対策工事が万全に実施されるよう,今後とも厳しく監視してまいります。
あわせて,日本原電に対し,新規制基準に適合することで決して満足せず,国内外において新たな知見が示された場合等については,速やかにリスクを見直し,常により高いレベルの安全を目指し続けるよう,引き続き強く求めてまいります。
次に,防潮堤の施工不良についてお答えいたします。
先月27日に,私を含め,原子力所在地域首長懇談会構成6市村の首長において,東海第二発電所の現地視察を実施いたしました。
当日は,昨年発生した防潮堤の施工不良の現場を視察したほか,日本原電から,施工不良の原因や今後の対策,国との協議状況等について説明を受けたところであります。
現地視察を終えての私の所感といたしましては,何よりも市民が不安に思うことのないよう,しっかりと安全対策工事を進めていただきたいということであります。そのため,意見交換の場において,私から日本原電に対し,「今後,防潮堤の補強工事等を行う際は設計当初の強度を上回る施工とすること」,「本件も含めて,発電所の安全対策について住民への説明をしっかりと行うこと」の2点を強く要請いたしました。
これまで幾度となく申し上げてきましたが,原子力施設の安全を確保することは,事業者が最優先に取り組むべき事項であり,最低限の責務であると認識しております。引き続き,周辺自治体との連携を強化しながら,日本原電が市民目線に立ち,発電所の万全の安全対策に取り組むよう求めてまいります。
東海第二発電所の再稼働につきましては,施設の万全の安全対策が完了していることはもちろんのこと,実効性のある広域避難計画が策定できない限りはあり得ないものと考えております。
私は,市民の皆様の安全で安心できる暮らしを守っていくという使命がありますので,引き続き議会の御意見を踏まえるとともに,水戸市原子力防災対策会議における技術的,専門的な御意見や多くの市民の声を十分考慮しながら,最終的な判断を下してまいります。