日本共産党水戸市議団の土田記代美です。通告に従い一般質問を行います。

 はじめに原子力行政について伺います。東海第二原発の廃炉については中庭議員が代表で質問しましたので、私は、大洗町にある日本原子力研究開発機構の「常陽」について伺います。

機構は常陽の運転再開をめざし、新規制基準による安全審査が行われていますが、それにともない、本市の避難計画も改定され、原発事故前には8キロ圏内だった計画が、5キロ圏内となりました。

常陽は、出力14万キロワットで、新規制基準では30キロ圏内の避難計画が必要となったものを、5キロ圏内でよしとされる10万キロワットに出力を抑えるとして審査申請をしました。しかし、これは「ナナハンを30キロ以下で運転するから、原付バイクの免許でいい」と言っているようなものだと、当時の原子力規制委員長に厳しく批判され差し戻された経緯があります。設計を変更して再度申請したとのことですが、装荷する核燃料の数を減らすなどという変更で、原子炉自体が変わっているわけではないと思われます。

機構は、長年にわたり、事故や不祥事、情報隠しなど、数々の問題を起こしてきており、言葉通りに信用できる組織なのか、はなはだ疑問を感じております。現在、旧動燃の不当差別裁判が水戸地裁で行われていますが、裁判の中でも、組織の隠ぺい体質や、いわゆる「原子力ムラ」でしかありえないような異常な閉鎖性に因する様々な問題が明らかになっています。合併し、研究開発機構となっても、こうした根深い、風通しの悪い風土が改善したとは信じられないため、本市としても、万が一にも市民が避難を余儀なくされる可能性がある危険な事業所として、安全管理や運転再開については厳しい対応をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

常陽は、実験炉とはいえ危険な高速増殖炉です。「夢の原子炉」として核燃料サイクルを担うとされながら事故続きのもんじゅの廃炉が決まり、すでに核燃料サイクルは破綻しているものと考えます。大量にたまったプルトニウムや、増え続ける使用済み核燃料の処分も決められない中で、次世代に危険と不安だけを押し付けるものであり、もはや未来に不要の技術開発だと考えます。実験の目的や実験炉の再稼働についても、隣接自治体として市民の安心・安全を第一に考え、機構にしっかりと情報を求め、きちんとものを言うべきと考えますが、ご見解を伺います。

答弁:市民協働部長

土田議員の一般質問のうち,原子力行政に係る御質問についてお答えいたします。

高速実験炉「常陽」につきましては,平成29年に行った安全審査の申請時において,原子力規制委員会から「運用する熱出力を書面上だけで低く抑えている」との指摘を受け,当時,審査保留の処分となったところでございます。その後につきましては,指摘事項の改善と安全性の向上を図るため,出力を抑えた炉心への設計変更がなされ,平成30年10月から安全審査が再開されております。

本市におきましては,事業者である「日本原子力研究開発機構」から,審査の状況について,毎週報告を受けているところであり,二度と安全性を欠く行為を行うことのないよう,継続して厳しいチェックに努めてまいります。

試験・研究用の原子力施設につきましては,産業や科学技術の発展において重要な役割を担っていると認識しており,常陽につきましても,高速炉としての研究を通した原子力施設の安全性の向上のほか,国産の医療薬製造に向けた活用等について,期待されているところでございます。

しかしながら,一方で,これらの施設につきましては,保有する原子炉が小規模であるとはいえ,原子力施設としてのリスクがあり,常陽を含めた周辺の研究施設から半径5キロメートルに位置する本市の一部の地区については,事故等に備える必要がある区域に指定されております。

そのため,本市においては,原子力災害が発生した場合に備え令和3年5月に避難計画を策定し,避難対象となる住民に対して,周知を行っているところでございます。

本市におきましては,今後とも,周辺の原子力研究施設と連携強化を図りながら,万全の安全対策を講じてまいります。