1. 次に、日本原子力研究開発機構の「常陽」の再稼働について伺います。

原子力規制委員会の審査が通り、2025年にも再稼働をめざすとの報道がありました。

常陽については出力を押さえて運転するという申請で一度審査を差し戻されていましたが、結局、燃料棒の数を減らすという設計変更で認められてしまいました。しかし、これは4トントラックに荷物を2トンだけ積んだので、2トントラックとして認めるというようなものです。そして実験炉とはいえ、制御が困難なナトリウム冷却をつかう危険な高速増殖炉であり、初臨界は1977年、46年も前です。さらに、事故を起こした2007年以来ずっと停止していた炉です。事故続きのもんじゅの廃炉で、核燃料サイクル自体が破綻している中、動かす必要性もなく、本市も一部避難区域にかかり避難計画も作られてはおりますが、予見できない未曾有の危険もあり得ると考えます。

以前から、何度も質問をしていますが、機構の安全管理のずさんさ、事故の多発はとても信頼できないものであり、危険な核物質を扱う資格のある事業者ではないと強く感じています。旧動燃時代に、安全管理について意見をあげた技術者を閑職に追いやり長年にわたって差別してきた問題が、今、水戸地裁で訴訟となっています。この体質は依然として改善されていないという思いです。市民の安心安全をまもる使命のある水戸市としても、再稼働についてはきびしく対応すべきと考えますが、ご見解を伺います。

答弁:市民協働部長

次に,原子力行政に係る御質問についてお答えいたします。

日本原子力研究開発機構の高速実験炉「常陽」につきましては,先月24日,原子力規制委員会において,施設の安全対策が新規制基準に適合しているとして,「審査書案」がとりまとめられたところでございます。

このことに対する本市の見解でございますが,本市としては,かねてより,試験・研究用の原子力施設は,日本の産業や科学技術の発展において重要な役割を担っていると認識しております。事実,常陽につきましても,高速炉としての研究を通した原子力施設の安全性の向上のほか,医療用の放射性同位体の製造により,がん治療への活用等について期待されているところでございます。

一方,これらの施設については,保有する原子炉が小規模であるとはいえ,原子力施設としてのリスクがあり,常陽を含めた周辺の研究施設から半径5キロメートルに位置する本市の一部の地区については,事故等に備える必要がある区域に指定されております。

そのため,本市におきましては,常陽等において原子力災害が発生した場合に備え,令和3年5月に「試験研究用等原子炉施設の事故等に備えた避難計画」を策定し,避難対象となる住民に対して周知を行っているところでございます。また,常陽や周辺の研究施設で事故等が発生した場合においては,ただちに情報を得ることができるよう,事業者との間に「通報連絡協定」を締結しているところであり,有事の際には,市民に対し速やかに情報を発信するとともに,必要に応じた対応をしてまいります。

本市におきましては,引き続き,大洗町をはじめとする近隣自治体とも連携強化を図りながら,常陽等の原子力研究施設について,万全の安全対策を講じてまいります。