次に、茨城県中央広域水道からの受水中止について伺います。

私たちは、これまで県からの受水について、毎年少なくとも2回以上、予算議会、決算議会の際には必ず、本市にとって無用な県受水の中止を求め続けてきました。

必要もない県の水に、毎年1億4千万円もの支払いを続け、H10年の受水開始から26年で、その総額はおよそ48億円にものぼっています。必要のない水に、えんえんと莫大な料金を払い続けることは究極のムダ使いであり、一生懸命税金を納め水道料金を納めている本市市民への背信行為ともいうべき支出であり、一日も早い受水中止を求めるものですが、市長のご見解を伺います。

私たちの質問に対し、市は災害時に備える複数水源の確保のために必要だという答弁を続けてきましたが、現実的に、東日本大震災の時も使えなくなったのは県の水であり、19年台風の時も壊れたのは県の水道施設です。本市は豊かな水資源を持ち、水戸黄門の時代から自前で水道を運用していた歴史ある水のまちであり、水戸の人口よりもさらに9万人分もの水を余分にまかなえるほどの給水能力を持っています。

本市が県の身勝手な一県一水道に参加しない決断をされたことは、おおいに評価するものですが、歴史ある本市水道事業をしっかりと持続していくためにも、40年も前の昭和の時代に結んだ県との協定は速やかに解消して年1億4千万円もの無駄遣いをやめ、その費用は本市水道事業のために使うべきですがいかがでしょうか、ご答弁願います。喫緊の課題である老朽管の更新や水道料金の引き下げなど、市民の利益と安心安全につながる水道行政の充実をもとめるものです。

答弁:高橋市長

次に,水道行政についてお答えいたします。

私は,市長に就任した当時から,県内の他の圏域よりも高い受水料金や,人口減少などの社会経済状況が変化しても,計画給水量が変更されないことを,課題として認識しております。

こうした状況を踏まえて,茨城県中央広域水道建設促進協議会会長としての立場から,構成市町村と連携し,継続的に値下げの要望を行ってまいりましたが,平成29年4月の受水料金引下げ以降は,協議会から要望書を提出しても,受水料金引下げ等の契約の見直しは行われませんでした。

一方で,私は水戸市長としての立場から,茨城県中央広域水道用水供給事業と本市との受水契約のあり方について,県が進める水道広域化に伴う施設最適化の中で,二つの大きな課題を整理することにより,見直しや解除ができるのではないかということを,継続的に検討をしてまいりました。

まず,一つ目の課題でございますが,本市が県からの受水を,災害時における複数水源の一つとして,位置づけていることについてでございます。これにつきましては,東日本大震災を教訓として,施設の耐震化や耐震型循環式飲料水貯水槽の整備など,災害に備えたハード・ソフト両面での強靱化に取り組んできたところであり,災害時等の応急給水に必要とされる,全市民3日分の水量が確保され,この課題を解消することができました。

次に,二つ目でございますが,本市が茨城県中央広域水道用水供給事業との受水契約を解除した場合に,水量減少分見合いの資本費相当額を本市が負担をするか,あるいは,負担しない場合は,協議会構成市町村等が負担することになるのかなどの課題がございました。そこで,受水契約解除に伴う他市町村等への負担などの課題を解消するため,私は,協議会会長と水戸市長両方の立場から,協議会構成市町村の受水料金引下げと,水戸市の課題解決につながる方策について,あらゆる角度から熟考を重ねてまいりました。

その結果,私は,協議会会長として,水道広域化の進展に合わせて受水料金を引下げるため,施設の資産価値を,水需要に応じた適正な額まで減少させる,減損会計という制度に着目し,協議会構成市町村の御賛同を得て,令和6年3月,構成市町村の首長などとともに,直接大井川知事とお会いをし,施設最適化に合わせた減損会計の適用について要望書を提出させていただきました。

当協議会の要望を受け,減損会計の早期実現は,非常に困難であるというふうに伺っておりましたが,私が知事に対して幾度も早期の適用を働きかけ,県におきまして各種課題の整理が行われ,最終的に知事の御英断により,令和6年度中の減損会計適用の見通しが立ち,令和7年度から,全構成市町村等が支払う受水料金の引下げが明らかとなりました。私は,協議会会長としての責務が果たせたものと,心より安堵しているところでございます。

さらに,今回の施設最適化に合わせた減損会計の適用によって,本市が県に毎年支払っている約1億4千万円の受水契約を解除しても,既存の協議会構成市町村等の負担が増えることはなくなりました。

したがいまして,私は,これまで長年の懸案となっていた本市の課題が解消され,契約を解除できる要件が整ったと判断し,令和6年度末をもって,茨城県中央広域水道用水供給事業との受水契約を解除するという決断をいたしました。

改めまして,大井川知事をはじめ,対応いただいた県職員の皆さま方に心から感謝申し上げます。また,今回の課題解決に至ったことは,本市職員が,減損会計という手法を見出して,そして本市自らが提案し,県と粘り強く,力強く調整を進めた結果であり,協議会を構成する市町村長からも本市職員に対する感謝の言葉が届いております。私は,市長として,携わった職員を高く評価しており,このような人材が育っていることを大変うれしく,誇らしく感じているところでもございます。

今後におきましても,私は,茨城県と共同発注などの連携を視野に入れながら,市民生活を支える本市の低廉で,安全,安心な水道を,次世代にしっかりと引き継いでいけるよう努めてまいります。