次に新市民会館整備計画について伺います。

はじめに市民会館の役割と市民参加についてです。

これまで、現計画の問題点を具体的に数々指摘してきましたが、お金の問題や再開発の手法の問題、場所の問題や物理的な矛盾など、いくら聞いても、何年たっても同様のあいまいな答弁を繰り返されております。私は、当初から現計画には反対をしてきましたが、震災から7年以上、市民が活用できるホール施設がない状況が続いていることは、水戸市の文化にとって大きな損失であり、一日も早く、水戸市の文化の拠点として市民に望まれ活用される市民会館の再建を求めるものです。そこで、今回は、根本的な理念についてお聞きします。

公共の文化施設、中でも市民会館というのは、文化や教育、そして市民活動やまちづくりに対して、自治体がどう取り組み何を目指していくのかという姿勢が問われ、その自治体の核となる理念が必要な事業です。言うまでもなく、水戸市の文化の発展のために何が必要か、市民が何を望んでいるか、そのためにどんな施設が必要なのか、そこから始まるべき事業が、現計画では、まったく逆立ちしているわけです。まず‘泉町に再開発事業で大きなハコをつくる’と、この命題からスタートしているから、あとづけで何を調査しても、様々言葉を並べたてても、矛盾だらけの事業計画となり、このように現実味も実現性も乏しい事態を招いているのではないでしょうか。

まちなか再生の起爆剤、経済団体からの要望と、再三言われますが、私は、現計画ではその経済効果すら絶望的と考えますが、そもそも文化施設というのは、営利施設ではありません。将来にわたって、お金ではない価値を醸成していくという確かな理念が必要な施設なのです。理念なきハコモノの失敗例は全国に山ほどあり、水戸市もこのままではその失敗をくりかえすことになると考えますが、いかがですか。

市民に愛され市民文化が育つだけでなく、教育、福祉、まちづくりに包括的に役立ち、そのまちになくてはならない施設として成功している事例は数々あります。真摯に学んで計画を根本から見直し、水戸市ならではの、水戸市になくてはならない市民会館を、一日も早く整備すべきです。

私は、先週、ひたちなか市文化会館大ホールで、市内の幼稚園児を対象にした公演を見てきました。以前所属していた劇団の後輩が出演するというので、急遽観に行ったのですが、お客さんが幼稚園生ばかりということで、どんな感じだろうと思いましたが、約1時間15分のミュージカルを、子どもたちは騒ぐこともなく本当に一生懸命観ていました。本格的な舞台を組み、大人に観せるのと同じ本域のお芝居で、幼いながらも、劇場という特殊な雰囲気を味わい、貴重な体験になったことがみてとれました。市の文化教育の一環として初めて本格的な演劇に触れる、こうした体験が、水戸市の子どもたちにも必要なのに…と、水戸市の現状を、つくづく残念に思いました。私自身も、長年、小中学校の子どもたちに演劇をみせるという仕事をしてきましたが、カンタンな子ども向けの劇ではなく、大人が観ても楽しめるような本格的な舞台に、子どもたちは本当に真剣で新鮮な反応をします。こうした演劇をやるにしても、例えば、搬入口にトラックが横付けできること、子どもたちが乗ってくる何台ものバスが停めておけること、子どもたちが安全にホールに出入りできることなど、ひたちなか市文化会館ではカンタンに出来ることが、水戸市の現計画では困難になります。大型車両は会館から離れた駐車場しかなく、乗り降りは泉町のど真ん中で、それぞれ何十人もの幼稚園児を歩かせるのも大変です。駐車場からホールへ直接入れること、この単純な動線すら確保できない計画では、こうした文化教育にも活用できません。

 

また、市民会館は、なにより市民のための会館なのですから、活用する市民雄声を反映させる、市民参画が重要であり、市民と行政が一体となって推進すべき事業です。ところが、水戸市では、市民に開かれた計画になっていない現状、それどころか、わたしたち市議会議員にさえ、知らされないことが多すぎます。例えば、8月にワークショップを行ったそうですが、私は、たまたま参加した人の情報で知った方から連絡をいただき、ネットでさがしてもどこにも情報がないが、いつ募集したのか、と。この方は、以前に行われたワークショップに参加していて、新市民会館に大変興味を持っておりワークショップがあるなら参加したかったのに…と、大変残念がっていました。市民ワークショップといいながら、市民にはなんの告知もなく、また、問い合わせなければ議会にもなんの報告もない、これはどういうことなのかをご説明ください。

 

設計および管理運営についても伺います。まず、実施設計はいつごろできるのか、本会議でも特別委員会でも数々の問題点が指摘されてきましたが、そうした意見はどう反映されているのかを伺います。また、実施設計についてのアドバイスを受けるということで、昨年からシアターワークショップに委託をしていますが、その経過や業務の成果については、いつどんな風にご報告をいただけるのでしょうか。お答えください。

また、前回の特別委員会で指定管理者制度導入についての報告がありましたが、市の文化政策としての理念をきちんと持って施設を位置付けている自治体なら、このように安易な指定管理の検討はしないものです。文化の醸成や教育、福祉、市民活動の発展には、自治体の独自性を持った長期的な取り組み、将来を展望した継続性が、必要不可欠で、大変重要な課題だからです。一時、公共施設の指定管理者導入が主流となった時代もありましたが、経済面、効率面だけが優先され、施設の文化価値や市民交流の拠点としての機能が低下する傾向が指摘され、今は、指定管理から直営にもどす自治体も出てきている時代です。市が責任を持ち、市民としっかり手を携えて育てる施設として、直営、あるいは、市民と行政とが一体となった共同運営こそが、市の文化政策としてあるべき姿だと考えますが、いかがでしょうか。

そもそも再開発ありきで事業費が莫大に膨らみ、現状では、反対地権者もおり市民の反対も根強く、この先何年かかるかもわからない上、将来にわたって市民のお荷物になってしまう現計画を根本から見直し、一日も早く、文字通り『市民のための市民会館』、市民がよろこび水戸市の文化が育つ市民会館を整備することを強くもとめて、この項目は終わります。

答弁:市民協働部長

次に,新市民会館整備計画についての御質問のうち,市民会館の役割について,お答えいたします。

芸術文化は,人々の心にゆとりや生きがいを与えるとともに,次代を担う子どもたちの豊かな感性を育むなど,社会全体が守るべき貴重な財産です。

新市民会館につきましては,水戸芸術館の隣接地に整備することによって,2つの施設の相乗効果が生まれ,水戸ならではの特色ある魅力が発信でき,芸術文化の一層の振興が期待できるとともに,中心市街地の活性化やにぎわいの向上も図れるなど,全国に誇れる拠点が形成できるものと考えております。

新市民会館は,「多様な人々の交流と多彩な文化が織りなす,ひと・まちが輝くステージ」を理念とし,市民の主体的な活動の支援に努め,多くの市民が芸術文化に触れる機会を提供するなど,芸術を通した交流を深める拠点形成を目指すとともに,あらゆる人々がいつでも気軽に立ち寄ることができ,まちなかでくつろぐことができる環境づくりを進めてまいります。

次に,市民参加についてお答えいたします。

新市民会館の整備におきましては,これまで,各種団体からのヒアリング,市民アンケート,市民ワークショップ等を実施し,市民の多様な御意見を整備基本計画や事業推進計画に反映してまいりました。

先日開催した意見交換会につきましては,やぐら広場,ラウンジギャラリー,各階ホワイエなど,ホール以外の場所の活用について,実際に利用されるさまざまな世代の方から御意見を伺うことにより,来館者にとって,利用しやすい施設の整備を図ることを目的に実施したものです。

今回は,高校生,大学生,子育て団体,女性団体,市民吹奏楽団など,これまでワークショップに参加された方を中心に行いましたが,これからも広く市民参加の機会を設け,設計や,将来の利活用に生かすとともに,このような取組を広く発信することにより,新市民会館に対する,多くの市民の関心を高めてまいります。

次に,設計についてお答えいたします。

新市民会館等施設建築物実施設計業務委託につきましては,発注者である泉町1丁目北地区市街地再開発組合及び設計者との協議を重ね,今年度の完了を目指しております。

本市といたしましては,市議会特別委員会における御意見を踏まえるとともに,設計アドバイザーである専門家からの効果的な助言を受けながら,保留床購入者としての意見を設計等に反映し,施設の利便性の向上を図っているところであります。

今後も,子供から高齢者,身体の不自由な方など,すべての人の安全性を確保し,多くの方々に愛され,親しまれる施設整備を進めてまいりたいと考えております。

次に,管理運営についてお答えいたします。

運営主体につきましては,興行主等との多彩なネットワークを活用し,積極的に営業活動をすることにより,市民に向けて,より多くの鑑賞機会を提供するとともに,専門性の高い技術・技能により,多様な市民活動を支援することができるなど,市民サービスの向上が見込まれ,経費の縮減にも積極的に取り組めることから,指定管理者制度を導入することとし,市議会特別委員会で御承認いただいております。

本市といたしましては,大規模イベントやコンベンションなどを誘致する営業力を有し,多くの人々が「みたい,聴きたい,行ってみたい」と感じる公演が開催できることはもとより,日常的に訪れたくなる居心地のよい環境づくりや,市民の芸術文化活動を促進するための積極的な支援,さらには,周辺の商業施設や観光資源等と連携したにぎわいづくり,水戸芸術館との連携のほか,生涯学習活動の拠点づくりができることなどを指定管理者に求めてまいりたいと考えております。このことにより,人が集まり,にぎわい,市民の活動をはぐくみ,ひと,まち,文化がつながる市民参加の運営を目指してまいります。