次に東海第二原発について伺います。

福島第一原発事故から11年半が経過していますが、いまなお事故の後始末もままならず、廃炉どころか、溶け落ちた燃料デブリを取り出すこともできず、ひたすら失敗を重ねています。汚染水はたまり続け、一向に解決のめどすらたたない原発事故の悲惨さを直視すれば、事故が起きれば、今の人間には手に負えないものだということは、誰の目にも明らかではないでしょうか。本市でも、福島第一原発事故の教訓を踏まえ、市民の安全を確保するため、万が一の事故が起きれば市内全域が避難をしなくてはならない東海第二原発の再稼働については、市長も慎重な判断をしてきたものと考えます。しかし、この間、岸田首相が、いきなり原発再稼働推進に大きく舵をきる発言を重ねており、それらに対する市長のご見解を伺います。まず、今年中に10基を稼働、さらに来年の春から夏以降にかけ、東海第二原発を含む7基については、国が前面にたって着実に進めると言い出しました。これまで、高橋市長も水戸市議会も、東海第二原発の住民理解のない再稼働には反対するという立場を鮮明に示してきましたが、国が強引に推し進めてくるような事態になれば、どうなるのかと市民に不安が広がっています。さらに、これまで安倍元首相や菅元首相でも踏み込まなかった原発の新増設にまで言及する岸田首相では、たとえ広域避難計画の策定が完了しなくても、原電の工事終了とともに再稼働させてしまう暴挙も侵しかねないという危機感を持っています。本市として市民の安心安全を守る責任を果たすため、待ったなしで今こそ、再稼働をさせないという意思を示すべきと考えます。先日、かすみがうら市議会では、市長が本会議で東海第二原発の再稼働に明確に反対すると表明したとのことですが、6市村での協定にもとづき、県と同様に実効性のある反対ができる高橋市長にこそ、ぜひ再稼働反対を明言していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

答弁:市長

次に,東海第二発電所に係る御質問についてお答えをいたします。

国において「現在の化石燃料中心の経済・社会,産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させ,経済社会システム全体を変革させること」を目的に,必要な施策の検討を行っている「GX実行会議」の第2回目が先月24日に開催されました。

第2回会議は,第1回会議に引き続き「日本のエネルギーの安定供給の再構築」をメインテーマに協議が行われ,国において政治的決断が求められる事項として掲げた「再生可能エネルギーの活用」と「原子力の活用」について,特に重点的に意見交換が行われたところであります。

このうち,原子力の活用に関する具体的な方針として,「設置許可の手続きが終了している発電所について再稼働に向けた取組を推進していくこと」に加え,長期的な視点として「安全性の確保を前提とした運転期間の延長や次世代革新炉の開発・建設について検討を進めること」などが示されたことから,報道機関においても大きく取り上げられたところでございます。

この会議に対する私の見解でございますが,会議において国が示した方針は,設置許可の手続きが終了している発電所7基を一律に稼働させていくというものではなく,地元了解を得ている4基については,来年夏以降の着実な再稼働を,その他,東海第二発電所を含む3基については,「地元の理解確保に向けた取組」を行っていくとしており,国が地域の実情を軽視して再稼働を推し進めるものではないという認識でおります。

そして,「地元の理解確保に向けた取組」とは何を指すのかについて,国に確認したところ,「地元の自治体が必要とする支援や国に対する要望等があれば,きめ細かに対応していく」という趣旨であるとのことでございました。

本件につきましては,国において,今月中に私に説明に来るとのことでございますので,改めて東海第二発電所に対する国の方針を確認してまいります。

私は,「東海第二発電所の再稼働については,施設の万全の安全対策が完了していることはもちろんのこと,全ての市民の安全な避難に向けた実効性のある広域避難計画が策定できない限りはあり得ないこと,その上で多くの市民の皆様の声を十分考慮し再稼働の是非について判断していくこと」を繰り返し発言してきたところであり,発電所を取り巻く環境が如何に変化しようとも,その思いは揺るぎなく,これまでと何ら変わることはございません。

今後とも,この基本スタンスのもと,近隣自治体との連携による発電所の安全対策の向上,実効性ある避難計画の策定をはじめとする各種安全対策に積極的に取り組み,市民の皆様が安心して暮らすことのできる環境づくりを進めてまいります。