最後に、新市民会館整備事業について伺います。

開館して2カ月が経過し、案の定、大ホール、中ホール、小ホール、どれをとっても、利用した市民から様々な不満や苦情が、市長の耳にも届いていると思いますが、いかがでしょうか。特に動線や各ホールの音や勝手の悪さは、狭い敷地に無理やり2000席をねじ込んだための弊害であり、ホール施設には、多目的は無目的という言葉があって、使用目的に見合ったものを作らなければ致命的になるともう何年も計画段階から指摘してきましたが、なにをいっても聞く耳を持たなかったことについても、市長のお考えを伺いたいと思います。

(ア)私自身も、開館後に実際に公演を観にいったり、館内の動線を確認したり、市民の皆さんの声を伺ったりしてきましたが、これほど莫大な事業費をつぎ込んだのに、それに見合うクオリテイが確保されていないと実感しております。また、利用する上でも、なんだこりゃ?というような不備が多く、せめて、少しでも使いやすく改善すべきと考え、いくつかの例をあげたいと思います。

まず、館内の動線ですが、あちこち行き止まりと迷路で来館者が困惑しています。例えば、緩やかな下り坂となっているラウンジコーナーを見学し、一階に降りようと思うと通行止め、皆さん「あらあら戻らなきゃならないの?」と言いながら、またえんえんと今度は上り坂をもどってくる場面に何度も遭遇しました。一階に降りる階段も通行止めにされて降りられず、ただ一階に降りようとするだけでぐるぐると2階で迷わされます。

大ホールの座席の前後の幅がせますぎて、席を立つときには、その列の皆さん全員に立ってもらえないと通れないことは、オープニング式典で満席の客席に座ったみなさんも実際に体験されたと思います。

中ホールでは、さらにありえない動線がありました。入場扉が客席の一番後ろになっておりチケットを切って入ると左右に狭くて急な階段があり、薄暗い中でそれを上らなきゃならないのです。これも2000席大ホールが4階までねじ込まれているためにスペースが取れないせいなのだと思いますが、ユニバーサルデザイン・バリアフリーの時代にいきなり急な階段を上らされるなどありえないと思います。高齢の方や足腰が不自由な方には本当にきつい階段ですし、例えば高価な前方席のチケットを買っているお客さんが一番後ろから入ってえんえんと客席を降りていかなきゃならないというのも本当に珍しいと思います。都内の狭い小劇場や仮設劇場などでならあることはありますが、21世紀につくられた立派な482席ではありえない作りです。

小ホールは、100人規模のコンサートに使えるということになっていますが、音楽コンサートなどでピアノを借りようとすると、高額で揃えたスタインウェイのフルコンサートグランドピアノしかないと。しかし、小ホール100人規模でフルコンピアノは使えない、キャパが違いすぎると、音楽家の方から怒りの電話をもらいました。確かに、小規模な編成のコンサートや、歌の伴奏などでは使えないだろうということは素人でもわかりますが、水戸市はなぜフルコンピアノだけを何台も買ってしまったのか。専門的見地があまりに欠けすぎていた結果だと思いますが、これもキャパにあったピアノを手配できるような改善が必要です。また、小さなことですが、市民会館のトイレには個室に、荷物や上着をかけるためのフックがありません。これも非常に不便なことで皆さん困惑していましたが、なぜなのでしょう。

もうできてしまったからしょうがない、というには、あまりにも莫大な血税がつぎ込まれ、その額に見合った作りになっていないことが本当にザンネンです。実際に音や使い勝手がよいホールならだれもが喜んで使いますし、本市でも一度使った人が何度もリピートするような施設をつくれたらどんなによかったかと思うばかりですが、市民や演奏家や舞台芸術を仕事にしている専門家の声をきき、せめてもの改善に取り組むべきです。同時に、これからは、あれもこれもバランス悪く資材や機材を買うのではなくホールに見合ったものを効果的に取り入れてホールの価値をあげられるような専門性を持つ職員を、長期的なスパンで育てていくことも必要と考えます。運営も民間任せで現場がわからずに、指定管理料もいいなりに取られてしまうような、これ以上のムダ遣いは許されないと思います。

(イ)最後に、事業費や今後の将来負担について、まず、年間の維持管理、指定管理料、家賃で、およそ3億7千万円、一日あたり100万円以上ですが、再開発事業や建設事業と違い、これにはなんの補助もありませんから、確実に市の一般会計からつぎ込まれます。

1日100万円使える予算があったら、どれほど市民のささやかな、切実な願いがかなえられることか。先に質問した折り紙も満足に与えられない放課後学級の子どもたちに、1人何枚などと制限せず自由に使える折り紙をどれだけ買えるでしょう。市民会館には糸目をつけず、市民や子どもたちにはケチケチ財政を強いる。本市の予算の在り方が、根本的におかしいと考えます。

さらに今後は莫大な借金返済が、何十年先までも市民に重くのしかかります。定期的に必要になる大規模改修や機材の更新費用もかかり続けます。まさに費用対効果に見合わない大きすぎる将来負担を強いたことに対し、市民の怒りは今なお拡がっています。本計画と税金支出の不当性訴えた住民訴訟は高裁へと移りました。改めて、市長の責任について伺いたいと思います。裁判所で原告から出されていたあらゆる疑問に対し筋の通った説明ができず、肝心な場面では明確な記録さえ残っていないという、水戸市の計画決定過程のあいまいさ、ずさんさ自体が、決定権を持つ市長の裁量権逸脱行為とみなされた提訴だったのです。市長にしか答えられない市民の疑問に、ぜひ東京高裁ではお答えになっていただきたいと、最後に要望しまして、私の1回目の質問をおわります。

答弁:市長