日本共産党水戸市議団の土田記代美です。本定例会に提案されました議案及び報告49件のうち議案第3号、第5号、第6号、第13号、第14号、第16号、第17号、第20号、第23号、第25号、第26号、第29号、第33号、第36号、第37号、第38号、第40号、以上17件につきまして通告に従い只今から反対討論を行います。

(1)始めに議案第3号は、国の刑法等の改定にともない関係条例の整理を行うものですが、この刑法の改定については、罪状や歴史的背景により定められていた懲役刑と禁固刑の区別をなくし、拘禁刑を新設して一本化するもので、全ての受刑者に刑務作業と指導が義務付けられる、刑法典の刑罰体系を根本から変える重大なものであること、また、それが刑事施設長の裁量で行われることは厳罰化や人権侵害を招くおそれが懸念されることから、日本共産党は反対をいたしました。また、国連被拘禁者処遇最低基準規則は、受刑者に社会復帰のための処遇に能動的に参加する権利を保障すること、刑務当局には受刑者に対する適切な教育などの援助を義務付けており、本改定が現代の国際的な人権保障の流れにも逆行していると考えるもので賛成できません。

(2)次に、議案第5号は、こども誰でも通園制度に関わる議案ですが、私たちは子どもの安全の確保、そして保育の質の向上、保育士の働き方の改善をもとめる立場から、こども誰でも通園制度には反対しております。現場の負担の増加とともに、子どもたちにとっても安心安全で、なおかつひとりひとりに行き届いた保育の提供が保証されるとは言い難い制度設計だからです。保育士の配置基準の改善や、様々な事情を持つ子どもたちの受け皿の充実、子どもたちが豊かに育つ保育の質の向上にこそ力を入れるべきと考えます。

(3)次に、職員定数と給与改定については、議案第6号および議案第37号、第40号にかかわりますが、まず、職員定数条例について、私たちは、本来、市職員が責任を持って行うべき業務を民間委託や廃止により経費削減をしていくことに一貫して反対をしてきました。福祉や教育、市民サービスに対する市の責任放棄であると同時に、そこで働く方たちの労働条件の悪化を招き、本市がいわゆる官製ワーキング・プアを生み出すものと考えるからです。新年度もゴミ収集業務や給食調理業務、さらに幼稚園の廃止などによる定数削減があり賛成できません。また、給与改定につきましては、職員給与等の引き上げには大賛成でありますが、今回の改定には、配偶者手当の廃止、地域手当の引き下げが組み込まれており一部の職員にとっては減額改定となることから賛成できません。

(4)議案第13号は、ゴミ袋等の値上げです。物価高騰で苦しむ市民への負担増であり、反対します。これまで本市がゴミ減量化に取り組み、多くの市民の皆さんが努力してくださり、きちんと結果を出してきたことは素晴らしいことですが、その努力が、受益者負担の減少とされ、ゴミ処理手数料の値上げにつながるという、がんばったご褒美がまるでペナルティーとなるかのような負担増では、市民の理解は得られず、そもそもおかしな仕組みではないでしょうか。そもそも県内6割の自治体でゴミ袋は無料です。しかも水戸市のごみ袋販売自体は年およそ2億2千万円も黒字です。今でも県内一高いゴミ袋料金は値上げではなく、ゴミ処理事業の仕組みや業務委託費等、大本の廃棄物処理事業の見直しや改善こそすべきです。

(5)次に議案第14号は、あけぼの学園で行ってきた重症心身障害児の通所支援事業を廃止する議案です。通所児童の減少を理由としておりますが、これにより、本市が公的責任を果たすべき重症心身障害児の通所支援施設がなくなってしまいます。今後、必要なサービスを民間事業者や他市の施設でしか得られなくなることは、やはり市の責任放棄といわざるを得ず、本市が公的な福祉事業をきちんと継続し充実することをもとめるものです。

(6)次に議案第16号、第17号は、保育事業における条件緩和です。私たちは保育事業においては、なにより保育の質の向上、そしてこどもたちの安心安全と豊かな育ちが最優先であり、十分な保育士の確保、保護者の安心を担保しひとりひとりの子どもに寄り添う、という、本来あるべき保育環境の充実にこそ力を注ぐべきと考えます。人手が足りない、施設が足りないなどの現状に合わせて、あるべき基準や条件を緩和することには反対します。

(7)次に議案第20号は建築基準条例の改定で多岐にわたるものですが、一部、安全規制を緩めるものについては賛成できません。建物増築の際に、既存部分は今の法律基準に適合していなくてもよいという緩和について、大型施設や増築面積が既存面積より大きくても可能という規定など、防火や避難に関する安全規制の後退につながる部分があり賛成できません。

(8)次に、議案第23号は、地域包括支援センターの人員配置基準の緩和であり認められません。文教福祉委員会の審議では、さらに規定より少なくなる可能性もあるとの答弁があり、人材不足を人員削減で補うことは許されないと考えるものです。サービスの充実と働く方たちの労働条件をしっかりとまもる人員配置をもとめるものです。

(9)次に新年度予算については、議案第25号、第26号、第29号、第33号、第36号の5件に反対します。

(ア)まず令和7年度水戸市一般会計予算につきましては、反対の理由のうち7点について述べさせていただきます。
まず1点めは、再開発やマンション建設へ巨額の税金投入に反対します。新年度予算では、水戸駅北口三の丸再開発に15億3800万円、泉町1丁目広小路の穴吹マンションに1億8,900万円、南町旧プリンスビル周辺のマンション建設に1億6千万円、と、3つの民間マンション建設に18億8700万円もの補助金が計上されています。さらに、これら3つのマンション建設の総事業費206億円に対し、本市の補助総額は現時点で58億5000万円とされていますが、今後も資材高騰・人件費高騰などによりさらに増額となる可能性もあると考えます。さらにこれらマンションの売り値は4000万円から8000万円、最高額は1億円を超えるとのことで、一部の経済的余裕のある人にしか買えない物件です。多くの市民にとってなんらかかわりのない事業を、大手ゼネコンやマンション業者への優遇支援のために行うものであり認められません。巨額の税金投入を中止し、物価高騰で苦しむ市民への支援や、多くの市民に求められている身近な公共事業に予算を振り向けるべきです。

・2点めは、4大プロジェクトのうち市民会館とごみ処理施設についてです。
まず市民会館について、運営委託に約3億4千万円、同じ事業者が県民文化センターで請け負う倍近い金額であること、また、共有地権者に支払う家賃が3年毎の見直しにより、昨年度より増加していることなど、莫大な整備費に加え運営にかかる費用も青天井になっていくのではないかとの懸念と、事業の費用対効果があまりにも見えないこと、多くの市民が活用できる施設となっていないことなど、施設と予算のあり方について、とても認められません。

また4大プロジェクトの中でも一番多額の費用を費やすこととなった新ごみ処理施設整備事業ですが、私どもは運営を丸投げすれば、市が関与できないブラックボックスになる恐れがあるため、市が直営で行うべきと考え、本市がお金だけを出して整備も運営も民間で行うDBO方式には反対しておりました。当初、日立造船グループが460億円で落札した事業が、整備期間中には想定外の埋設物などで整備費が上がり、施設完成後の20年間の運営費を含め、限度額はおよそ462億円と設定されていました。ところが、物価高騰等の影響により変動するとのことで、今後、残り15年の契約期間の債務負担行為の支出見込みが501億7608万円と、施設開業からわずか5年で、なんと40億円もあがっております。これもまた今後、青天井であがるのではないかという疑念と、契約金額上昇の根拠の不透明さも感じ、また運営費の上昇によって今回のゴミ袋値上げなどのように市民負担が増える心配もあり、本事業予算を認められません。

・3点目は、みと文化交流プラザの解体についてです。市民の貴重な財産である本市文化の拠点施設を、市民や利用者の声をきくこともなくギリギリになっての報告のみで、拙速に解体することは断固として認められません。長寿命化改修により長く活用することを求めるものです。

・4点目は、デジタルイノベーション費のうち自治体システム標準化とマイナンバー制度にかかる予算に反対です。自治体が長年にわたりそれぞれ構築してきたシステムを、国が一方的に標準化させるという政策が拙速に進められており、国の予算で行われますが、標準化にかかる現場の負担や各自治体の独自性の棄損、さらにマイナンバー制度で明白となっている国のシステム設計や運用のずさんさによるプライバシー侵害や個人情報流失の危険は計り知れません。移行後のランニングコストが自治体の負担を増大させる可能性も多々指摘されており、本市と本市市民をまもる観点からも本事業の推進に反対します。

・5点目に市施設の廃止について、幼稚園廃止と高齢者福祉施設の廃止に反対します。
令和2年の年明けに、いきなり示された幼稚園の再編方針という名の廃止方針により、本市は次々と市立幼稚園を廃止し、今度は笠原幼稚園、そして寿幼稚園の廃止をすすめようとしています。地域に根差し子どもたちを育んできた市民の財産ともいえる施設の一方的な廃止であり、在籍している園児を転園させたり、廃止のために新年度の募集をやめたり、と、あまりに稚拙なやり方です。当初、園児の推移を見守るとされた園が、国田をのぞいてすべて廃園に持ち込まれましたが、この間、市は一切園児を増やす努力をせず、ただただ立ち枯れを待つという姿勢は、「こどもまんなか」とか、「子育て安心」とか、本市のキャッチフレーズにことごとく反するものであります。
また高齢者施設の廃止やサービス縮小も相次ぎ、まさに福祉の切り捨てであり、老人デイサービスセンターあかつかの廃止、開江老人ホームの民間委託に反対します。

・6点目に、教育事業の民間委託化に反対します。学校給食や図書館、放課後学級など子どもたちの成長や教育にかかわる事業は、市が責任を持って直営で豊かに行うべきと考えるため、民間委託の見直しをもとめます。

・7点目は学校プールについて。学校プール廃止方針を見直し、水害から身をまもる力も身に着けなくてはならない水戸の子どもたちにどうしても必要な、屋内プールでは得られない経験となる水泳授業と、歴史ある水のまちである水戸市民のため学校プール開放事業を速やかに復活することを強くもとめます。

(イ)次に国保会計および後期高齢者医療会計ですが、まず国保会計予算については、度重なる課税限度額の引き上げと、所得に対し高すぎる国保税に反対です。制度上の重大な欠陥ともいうべき被保険者に重い負担となっておりますが、本市として国保会計の黒字を活用し、また一般会計からの繰り入れを復活することで引き下げは可能であり、速やかに引き下げるべきと考えるものです。また、後期高齢者医療保険につきましても、高齢者に重い負担となっており、茨城県後期高齢者広域連合に積みあがっている基金の活用で引き下げを行うべきと考えるものです。

(ウ)次に東前第二土地区画整理事業会計につきましては、平成7年の着工以来30年目となりますが、いまだ反対者もおり事業の終了も見込めないまま今日にいたっております。すでに時代に合わない事業であり、これ以上の進捗は見込めないことを速やかに認め、反対者を除いて事業終了の決断をすべきと考えるものです。

(エ)次に、下水道会計予算につきましては、国が進めようとしているウォ―ターPPPの導入に反対であります。下水道の維持管理や改築も一括して民間委託するよう、国が自治体に押し付けているものですが、新年度予算で民間委託のマーケットサウンディング調査に6127万5千円が計上されています。下水道は市民生活に密着したインフラであり、整備の促進、老朽化対策に加え、技術者の維持継承が重要課題となっており、民間委託で起きうるリスクや市民生活への責任を考えれば、本市下水道事業は直営を堅持し充実していくことが市民生活をまもるものと考えます。

(10)最後に議案第38号、第40号は東町体育館の観客席改修工事に関わるもので賛成できません。4大プロジェクトで100億円もかけて作ったばかりの本市市民の施設を、一事業者の営業のために、またしても市民の血税を費やし改修することは許されないと考えます。本市が5000人収容できるアリーナがどうしても必要だとして、東町プールを残してほしいという市民や子どもたちからの強い要望も切り捨てて整備したにもかかわらず、あっさりと観客席を減らし、高額なチケットを買って興行をたのしむ一部の人のためにスイートルームをつくる。市民不在の改修であり一体だれのための施設なのかということです。

100歩譲って、他の自治体のように事業者が費用を負担するのならまだしも、本市が費用を負担し急ぎ足で事業を進めていること、長い工事期間は市民が施設を使えず、また完成後も市民利用よりも営業優先となる懸念があること。そもそもスイートルームは市民の競技会などでは必要のない席であることなど、公共施設としても、市の税金の使い道としても、まったく納得のいかない事業であり賛成できません。

以上で反対討論をおわりますが、新年度予算につきましては、本市が学校給食の無償化を小学校でも実現すること、また、多様性とジェンダー平等社会の実現がもとめられている時代に、本市がさきがけて結婚新生活支援補助金の枠組みに、パートナーシップ宣誓者への給付を市独自に組み入れたこと、さらに、これまで26年にもわたって続けてきた茨城県からのムダな受水をきっぱりやめる決断をされたことについては、おおいに評価し賛同するものでありますことを申し添えさせていただきます。ありがとうございました。