次に、新市民会館整備計画について伺います

2月14日に、特別委員会の視察で、ようやく新市民会館の中を見ることができました。ホールについては、これまでの自分の経験上、設計図面で使い勝手の悪さは目に見えていましたが、実際に立ってみると、思った以上に勝手が悪いだけでなく、舞台と客席の高さ・バランスが絶望的にザンネンな形で、これは演じる側だけでなく、見る側、観客にとっても本当にガッカリなホールになってしまっていて、あまりに残念すぎて涙がでる思いでした。

当初から指摘してきたように、講演会や式典などに使うならいいのでしょうが、舞台芸術をやる人間なら1度使ったら2度と使いたくないホールが作られてしまった。しかも莫大なお金をかけてです。怒りを通り越して本当に情けなくて涙がでます。私は、計画の当初から、本計画の不備や欠陥について質問を重ねてきましたが、今日は今期最後の質問になります。3点伺います。ぜひ真摯にお答えいただきたいと思います。

(1)まず、サインについて伺います。まず伊東豊雄事務所が、検討に1520万円、設計に749万円で合わせて約2269万円。設置工事は竹中工務店が8283万円、と、1億円以上もかかったサインです。木のモザイクといいますか、木っ端を貼り合わせたようなあのサインが世界の伊東豊雄のデザインなのでしょうか。デザイン料は当然、設計費に含まれているものと考えますが、特別な木を使っているとも思えないこのサインの設置に、なぜ8000万円もかかるのか、工事費の内訳について伺いたいと思います

また、木目に小さな白い文字で、とても読みづらく、私は目があまりよくないので、間近に近づかなければまるで読めませんでした。サインの役割を果たしていないと考えますがいかがでしょうか。あれでは、必要性、機能性のないムダ遣いとしか思えません。

(2)次に、運営について、まず、こけら落としについて、野村萬斎さんがやってくださるということは、ありがたいことと思いますが、本来、狂言は、あのような大ホールでやる演目ではないのです。それこそ生の息遣い、演者がまとう空気、張り詰めた場の緊張と緩和、細部にわたる肌感や表情の動きを見る、見せるもので、遠くから遠目に眺めマイクやスピーカーを通して聴くものではないのです。それをあそこで演らせてしまうことが、本当に申しわけなく恥ずかしく思います。

さらに、ゆずの公演ですが、水戸市民が入れるのでしょうか。担当課はこれがこけら落としとおっしゃいますが、リンク先のツアーのサイトをみれば、これら落としのこの字もなく、単にツアー会場の1か所ですし、すでにファンクラブの先行販売、抽選販売が終わっており、8800円のチケットが、チケット転売サイトで1枚3万8000円、3万9000円と、4万円近い金額で取引されています。360億円もの血税でつくったホールのこけら落としに、市民がほとんど入れない。誰のための、誰の市民会館の開館なのかということです。

新しいホールの幕開けを皆で祝う、これが舞台のこけら落としの意味です。心配していた通り、市民は入れない。市民不在のザンネンでトンチンカンな幕開けになる。本当に恥ずかしい限りです。

せめて、今後の運営では、少しでも市民への還元を考えるべきです。年間の維持管理運営費だけでも3億7千万円、1日100万円以上の税金が投入され、さらにこれから莫大な借金を、市民が返していかなければならないのです。早晩、閑古鳥が鳴く負の遺産になるものですが、せめて少しでも市民が活用できるよう、市民利用については貸館料の見直しをすべきです。入場料なしの発表会や講演などの市民利用は無料にすること。入場料を取る場合でも、市民や市民団体の利用は割引とすることを求めます。ご答弁願います。

(2)最後に、市民の損失についてです。住民訴訟も大詰めを迎え、本計画のずさんで無謀な進め方、地方自治法、地方財政法を逸脱した税金支出の異常さも浮き彫りになってきました。莫大な無駄遣いで将来にわたって市民を苦しめる負の遺産をつくってしまったこと。さらに、計画当初から、かたくなに市民の声をきかず、1万5千人もが署名をした住民投票条例の請求も切り捨てて、問題山積のまま、それらの問題を何一つ解決することなく強行したことの責任が、これから長きにわたって問われます。また、本市の文化的な損失についても、大きな責任が問われます。旧市民会館が担っていた文化的役割、県民文化センターの大ホールでは大きすぎ小ホールでは小さすぎる、ちょうど真ん中の1000席規模の中ホール。この大中小がそろっていたホールのバランスが、本市の文化には非常に重要であり、市民が多種多様な文化公演に触れられる大きな財産だったのです。これを完全に喪失してしまったことへの責任について、どう考えるのかを伺いたいと思います。

答弁:市民協働部長

次に,新市民会館整備計画について,お答えいたします。

水戸市民会館は,ホール,会議室,展示室,スタジオ,和室,楽屋のほか,やぐら広場やラウンジギャラリー,屋上庭園等のフリースペース,エレベーターやエスカレーター,地下駐車場など,施設の構成が多岐にわたっていることから,市民をはじめとする来館者に分かりやすいサイン表示を行ったところでございます。

サイン設置工事につきましては,全館案内図やフロア案内図をはじめ,室名表示,誘導表示,デジタルサイネージなど,多様なサイン表示が約1,500か所にも及ぶものであり,適正な工事費であると考えております。

次に,利用料金減免については,大ホールにおいて,公演等の当日以外の日に会場設営,準備,リハーサル,撤去等を行うときは,通常料金の約50パーセントの料金となります。

また,市民向けの割引サービスとして,水戸市に住所を有する方,水戸市に所在する団体については,中会議室,小会議室,特別会議室,和室,板の間に限り,利用希望日の7日前に対象施設が空いている場合は,50パーセントの料金割引になります。

これらの市民サービスを行うことにより,市民の関心を高め,施設の稼働率の向上を図ってまいります。

市民会館につきましては,市民の多様な意見を反映し,特別委員会の中でも十分な御審議をいただきながら,幅広い用途に利用でき,市民の多様なニーズに応える施設として,2,000席の大ホール,482席の中ホール,リハーサル室としても利用できる小ホールのほか,展示室,会議室,スタジオ等を整備したものでございます。

ホールの設備につきましては,高い性能を備えた音響,照明等を設置するなど,主催者や観客の皆様方に満足していただける施設となるものと考えております。

また,楽屋やリハーサルに対応する小ホールなどの機能が充実しているため,以前から御要望の多い全国規模のコンクール大会や式典などについても,多くの開催が見込まれるものであります。

市民会館につきましては,施設の利便性を高め,市民利用を促進することとあわせ,多世代交流,健康増進,高齢者の居場所づくり,子育て支援などの事業を積極的に展開し,少子・高齢化やコミュニティづくりなどの現代的な課題を解決していくとともに,学生など若者の文化を新たに生み出してまいりたいと考えております。

本市としましては,全国の多くの方々から選ばれ,市民に愛され,活用され,市民が誇りに思えるような施設運営を行い,中心市街地の魅力や活力を高めていくことで,将来にわたってにぎわいのある楽しめるまちをつくってまいります。