次に、教育行政について、今年度から、いきなり強行された学校プールの廃止方針の撤回と、学校プールの維持改修、本市の水泳教育の充実をもとめて質問いたします。

まず、水泳教育の意義とプール学習における本市の特性について伺います。そもそも水泳教育は、単に、子どもが泳げるようになればいいというものではなく、もともと水難事故防止のために始まったもので、まさに命を守る教育です。そのためにも、小学校でまず、水の冷たさを知り、水に親しむこと、自然との共存共生を、身をもって学ぶことが重要であり、これこそが、屋内プールでは得られない学習経験だと考えます。暑い夏に、冷たいプールに飛び込む体感や、天気の様子をみながら、今日は入れるか入れないかと考えたり、中止になってがっかりしたり、やっぱり入れる、と、わくわくしたり、プール学習を楽しみにしている子どもたちの思いは、その日その時にしか得られない貴重な体験です。この6月、プール開きのために子どもたちが生き生きと清掃をしている姿、プール開きの喜びにあふれた笑顔、弾ける歓声など、現場を見ていれば、これをいきなり奪う方針を一方的に決められるはずがありません。しかもコスト削減のためという理屈で、古いプールを一生懸命工夫しながら使ってきた各学校の努力や、足りない予算をやりくりしながら補修や工事をすすめてきた担当課の長年の努力も踏みつけにするものです。なにより、子どもの声をきいたのかということです。子どもに直接かかわる問題がコストで処理される水戸市が、子どもを大切にし教育に力をいれている自治体といえるでしょうか。子どもの権利を尊重し法的にも保障しているコスタリカなら、この水戸市のやり方は、小学生たちに裁判を起こされてしまうでしょう。

本市は水府流水術の伝統を持ち、まさに、泳げるようになればいい、ではなく、水に親しみ水とともに生き、身をまもることを子どもたちに伝えてきた水の街なのです。水泳教育を大切にしてきた歴史にも後ろ足で砂をかけるようなものです。子どもたちに、季節、時期に応じた豊かな教育を保障することこそ市の役割ではないのでしょうか。お答え願います。

また、外部プール利用のデメリットについて伺います。この間、子どもたちや保護者、現場の先生たちなどに話を聞いてきました。私自身が感じている以上に、様々な問題点があり、心配されています。特に、民間プール利用の際に心配される問題についてお聞きします。

ひとつは、学校内だから守れる児童の安全についてです。プール授業のために、スポーツクラブが貸し切りになるわけではありません。ある施設では、プール貸し切りでもなく、レーンを分けて一部分をクラブの会員と共有して使うことも考えられるとのことです。会員さんたちは高い会費を払って施設を利用しているわけで、授業のために遠慮してもらうことなど、当然できません。普段、一緒になることのない一般の大人の人たちが出入りする中で、授業を行うことになるわけです。

校内なら、学校関係者以外、敷地内に入ってくることさえない小学校のプール授業が、一般の人にさらされることになります。今の時代、思いもよらない事件やトラブルが起きることもあります。また、子どものスクール水着の盗撮画像がネットで拡散されるなどといった異常な犯罪も多々ある時代です。そのため、学校はセキュリティーに万全を期しているはずですが、民間施設を借りる中で、そうした児童の安全がまもりきれるのでしょうか。

また、民間のプールが将来にわたって継続されるのか、まったく保障がありません。すでにプールの老朽化が進んでいるところもあり、それこそ公費で改修できる学校とは違い、経営状態によって、きちんと改修していけるのか、特に今般のコロナ禍のような厳しい情勢のときに、いきなり閉鎖されるということも起きうると考えますが、その時、子どもたちのプール学習はどうなってしまうのでしょうか。

また、現場での着替えで、特に低学年の子どもたちは、必ず忘れ物やらなにやらで混乱するし、バスの移動時間、道路状況によって授業時間が削られてしまうのも目に見えています。さらに、各学校ごとに各民間施設と調整をしているとのことで、これでは先生たちの負担がかえって大きくなるのではないのでしょうか。こうしたデメリットに対する対策がきちんと講じられているのか、お答え願います。

また、学校プールは、いざというときに、防火水槽の役割を果たし、震災のときにも避難所で役立ったとのことですが、そうした災害時の役割をどう考えているのか、さらに廃止した場合に、その後のメンテナンスはどうするのかも伺います。毎年、プール開きで徹底清掃しているからこそ維持できている施設なわけで、ただ放っておけば、あっという間に危険で不衛生な場所となってしまいます。それが、子どもたちの毎日に放置され続けるのでしょうか。実際、四中や双葉台中など、中学校では何年にもわたり放置されドロドロになっていました。市が説明したコスト比較にプールの解体費はなく、結局、外部プール活用の方がお金がかからないという説明も破綻していますが、廃止後の解体計画もないまま急遽廃止だけを進めるなど、まったく道理がありません。いかがでしょうか、お答え願います。

もう1点、学校プール開放事業について、今後どうなるのか、今年度はどうするのかを伺います。

地域の保育所や学童クラブなども利用しており、ちいさな子どもたちにとっても、夏のなくてはならない事業です。学校プールの改修や改築をすすめ、安心安全なプールを増やしてこそ事業が拡げられるわけで、子どもたちや市民の願いにこたえるべきですがいかがか、お答え願います。

答弁:教育部長

土田議員の一般質問のうち,教育行政についてお答えいたします。

はじめに,水泳教育についてですが,本市では,学習指導要領を踏まえ,水遊び,水泳運動等により水に親しみその楽しさや喜びを味わい,また命を守るための知識や技能の習得を目的として水泳授業を実施しているところでございます。

しかしながら,例年,6月中旬から7月の梅雨時期にかけて実施していることから,天候や気候の影響を受け,計画した時間数を下回ることがございました。

そのため,昨年度,梅が丘小学校において,試行的に学校外の屋内プールを活用して水泳授業を行ったところ,子どもたちからは,「屋内プールなので風もなく寒くない」,「温水なのでずっと入っていられる」など,天候に左右されることなく授業が実施できることへの喜びの声が届きました。また,保護者からは,「これまでプールを嫌がっていたが,積極的に参加するようになった」,「よりよい環境になってありがたい」などの反響がございました。

このように,気候や天候に左右されない屋内プールを活用することで,年間を通して,計画的に水泳授業が実施できるとともに,室温や水温が一定に管理されているため,児童への体調面への影響も少なくなり,水泳学習への興味関心が高まり,より意欲的に取り組む児童が増えるものと考えております。

また,教員が授業を行う際に,補助的な役割を担う外部人材を活用することで,さらなる児童の安全の確保や技術の向上を図ってまいりたいと考えております。

なお,学校外プール施設までの移動時間は,授業の一環として,水泳学習の事前指導や振り返り指導を行うなど,時間を有効に使ってまいります。

今後におきましては,小学校の水泳授業について,学校外プール施設を効果的に活用することで,より一層の水泳授業の充実が図られるものと考えております。

次に,学校プール廃止方針の見直しについてお答えいたします。

初めに,学校外プール施設との日程調整につきましては,教育委員会が,使用する施設ごとに,水泳授業に必要な日数を年間で確保する調整を行い,実施時期に偏りが生じないよう,各校の使用日を設定しております。

一方,学校が行う調整は,教育委員会が設定した年間スケジュールに基づき,割り当てられた日時に水泳授業を行う学年,学級を当てはめる作業のみとなります。

このため,各校が直接,使用する施設と日程調整を行うことはありませんので,教職員の負担の増加につながることはないと認識しております。

また,自校プール使用の場合は,天候等の影響による水泳授業の中止により,日程変更の調整が必要となりますが,学校外の屋内プール施設を使用することにより,年間計画に沿った水泳授業が実施できるため,計画変更等に伴う日程調整の負担は軽減されると考えております。

次に,使用しない学校プールの維持管理についてお答えします。

使用しない学校プール施設については,各学校の課題に応じて解体計画を検討し,将来的には学校敷地の有効活用を図ってまいりたいと考えております。

解体するまでの間につきましては,プール施設の衛生環境の悪化を予防するため,プールサイドの除草等の軽易な維持管理は,引き続き必要となりますが,プール槽については,水を抜くこととし,安全に配慮するとともに衛生環境を確保してまいります。

今後につきましても,教育委員会において各学校外プール施設と十分に調整を行い,各学校が円滑に水泳授業を実施できるよう努めるとともに,使用しない学校プール施設について,適切に管理してまいります。

答弁:市民協働部長

次に,学校プール開放事業についてお答えいたします。

本市の学校プール開放事業は,子どもたちが水に親しみ,触れ合う機会を増やすことを目的に,平成28年度から夏休み期間中に学校プールを無料で開放しております。

昨年度までの実績につきましては,平成28年度は新荘小,緑岡小,吉沢小,内原小及び国田義務教育学校の5校11日間の開放で4,520人,平成29年度は赤塚小を加えた6校15日間の開放で

5,153人,平成30年度はさらに城東小を加えた7校15日間の開放で6,949人,令和元年度は8,180人の利用があり,市民の皆様から好評をいただいております。

令和2年度は新型コロナウイルス感染症拡大による影響で7校全てで中止となり,令和3年度につきましては新荘小,城東小,赤塚小及び国田義務教育学校の4校7日間の開放で3,216人の利用がありました。

今年度につきましては,これまでの7校のうち吉沢小を稲荷第一小に変更して,夏休み期間中の7月21日から8月25日までの間,1校あたり15日間実施することとし,広報みと6月15日号や市のホームページ,チラシ等で周知を図っているところでございます。

今後の学校プール開放事業の方針につきましては,教育委員会において学校外プール施設の活用が進められていることから,引き続き学校プールのある学校への開放校の変更を行うなど,市民ニーズを的確に捉えながら,学校プール開放事業の充実に努めてまいります。