日本共産党水戸市議団の土田記代美です。本定例会に提出されました議案16件のうち、議案第61号、第62号、第63号、第64号、第65号と、認定第1号および第2号の、計7件につきまして、通告に従い反対討論を行います。

まず、議案第61号および第62号は、水戸市農業集落排水事業にかかわる議案です

農家などが加入している農業集落排水事業を、地方公営企業法に全部適用するもので、これにより使用料金がこれまでの定額制から従量制にかわることになり、1150世帯、37%を超える世帯が値上げとなります。また農業で使用する水道料金は、下水道料金から除外するとしていますが、そのためには、新たにメーターを購入し設置しなければなりません。購入補助や3年間の期限付きで料金の減免制度を設けましたが、今、厳しい経済情勢の中で苦しむ農家に高額のメーター代を負担させること、3年をすぎれば下水道料金が跳ね上がることを考えれば、とても認められません。収入が見合わず縮小している本市の農業をまもり支えることこそ本市がすべきであり、農家の負担を増やす本条例には賛成できません。

次に、議案第63号~65号の3件は、新市民会館整備事業に関わる議案です

新市民会館整備について、私たちは一貫して現計画の見直しをもとめてきました。欠陥や不備、現実を直視せず、市民の声に耳をかさずに無謀な計画を強行してきたことは、本当に本市の負の遺産になると考えるものであり反対します。

これまでの経過で、莫大な整備事業費だけでなく、ホール施設の特性や市民会館の在り方についての文化的側面からみても、あまりにずさんな事業としかいいようがなく、今議会の特別委員会審議でもびっくりな答弁がありました。2000席の大ホールの音響設備の選定のため、水戸芸術館に機材を持ち込んで試してみたとのことですが、正直、あきれました。2000席で、しかも3階席まである大ホールの音の響きと、300席の小ホールの音の響きはまるで別物です。同じ機材でも効果がまったく違うものであり、このキャパの差では比較にもならないことは舞台にかかわる人間なら普通にわかることです。こうした意味のないムダな労力とそこに使われる税金が、まさに本事業のいいかげんさを表しているとしかいいようがありません。市民不在なだけでなく、専門家も不在、ただハコモノありきで残念な大ホールがつくられてしまい、将来に渡って市民生活を圧迫し続けることになる本事業にかかわる議案については、賛成できません。

次に認定第1号、令和3年度水戸市一般会計および特別会計決算の認定につきましては、市政全般におよび論点が多岐にわたるため、そのうち7点に絞って意見をのべさせていただきます。

はじめに、昨年度、マイナンバー制度にかかる委託料等に2256万9883円、マイナポイント設定支援のために956万553円が支出されましたが、私たちはマイナンバー制度とマイナンバーカードおよびポイント事業について根本的に反対の立場であり、これらの支出は認められません。

そもそもマイナンバー制度が浸透せず、マイナンバーカードの普及が進まないのは、個人情報の漏洩やプライバシーの侵害、ネット空間の情報セキュリティ―への不安や、将来的に国にあらゆる個人情報を一元管理されることへの不信感が、国民の中で払拭されないからだと考えます。結局、国の管理となった「地方公共団体情報システム機構」による度重なるシステムの不具合や改修、マイナンバー情報の漏洩や紛失、不正流失などのニュースはあとをたたず、これは、見切り発車で始まり制度設計も安全性も確立しないままに無理やり進めてきた政治の失敗ではないでしょうか。

昨年度の「個人情報保護委員会」の年次報告では、民間事業者による個人情報漏洩や紛失は5846件、前の年度より1705件も増えています。さらに、つい最近、自治体の職員が市民550人分のマイナンバー情報を不正に持ち出したというニュースもありました。しかも、番号が不正に持ち出されても、それが不正に利用されるおそれはないと国が判断し、持ち出された番号の変更をすることもできなかったとのことです。不正に流出しても一生かわらない番号で国民の情報が一括管理されるという、先進国ではありえない制度です。

さらに、つねに不正なハッキングやウイルスなどと‘いたちごっこ’のネット社会では、プライバシーや安全をまもれる術がないと考え、カードの取得をためらう市民に対し、カードをつくれば2万円、などという勧奨のためのポイント制は、公金の使い道として根本的におかしいのではないでしょうか。制度の運用およびカード普及の推進に強く反対いたします。

また、カード取得は、それぞれ個人の判断が大前提であることから、本市が職員に対し、カード取得を強制するようなことはあってはならないと考えるもので、職員への勧奨や事実上の強制をしないことをもとめます。

2つめは、職員体制についてです。昨年度、水戸市の会計年度任用職員は996人、職員全体の32.5パーセントであり、実に3人に1人以上が非正規職員ということです。さらに、そのうちの84パーセントが女性であり、多くの女性が安い給料と不安定な勤務条件で雇用されているということになります。その一方で、女性管理職の割合は一向に増えておらず、令和5年度に20パーセントとする目標を掲げながら、昨年度は15.5パーセントと、逆に減っています。本市の職員体制には、まずジェンダー平等の改革が必要と考えます。

また、非正規雇用の待遇改善のために、民間では5年以上働けば正職員として採用する制度がありますが、市役所には適用されないとして恒常的に3割以上の職員が非正規となっている現状は、まさに、本市が官製ワーキングプアを作り出しているといわざるをえず、早急に根本的な改善をもとめます。

3点めは、泉町再開発事業に関わる支出です。昨年度は、新市民会館の保留床取得に54億7200万円、再開発事業補助金に22億円、周辺道路整備等に6億1200万円、合計で82億8400万円が支出され、水戸市の借金は2373億円に膨れ上がりました。

新市民会館建設については、ずさんな計画とムダな事業費が次々と積み重なり、市民の理解も得られないまま、今や360億円以上にも膨れ上がっています。水戸地裁では、まさにこの税金支出の不当性が争われていますが、裁判所で水戸市が明解な反論をしていないため、公判での市長の証言がもとめられています。これらの支出は、法で定められた最小経費原則、市長の裁量権を逸脱した、地方自治法および地方財政法に違反すると考えるもので、到底認めることはできません。

さらに看過できないのは、周辺整備の中に、新市民会館の目の前に穴吹工務店が建設する19階建てのマンションが含まれ、その実施設計に3000万円が支出されたことです。

一民間企業が建てるマンションの実施設計に、なぜ水戸市が税金を使わなければならないのでしょうか。泉町の再開発に関しては、特に財政のタガが外れており、放漫な大規模事業となった新市民会館にかこつけ、まるで関係のない工事までがどさくさまぎれに強行されているものといわざるを得ません。計画の見直しとマンション建設への補助の中止をもとめるものです。

4つ目は、市税等の取り立てについてです。

4大プロジェクトをはじめとした大型事業には際限なく税金をつぎ込む一方で、コロナ禍、そして物価高騰の波に飲み込まれ、本当に暮らしが大変になっている市民に対して、あまりに冷たい税の取り立てが行われています。昨年度、1063件の差し押さえが行われ、そのうち年金や給料の差し押さえは165件にのぼっています。さらに、問答無用の取り立てで自殺者までだしている茨城租税債権管理機構に56件の徴収委託をし、そのうち、本来は委託できない国保税が50件も含まれています。税金を使うときは市民の声もきかず莫大な無駄使いをしながら、集めるときには市民からどこまでも厳しく取り立てる、という姿勢は目にあまるものです。税金を滞納せざるを得ない世帯に対しては、丁寧な相談と減免や猶予、さらには、倒産・廃業・失業などで困窮する市民には生活を立て直すための支援こそすべきです。

5つめに、市立幼稚園の廃止に反対です。

昨年度4つの幼稚園を廃止しましたが、令和2年2月に突然だされた廃止方針により、すでに7つの園が廃止されています。年度内にいきなり廃止を決め次年度の募集を止めてしまい、残る在園児を転園させてまで廃園を強行する事態が続いています。

市立幼稚園は、長年にわたり育ててきた地域の財産でもあり、水戸市は、継続した幼小連携の教育をすすめてきた歴史もあります。できれば公立の園に入れたいという子育て世代の希望も確実にある中で、3年保育の実施や給食の提供など、時代にあった充実をすすめるべきところを、ただただ園児が減るのを待って廃止に向かうというやり方は認められません。市立幼稚園廃止方針の撤回と、市立幼稚園の教育内容や保育環境の充実をもとめるものです。

6点目は、開放学級および給食等の民間委託化に反対です。昨年度は、市内すべての開放学級が一気に民間委託となりました。事業者ごとの運営の違い、学校間の格差がすでに出てきております。民間委託の大義名分は、「市ではできない支援員確保」とされていましたが、民間に丸投げしたことで頭数はそろっても、本当に責任をもって子どもたちに向き合える支援員が確保されたとはいえない状況もみうけられるのが実態です。子どもたちに関わるこうした事業は、なにより本市が責任をもって直営で取り組むべきと考えるものであり、民間委託の中止をもとめます。給食の民間委託も、同様に中止をもとめるとともに、給食費の児童手当からの徴収をやめること、さらに給食費の無料化をもとめます。

7点目は、国保税についてです。昨年度も水戸市の国保会計は黒字となり、その額は16億3452万円にものぼります。これは、一世帯あたり4万6千円にもなる黒字です。高すぎて払えない世帯が8137世帯にも上っている国保税については、黒字を活用し値下げをすべきです。

以上を主な理由として、認定第1号については、反対いたします。

最後に、認定第2号、令和3年度公営企業会計決算の認定につきましては、水道事業会計について、茨城県中央広域水道用水供給事業からの受水に反対いたします。

昨年度、水戸市は1億2914万7280円の受水費を茨城県に支払いました。これは、1㎥あたり591円、本市の給水原価の3.6倍です。自前の水道が、約9万人分も余っているのに、全国一高い県の水を買う必要がなく、さらに、今後、さらなる値上げも予想されている県水を買うのはもうやめるべきです。受水開始から24年間で、県に支払ってきた受水費はおよそ41億1800万円にものぼっています。

また、水戸市は、令和2年度に11パーセントの水道料金値上げを行い、昨年度も7億8000万円の黒字となっています。ムダな県受水をやめ、黒字を活用することで、市民の負担軽減や、課題である鉛管の解消、老朽施設の更新、災害対策の強化などにこそ予算を振り向けるべきです。

さらに、昨年度、県が唐突に打ち出してきた1県1水道をすすめる方針に、水戸市も巻きこまれていますが、きっぱりと拒否し、本市の豊かな水と歴史ある本市独自の水道事業をしっかりと継続していくことをもとめるものです。

以上で、反対討論をおわります。