最後に、新市民会館計画について伺います。
水戸市の説明では、再開発と市民会館建設は別事業であり、再開発でつくる建物の床を買い取り市民会館にするということ、泉町一丁目北地区の再開発は、再開発組合が行う事業であり、水戸市の事業ではないから予算も別立てにしているといわれます。
そこで聞きたいのは、現在あるのは、再開発準備組合であり、本来、事業主体となる再開発組合ではありません。準備組合は、都市再開発法にも規定がない任意の団体です。都市計画決定もなく、県の認可も降りていない。つまり、再開発事業は法的にまだスタート地点に至っていない状況です。このような段階で、なぜ、その床を買い取る市民会館建設計画だけが、先行しているのか。水戸市が先行して予算化し公金を支出していることの根拠と、2つの事業の整合性がどこにあるのかを伺います。もしも、なんらかの瑕疵により、この再開発事業が行われなければ、市民会館計画はどうなるのか。その場合、すでに執行されている支出については、誰がどう責任をとるのかも、合わせてお答えください。
そもそも泉町一丁目北地区再開発事業の目的はなんだったのか伺います。平成15年から検討をしながら10年も決まらなかった事業が、急転直下で市民会館建設計画となったのは、大工町のように民間の商業施設などでは採算が見込めないために難航していたものを、公共施設として水戸市が買うことにすれば、税金でまかなえるという発想で決められたのではないですか。地元地権者の総意が得られていない上、市民の多くが反対しているこの事業で、老朽化している伊勢甚所有の空きビルを税金で解体すること、さらに、営業していない状態のまま、まちなかの中心地のビルを放置し、泉町の衰退の象徴のようにしてきた伊勢甚のに多額の補償費が支払われることは、伊勢甚救済のために考えられた計画と疑わざるを得ませんが、その点についてもお答えください。

臨時議会でも数々の疑問や意見が出されましたが、それらについて、いまだになにひとつ明確な答えがありません。疑問満載のまますすめるおつもりでしょうか。
例えば、ホール施設は、何を目的として、そのためにどんなホールが必要なのかをきちんと精査することからスタートしなければ、有益に活用できるホールは作れないというのは常識であり、他市の失敗事例から学ぶべき教訓でもあります。水戸市の計画は、まさにそこが逆転、逆行しているところであり、失敗の可能性があまりに大きいといわざるを得ませんが、どうですか。
執行部と同様に、私たちも公文協にヒアリングに行きました。水戸市はただ2000席以上が採算ラインだという話だけを説明しますが、それだけではなく、2000規模のホールは数が多く、全国でパイの取り合いとなっていること。時代の流れで、採算性が低下しており、都内ですら、2000規模の劇場は大規模改修後の採算が見込めず、閉館に追い込まれていること。もしもコンベンション誘致で差別化を図るつもりなら、全国でも数が少ない3000席以上なら可能性があるかもしれないなど、全国の文化施設のリサーチによるデータに基づいた話をしていただきました。さらに、コンベンションラッシュは下火になってきており、公立の施設は、市民参加で議論をし、市民の文化の拠点として、市民が愛着を持って活用できるホール作りをしたところが成功しているという話も聞きました。

身近な例では、小美玉市のみのーれが、市民に愛され成功しています。計画を見直し、施設のあり方を精査した上で、市民生活の向上や市民の要望を実現できる長く愛される市民会館を建設すべきではないでしょうか。東京都では、知事が辞職に追い込まれましたが、今、多くの市民が、自分たちの収めた税金の使われ方に厳しい目を向けています。水戸市は4大プロジェクトなど大きなハコもののためには莫大な予算をあてる一方で、子どもたちのために学校施設を直す予算が足りない、栄養士を正職員として配置する予算もないなどというのは、到底、市民が納得できるものではありません。市民や子どもたちの願いに誠実にこたえる答弁を求めて、私の質問を終わります。

答弁≪市民協働部長≫

次に,新市民会館整備計画についてお答えをいたします。

はじめに,市街地再開発事業のうち,都市計画決定前に,「水戸市新たな市民会館整備基本計画」等の策定を進めたことにつきましては,水戸市民会館は,東日本大震災により破損し,使用を停止したため,年間約30万人の利用者の文化活動に支障を来しており,各種団体や多くの市民から,新市民会館の早期整備が求められているところであります。
そのため,延べ12回にわたって開催された市民会館整備調査特別委員会において,施設の機能,規模等を御審議いただき,「水戸市新たな市民会館整備基本計画」を平成27年3月に策定したところであります。
泉町1丁目北地区第一種市街地再開発事業と新市民会館整備事業とは,それぞれの目的に区分して考えるものと認識しております。新市民会館整備の基本理念,管理運営の考え方につきましては,特別委員会で御審議をいただき,市の責任においてとりまとめるものであり,その成果を実現するためにも,市街地再開発事業を促進し,新市民会館の早期整備を進めてまいりたいと考えております。
次に,文化施設の役割についての御質問につきましては,新市民会館は,市民の芸術文化活動を促進するとともに,著名なアーティストの公演,各種イベントや会議等が開催できる施設であります。そのため,全国を回るコンサートツアーや全国規模の大会や式典等が開催できるよう,2,000席の大ホールをはじめ,3,000人規模のコンベンションの開催が可能となる十分な広さと数を備えた展示室や会議室等を整備することとしたものであります。
現在,管理運営基本計画の策定を進めており,複数の興行主催者に対し,ヒアリングを行ったところ,新市民会館を活用した公演等について,十分実現可能であるとの見解を伺っております。
新市民会館の整備は,市民サービスの向上はもとより,将来の水戸市の飛躍に不可欠な事業であり,市議会で十分な御審議をいただき,事業を進めてまいりました。
今後も,より多くの市民参加により,新市民会館の早期の整備に向け,全力で事業を進めてまいります。