次に、動物行政について伺います。

本市が動物愛護センターを開設し3年がたちました。同時にはじまった新型コロナ感染症の影響もあり、なかなか思うような運営ができず苦労されてきたことと思いますが、職員の皆さんや市民の皆さん、そして地域のボランティアの皆さんのご協力をいただきながら、市として殺処分ゼロを達成、継続していることに、まず敬意と感謝を表したいと思います。

茨城県の動物行政が、なかなか改善されない中で、これまで水戸から収容されていた動物たちを、県ではなく、水戸市が独自で対処することになったことから、私は、本市は安易な殺処分ではなく、徹底した返還と、センター自身が譲渡事業に力を注ぐこと、センターの飼養環境を整えることなどを求めてきました。昨今は、多頭飼育崩壊や、高齢者の方の死亡などによる飼育放棄など、収容動物の増減は予測できるものではなく、頭数が増えてしまって大変な状況となることもある中で、踏ん張って「いのちを生かすセンター」として運営していることは、県都として誇れることでもあり、水戸市が収容犬猫の情報発信などの工夫や返還率の向上に取り組んできたこと、市民に開かれたセンターとなっていることなど、相変わらず県民に見えない大部屋に犬たちを詰め込み、増えれば殺処分という選択肢しか持とうとしない茨城県にも、ぜひとも見習ってもらいたいと強く思う次第です。今日はさらなる改善をもとめ3点の提案をさせていただきます。

(1)1点めは、愛護センターでの集団手術についてです。センターに収容されてしまう犬猫を減らすためにもっとも重要な対策は、新たに飼えないいのちを増やさない、不妊・去勢手術の徹底です。飼い犬・飼い猫の手術については補助制度がありますが、なかなか徹底されていないこと。さらに地域で暮らしている飼い主のいない猫の手術は、徹底的に行わない限り、収容動物は増え続けてしまいます。

そこで、愛護団体やボランティアさんたちは不妊去勢手術を低料金で一気にやってくださる獣医さんと、各地で集団手術を行っています。この取り組みが、愛護センターでできれば、本市の動物問題に大きく寄与できるものです。昨年7月に一度、ボランティアさんたちのご協力で実現したとのことですが、今後、定期的に行ってはいかがでしょうか。まずはボランティアさんのご協力をいただきながら、将来的にはボランティアさんたちの負担を軽減できるよう、本市が独自事業として行えるようにしていくことを求めるものです。ボランティアさんたちは日々の保護活動で、体力的にも経済的にも大変な思いでがんばっておられます。本市ができることを積極的に行い、多くの皆さんと協働し、本市動物愛護の推進と殺処分ゼロの継続を実現することを求めます。

(2)2つめは、啓発と犬猫の住民票についてです。

古河市では、来年度から猫の住民票制度を始めるということですが、これは、飼い主のいる猫の所在を把握しながら、飼い主の適正飼育への意識を高め、さらに飼い猫と野良猫の区別をつけ、不幸な命の増殖を抑えていこうという取り組みです。殺処分につながる犬猫の収容を減らすには、まずは迷子にさせないこと、そして迷子を速やかに確実に飼い主に返還することが肝要です。そこで、水戸市でも独自の取り組みとして「犬猫の住民票」制度を作ってはどうかという提案です。住所と名前、さらに写真を登録し、市と飼い主が共有する情報とすることで、飼い犬・飼い猫の登録の徹底と、動物愛護・適正飼育の啓発に資する先進的な事業となり、迷い犬猫を減らし飼い主への早期返還に確実につながるものと考えますがいかがでしょうか。

(3)3つめは、医療機器の充実とセンター獣医師の技術向上についてです。

まず、愛護センターにレントゲンやエコーなどを導入し、センターで負傷動物の治療ができるようにすることを求めたいと思います

茨城県では、県民が事故などで負傷した動物を発見しセンターに連絡しても、「治療はできない」と提携の獣医を紹介されるだけで、県民は途方に暮れるばかりです。また、県が捕獲した動物が骨折していても、レントゲンがないために確認できず放置されてしまい、すぐに治療すれば予後が改善できた子が、生涯障害を持ち続けることになったりしています。

水戸市では、市民が負傷動物をみつけたら、愛護センターに駆け込めば治療ができるという体制となれば、さらに市民とともに動物愛護先進市をつくっていけるものと考えます。そのためにも、センターの獣医職員が医療技術を習得し臨床の経験を積めるよう、動物病院での研修などを位置付けてはいかがでしょうか。ものいわぬ命を大切にできるまちとなることは、市民や子どもたちへのなによりの啓発、未来へのプレゼントとなります。ぜひ前向きなご答弁をお願いします。

答弁:保健医療部長

土田議員の一般質問のうち,動物行政として,動物愛護センターでの集団手術についてお答えいたします。

集団手術につきましては,今年度,新たに,ボランティアの方々を支援するための取組として,愛護センターにおいて,センターが主体となり,動物病院の獣医師及びボランティアとの連携により,飼い主のいない猫を集団で不妊去勢手術を実施したところであります。

今後につきましても,機会を捉えながら,当該取組を実施してまいります。

次に,啓発と犬猫の住民票についてお答えいたします。

はじめに,飼い主への適正飼養などの啓発につきましては,広報みとやホームページ等に情報を掲載するほか,啓発用リーフレットを作成し,愛護センター内で開催する講習会や市内の各種イベントにて配布するなど,普及啓発に努めてきたところであります。

また,迷い犬猫への対策につきましては,犬の飼い主に対しては,狂犬病予防法に基づく犬の登録と鑑札等の装着のほか,条例に基づく犬の係留などの法令遵守の指導を行っております。一方,猫の飼い主に対しては,屋内での飼養の徹底のほか,やむを得ず屋外に出す場合には,名札等による所有者明示を呼びかけているところであります。

さらに,昨年6月,動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正により,ペットショップなどの犬猫販売業者が販売する犬猫へのマイクロチップの装着及び登録が義務化されるとともに,それ以外の犬猫の所有者に対しても努力義務とされました。

それに伴い,マイクロチップ読み取り装置を,愛護センターや本市保健所,警察署,各動物病院等に配置するなど,犬猫の迷子対策が一層強化されたところであります。

本市といたしましては,飼い主への適正飼養の啓発の強化を図るとともに,愛護センターが犬猫を譲渡する際のマイクロチップの装着事業を積極的に進めてまいります。

続いて,医療機器の充実とセンター獣医師の技術向上についてお答えいたします。

愛護センターの医療につきましては,開設当初から,市内の動物病院との調整により,センターでは軽傷の負傷動物の治療や譲渡する犬猫の不妊去勢手術を主体とし,重症の負傷動物については,動物病院との連携により必要な治療を行う体制を構築してきたところであります。

このため,愛護センター開設以降,治療が困難と判断した飼い主が不明又はいない,交通事故等で重傷の犬猫は,市内の動物病院と連携しながら,適切な治療を行っております。

さらに,譲渡する犬猫への不妊去勢手術につきましては,職員が主体となって,安全かつ確実に手術を行っております。

一方,職員の技術の向上につきましては,市内外の動物病院との連携により,外部の獣医師を招いての技術研修を実施するなど,技術の研鑽に努めております。

今後とも,必要な医療機器の整備を進めるとともに,市内の動物病院と連携しながら,安心・安全な医療体制の充実を図ってまいります。