最後に、新市民会館整備事業について伺います。

まず、指定管理者制度について、年間約3億2千万円も支払って、本市と縁もゆかりもない会社に運営を丸投げし、すでに契約期間が始まっていますが、指定管理者のコンベンションリンケージは、会議や講演会など、いわゆるコンベンションのマネージメントなどをメインにしている会社で、実績をみても、特に文化事業に長けているわけでもなく、新市民会館が市民のための文化施設として活用されるとは思えません。

来年7月が開館予定なら、まもなく開館1年前ということになりますが、いまだ大ホールの仮予約は20件程度、こけら落としも未定というのは、普通はありえない状況です。市が「来る来る」と言ってきた有名アーティストのツアーなどは数年前から決まっており、1年前にホールを押さえていない公演が、急に来るはずもありません。現計画では、大ホールの需要は月1~2回あるかどうかだと、当初から指摘してきた通りになっているのではないですか。

さらに、ホールのこけら落としというのは、やれればアーティストにとって大変名誉なもので、使ってみたいと思われる素晴らしいホールなら、わざわざお金と労力をかけて誘致しなくても、向こうからやらせてほしいと、売り込みが殺到するのではないでしょうか。ところが手が上がらない。立地の悪さと設計の中途半端さが、現計画の致命傷だという、これも、私が最初から指摘してきた通りになっていると思いますが、いかがですか。

そこで、今回は、市長がかれこれもう7年も答弁し続けている、新市民会館には若者に人気の有名アーティストが呼べるという、そのアーティストとは、一体誰のことなのか、具体的にお答え願いたいと思います。開館を来年に控えて、いつまでも抽象的な夢を語っている場合ではありません。厳しい現実に向き合うべきです。

運営が民間丸投げでは、市の施設でありながら文化事業に市が関与できず、3億2千万円もの税金を支払いながら、その予算の使われ方も藪の中となります。さらに、新市民会館は万が一の災害時には、市民の避難所となることも想定されますが、その時、施設の中に市の職員がひとりもいないということになります。市民への対応、市民の命の責任まで指定管理者が負ってくれるとでもいうのでしょうか。

市民の税金で作った施設なのに、その施設の勝手を知る市の職員がいなくなるということは本当に大きなデメリットです。開館後は、もはや市の施設とも文化施設ともいえなくなると考えますが、いかがかお答え願います。

 

文化施設として、市民とともに育ててこそ、ホール施設は市の文化の拠点となるのです。そこに、本気で文化行政に取り組む自治体かどうかの違いがあります。本市も計画当初に、参考施設のひとつにしたという「いわきアリオス」は、他施設にくらべ稼働率でも来館者数でも健闘していますが、理念として明確に、施設の在り方、運営指針を掲げ、責任を持って直営で運営しています。時間と手間をかけて舞台芸術の専門職員を育て、市民文化を育て、市民に活用される拠点施設となっています。なぜ、そのいいところをまったく参考にしなかったのか、どこを見てきたのか、本当に残念としか言いようがありません。施設も運営費も、その使い道がわからなくなるような民間丸投げはやめ、文化施設は、市民が参画できる態勢を作りながら、市が責任をしっかりと果たせる直営で行うべきと考えますがいかがか、答弁願います。

新市民会館は、いよいよ負の遺産として市民の厳しい目にさらされます。建設現場を見ると、莫大な事業費と意味不明なデモンストレーションや追加工事に、どれだけの税金がつぎ込まれてきたか、今後どれほどの負担が市民にのしかかるのか、暗澹たる気持ちになります。当初、伊東豊雄氏は、勇壮な木の柱が水戸藩の歴史を感じさせると説明しましたが、今、建っているのは、ただ茶色いアルミとガラスのしぶい建物で、木の柱は中に入らなければ見えないし、(写真 柱のモックアップ)市民は、これを覚えています。外で雨風にさらして経年劣化を検証すると、数カ月、現場に建っていましたが、結局、新市民会館に外に出ている柱はありません。一体なんだったのでしょう。さらに、完成予定図にはない通路が正面から低く突き出し、道路とまちに圧迫感と違和感をもたらすことになります。そして、文化施設にみあわない運営まで丸投げ、これ以上の無駄は許されません。将来を見越して市民の声をきき、根本的に事業の見直しを行うことを求めます。

以上で私の質問を終わります。明快なご答弁をお願いします。

答弁:市民協働部長

次に,新市民会館整備事業について,お答えいたします。

新市民会館の開館を飾る記念事業につきましては,現在,指定管理者や関係団体等のアドバイスをいただきながら,積極的に検討を重ねているところであります。

指定管理者制度につきましては,公の施設の管理運営に民間の能力を活用することにより,多様化する市民ニーズに,より効果的,効率的に対応し,市民サービスの向上と経費の節減等を図ることを目的とする制度でございます。

新市民会館を直営で行うべきとの御指摘につきましては,指定管理者制度を導入することによって,興行主催者等との多彩なネットワークを活用し,魅力的な事業を積極的に誘致することが可能となり,市民に多様な芸術文化の鑑賞機会を提供することが期待できることをはじめ,専門的なノウハウにより市民の芸術文化活動の支援が図れるとともに,稼働率向上や専門的人材の活用など,効率的な運営が図れるなどの理由により,昨年3月の第1回市議会定例会において,水戸市民会館条例を議決いただいたところでございます。

指定管理者は,地方自治法第244条の2及び同条例第5条に基づき,新市民会館の管理及び運営に関する業務について,市の主導による協議を重ねて締結した協定書に即して,事業を進めるものであります。

協定書におきましては,施設の維持管理のほか,市民の芸術文化の鑑賞,普及等のための事業,市民の交流促進に資する事業,災害発生時の対応など,新市民会館の設置目的達成のための基本的事項を定めております。

本市といたしましては,新市民会館の設置者として,管理運営に積極的に携わる観点から,協定書に基づく指定管理者の事業計画策定に当たっても,その内容について十分にチェックを行い,効果的な事業実施により,芸術文化の振興と,市民が集い,交流することによるにぎわいの創出を図ってまいります。

そして,来年7月の開館に向けて,歩みを止めることなく万全の準備を進め,多くの市民に感動や希望を与えられる施設づくりを実現し,まちのブランドイメージを高めてまいります。