日本共産党水戸市議団の土田記代美です。通告に従い、只今から一般質問を行います。

  • はじめに泉町のまちづくりについて(1)まず新市民会館について伺います。

市民の疑問や計画の見直しを求める声に耳も貸さず、市民感覚とはかけはなれた360億円もの税金がつぎ込まれた新市民会館には、この先も施設の維持管理運営のために毎日100万円以上の税金が、何十年もつぎ込まれ続けます。さらに今後は多額の借金返済が市民に重くのしかかります。そもそも長年空きビルのまま放置されていた伊勢甚所有の旧京成デパートをなんとかするためにすすめられたとしかいいようのない再開発事業に、文化施設である市民会館をねじ込んだために、これほどの費用と、さまざまな矛盾や問題点が噴出したものであります。まもなく開館し、実際に使ってみれば、これまで指摘し続けてきた数々の問題点は、現実に誰の目にも明らかになることと思いますが、今日は3点質問いたします。

(ア)まず、緞帳について伺います。完成した市民会館には大ホールにも中ホールにも緞帳がありませんが、なぜでしょうか。

緞帳というのはホールの顔であり、特にプロセニアム形式の舞台では、なくてはならないものです。観客にとって非日常の夢を見にくる場所です。客席に座り、この緞帳の向こうにどんな世界がくりひろげられるのか、と、開演を待ついうわくわく感。そして客電が落ち真っ暗になった空間にオーバーチェアが響いてくる時の圧倒的な期待と緊張、いよいよ幕が上がりパーッと目の前が拡がって舞台の世界に入っていく高揚感。これを、水戸市民会館では味わえないのでしょうか。

市長の答弁でも、地元経済界の強い要望で整備したということでしたのに、本市には、ホールに緞帳を寄贈してくれる方もいらっしゃらなかったのでしょうか。

これは(写真①)3年前に開館した山形県の「やまぎんホール」です。新市民会館と同規模、2001席の大ホールですが、地元企業である山形銀行が、ネーミングライツの協定とともに、思いのこもっつた地元ならではの緞帳を寄贈しています。

360億円もの税金を投入しながら、ホールに緞帳がない。これは、大きな豪邸を建てたのに、玄関に扉がなかったというのと同じです。芸術文化鑑賞の場として、本当に残念すぎますが、いかがでしょうか。

 (イ)次に賃借料について伺います。再開発事業で、計画に同意していない地権者を無理やりに追い出した一方で、市民会館部分は水戸市がすべて取得するはずが、結局、一部の地権者との共有となり、市はその分の賃借料を支払うことになりました。莫大な事業費を費やした公共施設でありながら、毎年、市は家賃を支払い続ける。これに納得できる市民はいるのでしょうか。結局、この家賃、賃借料はいくらになったのか、また、家賃を支払うことが報告された特別委員会では、将来的にはすべて取得できるようにしていくとの答弁もありましたが、この問題を解消していく見込みについてもお答え願います。

(ウ)3点目は、特別委員会での視察や、プレオープンの際には市民の方々と一緒に実際に館内を見てきた中で、気になる問題をいくつか伺います。

まず、安全面から京成側からやぐら広場へ向かう床が、つるつるのコンクリートで下り坂になっているため、滑りやすく危ないことです。一緒に見学した高齢者の方と、転倒の危険があると実感しました。さらに雨がふれば、やぐら広場は外から自由に行き来できるエリアですから、濡れてなおさら滑るのではないでしょうか。改善が必要です。

そして、あまりにわかりにくいサインです。今、どこにいるのか、どう行けばどこに行けるのかわからず迷子になる、なによりトイレが探せない、と、市民の皆さんの声は戸惑いでいっぱいでした。サインというのはただのデザインではなく、方向指示、館内の案内のために必要なものです。1億円もかけながら、その役割を果たしていないサインの改善を早急にすべきですがいかがでしょうか。

また、公演を打つ側からの疑問についても伺います。例えば、大ホール客席に入る扉とやぐら広場が一体化していますが、公演時に、観客と一般の通行人をどう区別しさばくのでしょうか。普通、劇場施設ではチケットを持っている人しかホールに入れません。 チケットを切って施設に入り客席やホワイエなどを利用するわけで、チケットを持っていなければ客席扉に近づくことはできません。ところが、市民会館では、チケットがなくてもホールの扉まで誰でも来られてしまうのです。観客とそうでない人との出入りのチェックや、例えば、人気アーテイストの公演なら、熱烈なファンはチケットが取れなくても、扉前でかすかな音漏れでもいいからと張り付く事態も想定されます。実際、東京ドームなど、やはり劇場としての機能が不完全な公演では、扉にファンが殺到し「音漏れ参戦」という言葉もあるくらいです。市民会館ではどう対応するのでしょうか。

もう1点、客席の形状と舞台のバランスも、実際に客席に座ってみると思った以上に深刻です。まず(写真②)舞台が低く、最前列の背もたれの高さよりも舞台が下にあり、これでは、客が入れば舞台の前ツラはほぼ見えなくなります。また(写真③)2階3階のバルコニー席からは、このようにほぼ舞台の半分が見えません。

今時、大きなホールでは、座席を選ぶために各客席の位置とそこからの舞台の見え方を客席ビューという画像でチェックできますが、これほど死角が多いホールも珍しいのではないかと思います。舞台が半分しか見えなければ、当然、同じ料金では売れないとか、高い前列の席を買ったのに見えづらくて観客の怒りを買ってしまうとか、多々問題が起こると考えますが、どう対応、対策をとるのかを伺います。

(2)次に、再開発事業について伺います。泉町一丁目南地区、そして北地区も、伊勢甚所有の古いビル周辺の再開発事業で、多額の税金補助、移転補償等々が伊勢甚に入りました。今度はまた、伊勢甚所有の中央ビル、その周辺の再開発の準備がすすめられていることについて質問します。(写真④)前回、代表質問で田中議員が示したこの予想図について、3月議会では、市長も初めて見たと驚かれたような答弁をされましたが、あれから3か月がたちました。現状と本市の姿勢についてお答え願います。もうこれ以上、泉町で、伊勢甚主導の再開発に税金を投入すべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

答弁:市民協働部長

土田議員の泉町のまちづくりについての一般質問のうち,新市民会館について,お答えいたします。

はじめに,市民会館の緞帳につきましては,設計者をはじめとする関係者との協議により,著名なアーティストの公演や演劇,コンベンション等多様な事業を展開するために,昇降のみならず,左右の開閉動作ができる「開閉緞帳」と称する黒幕を設置したところでございます。

次に,市民会館部分の床の共有者に対する支払い額につきましては,平成31年1月10日開催の市議会特別委員会でお示しした年間約2,200万円の試算に基づき,予算を措置しております。開館後も引き続き,共有者の持分の取得に向けた交渉を重ね,市民会館の運営に御理解を求めてまいります。

次に,館内のエントランスロビーからやぐら広場へ向かう床が滑りやすいという御指摘につきましては,開館前に来館者が安全に施設を利用できるよう確認を行い,必要に応じて対策を講じてまいります。

また,市民会館につきましては,全館案内図やフロア案内図をはじめ,室名表示,誘導表示,デジタルサイネージなど,約1,500個の多様なサインを設置しております。来館者に対しては,運営スタッフによる丁寧な案内に努め,利用しやすい環境づくりに取り組んでまいります。

グロービスホールにつきましては,スペースを有効活用するため,公演時にチケットもぎり用の入場ゲートを設置し,チケットを持っていない一般の方が誤って,ホール内に入ることを防ぐ方針でございます。また,舞台が見えにくい客席の扱いに関する御質問につきましては,主催者等は舞台の見やすさによってチケット価格に差を設けるため,観客の皆様は,条件に合わせて客席をお選びいただけることとなります。

水戸市民会館は,多くの市民に感動や希望を与えられる施設として,7月2日の開館に向けて万全の準備を進めるとともに,将来にわたって本市の中心的なにぎわいの拠点になるまちづくりを進めてまいります。

御質問の泉町2丁目の中央ビルを含む街区につきましては,令和4年7月頃から,地元の権利者により,再開発事業の事業化に向けた検討が,継続して進められていると伺っております。

再開発事業等につきましては,まちの活性化はもとより,災害に強い安全,安心,快適な市街地環境の形成に資する事業である一方で,多額の予算を必要とすることから,事業化に当たっては,慎重な判断が必要であると認識しております。

そのため,本市といたしましては,今後とも,地元における検討の推移を注視してまいりたいと考えております。