次に新市民会館整備計画について伺います。

 はじめに建設工事についてですが、過大な建物に、次々と出てくる周辺工事や関連工事について伺います。駐車場や上空通路、豪華なバス停、さらには市民会館前のマンション建設への補助など、泉町1丁目につぎ込む予算は異常なほどですが、これが本当に正当な税金支出なのでしょうか。多くの市民が疑問と怒りをもっています。

先月、常任委員会に毎月文書で報告される入札結果に、サイン設置工事8283万円、屋上整備工事495万円が出ていました。毎月、あの入札結果の細かい表を全部読み込んでいなければ気づかない工事で、気づかなければ気づかれないで進めたいという気持ちを感じるものですが、本計画ではこれまでも、こうして後付けで出てくる工事や、実証実験やらコンサルへの調査委託やPR活動など様々なことが、議会で特別委員会を設置していても知らされずに、いつのまにか進められてきました。こちらが指摘をして初めて答えるという姿勢の不誠実さについても、度々改善をもとめてきましたが、またしても相変わらずのやり方で、心底怒りを感じるものです。

サインについては、何度も質問をしてきましたが、伊東豊雄氏の建物ならサインも什器もすべて伊藤デザインになるのではないか、すべて一式を請け負うのが筋ではないかということです。サインの設計で749万円の契約、設置工事に8283万円、あわせて1億円近い費用が、新市民会館のサインにつぎ込まれるわけですが、1公共施設のサインに1億円とは、あまりに破格ではないでしょうか、いったいどれほど豪華けんらんなサインなのでしょうか。ちなみにこの工事費8283万円という金額は、今議会に出されている決算書をみれば、例えば、開設以来、努力を重ね殺処分ゼロを達成しながら取り組んでいる動物愛護センターにかかる1年間のすべての費用(8481万円)とほぼ同じ。また、私たちがいつも増額をもとめている小学校修繕費(3953万円)の2倍以上の金額です。税金支出の在り方がおかしいことは元より、本計画にかかる支出については、特に異常にタガが外れているのではないでしょうか、市長のご見解をおきかせください。

次に、上空通路についてですが、これも何度も質問をしておりますが、そもそも必要のないものであり、工事の中止を求めます。

本体の建設工事が進み、通路のつなぎ口が見えてきてから、市民から「あれはなんだ?」との問い合わせが増え、また、国道50号はまちなかでの勾配、上り下がりがかなりあり、ちょうど上空通路でつなぐあたりは、水戸駅側から来ても大工町側から来ても緩やかにあがっているため、車の運転の見通しが悪くなるので心配だという声も上がっています。

なにより、50号があのように低い橋で塞がれる圧迫感は、まちの景観にも、市長のいうまちの活性化にも大きなマイナスになると考えます。

上空通路は、もともと京成百貨店の強い要望で計画にのぼってきましたが、京成百貨店側の負担が大きすぎて資金を出せないということで一度断念したものです。その際にも、必要性がないものだという説明を、水戸市はしています。ところが、国が歩道橋としてならお金を出してくれることになった、千載一遇のチャンスだから作ることにしたと、突然復活し、工事が強行されています。国が歩道橋に補助をしてくれるというのなら、市にとって必要のない上空通路ではなく、例えば、この大工町の歩道橋などをなんとかしてもらった方がよいのではないでしょうか。(写真)

まちなか再生、活性化をいうのなら、まさに、そのまちなかの玄関口に、これほどボロボロの歩道橋を放置している方が恥ずかしく、大きなマイナスではないでしょうか。ただただ泉町にだけ、豪勢にお金をつぎ込んでも、真のまちなか再生にはつながらないと考えますが、市長のお考えを伺います。

次に、運営について。新市民会館は、来年7月に開館という計画ですが、いまだにこけら落としも発表されず、知事や市長が頼みにしていたG7の会合も水戸には来ないことがわかりました。とっくに開館1年前もきって、今なお開館日すら決まっていない事態は、文化ホールとしては本当に異常です。普通なら、カウントダウンの表示が掲げられ、毎日、開館日が近づいてくるのを市民が実感する、そうなるべき施設でしょう。

そこで、まず、莫大な事業費をかけ、将来にわたって市民に大きな負担を強いる新市民会館で、ただ7月オープンというだけで、なにをやるかも、いつ開くのかも、市民が知らない現状について、どう考えているのか、どう説明されるのか伺いたいと思います。市民がたのしみに、完成をまちわびている、本当に市民のための施設なら、こんな状況にはならないはずです。

しかも、建物が来月に完成するということは、もう目の前です。たとえば、3年前に開館した堺市のフェニーチェ堺なら、すでに市民の内覧会の案内で盛り上がっている時期です。新市民会館と同じ伊東豊雄氏の設計で、特別委員会でも視察に行った岐阜メデイアコスモスでも、1年前にはオープニングにむけた様々なイベントやカウントダウンに多くの市民が参加し盛り上がっていたという説明を受けました。そうしたことがまったく出てこない水戸市の現状は、つまりは、市民に理解されていない市民そっちのけの事業だということではないでしょうか。

そして、それは完成後の運営も民間に丸投げすることにも表れています。コンベンションリンケージに支払う年間およそ3億2千万円の指定管理料は、あまりに無責任な税金のムダ無駄使いです。直営で行えばおそらく半分以下でできるはずです。

さらに、新市民会館は結局、市の持ち物とはならなかったため、他の地権者に支払う家賃と共益費も合わせると、完成した新市民会館には、年間3億7千万円もの経費がかかることになります。これは1日100万円以上です。市民会館を使っても使わなくても、市民会館が開いても開かなくても、毎日100万円以上の税金が市民会館に投入され続けることになるのです。これには国の補助もなにもありませんから、市民が必死でおさめている税金から、確実に毎日100万円以上が、何十年も先までえんえんと支払われ続けるわけです。市民の皆さんが納得できる支出でしょうか。

コロナ禍のこの2年半でわかるとおり、今後、感染症とともに生きる時代には、屋内型のイベント施設は真っ先に閉鎖となり、使えない時期が長く続くことも予想されます。そもそも稼働率が見込めない施設ではありますが、直営なら維持管理費は使った分だけで済みます。しかし、指定管理では契約した金額をなにがあっても支払うしかない上、赤字となる事態になれば、結局、市が補填せざるを得なくなるでしょう。

私は、当初から立地も設計も使い勝手が悪く、稼働率は最低限しか見込めないものと考え、計画の見直しを求めてきましたが、まるで聞く耳を持たずに強行されたことは、本当に取り返しのつかない本市の負の遺産と考えます。さらに、市民にとっては、莫大な事業費を負担したうえに、市民が活用するのではなくイベント会社に赤字オーライで丸投げされ、運営や維持のために毎日100万円以上負担し続ける。さらに孫子の代まで膨大な借金返済がのしかかる会館で、もしも儲けが出た場合には民間の利益になる。と、こんな市民会館では、誰も納得しないと考えますが、いかがでしょうか。

最後に、市長の政治責任について伺います。

当初から指摘しているとおり、私は、現計画の新市民会館では、開館しても晩、閑古鳥が鳴く施設になると考えるものですが、高橋市長は、その結果責任をどうとるのか、また説明責任をどう考えているのかを伺いたいと思います。

水戸地裁で行われている住民訴訟では、本計画の、地方自治法および地方財政法違反による税金の不正支出と、市長の裁量権逸脱行為が争われているわけですが、公判で水戸市は、まるで具体的な反論も立証もできていません。抽象的な説明やあいまいな希望的観測に終始し、裁判所をいら立たせていますが、それは、この7年あまりにわたる水戸市議会での答弁と同様です。先月の公判で提出された原告側の立証計画では、今後、高橋市長自身が証人として出廷されることを求められていますが、市長が、本当にこの事業が公明正大な経過ですすめられていて、当初から言い続けている素晴らしい施設でまちなかの活性化につながるものだという自信があるのなら、ぜひ裁判所で堂々と証言をされてはいかがでしょうか。

地方自治体が、一部の声に押され、一部の利益のために、莫大な税金を無駄使いすることは許されません。公共施設はあくまで市民のためのものであることを考えれば、本事業の正当性は多くの市民にとってまるで納得のいかないものとなっており、市長には、市民の声に真摯に向き合うこと、事業計画を見直しこれ以上のムダ遣いや再開発事業に異常にかたよった姿勢を改めることを強くもとめるものです。

答弁:市長

次に,新市民会館整備計画についてお答えいたします。

新市民会館は,ホール,会議室,展示室,スタジオのほか,エレベーター,地下駐車場など,施設の構成が多岐にわたっているため,室名表示,全館案内図,フロア案内図,誘導表示などを効果的に組み合わせ,市民をはじめとする来館者に分かりやすいサイン表示を心がけた設計とするとともに,経費の抑制に努めてきたところでございます。

サイン設置工事につきましては,泉町1丁目北地区市街地再開発組合が発注する新市民会館等施設建築物新築工事とは別の事業として,所有者である水戸市が費用を負担し,工事を発注したものであります。

また,施設内外のコンクリート梁や壁,床等にサインを設置するなど,新市民会館の主要構造部に加工が必要であり,施設建築物新築工事とは密接不可分な関係であることから,効率的に工事を遂行するために,建築物の構造や工事の内容などを熟知している施設建築物の施工者を,工事契約の相手方としたところでございます。

次に上空通路についてお答えいたします。

泉町1丁目の上空通路につきましては,新市民会館,水戸芸術館エリアと国道50号を隔てた南地区の京成百貨店を結び,これらミトリオ地区の一体化及び市民の安全性,利便性の向上を図り,地域の活性化にも資する重要な施設であります。

これまで,泉町周辺地区の南北一体化を目指し,泉町1丁目南地区市街地再開発事業の計画当初から,設置に向けて検討を進めてきたところであり,国・県・市が連携して継続的な協議を進めてきた結果,国が歩行者の安全確保の観点から直轄事業化を決断したところであります。

現在は基礎工事が完了し,施工は順調に進められているところであります。引き続き,新市民会館のオープンに合わせた供用開始に向け,国・県との緊密な連携のもと事業進捗を図ってまいります。

なお,ご指摘の上空通路は,道路を造る規則に基づき,道路面から桁下の高さが約5.4mとなるよう設計しております。これは,近隣の大工町交差点にある歩道橋の高さ4.7mよりも高いことから,通行時における車両からの視界及び視認性について問題はないと認識しています。

また,大工町交差点にある歩道橋につきましては,5年毎に国において定期点検が行われており,直近の結果では補修の必要性がないことが確認されています。

次に,開館記念事業についてお答えいたします。

私は,新市民会館の運営基本理念である「多様な人々の交流と多彩な文化が織りなす,ひと・まちが輝くステージ」に基づき,多くの人が「みたい,聴きたい,行ってみたい」と思える,質の高い,祝祭感あふれるイベント等を積極的に実施し,市民会館の魅力向上につなげてまいりたいと考えております。

開館記念事業につきましては,新市民会館の指定管理者である株式会社コンベンションリンケージをはじめ,水戸芸術館など関係団体等と協議を重ねており,著名なアーティストのコンサートなどの誘致や市民文化の発表の機会を設けるなど,全体の構成が固まりつつあります。

詳細につきましては,出演者等の御都合も考慮すべきことでありますことから,しかるべき時期に公表してまいります。

開館記念事業を実施し,多くの市民の皆様や各種団体等に対し,新市民会館の具体的な利用方法を知っていただくことで,市民及び催事主催者等に施設利用の促進を図ってまいります。

また,新市民会館の機能や設備等について,多様なニーズに応えることができる施設であることを市内外へ広く周知することにより,多くの方々の関心を高めてまいりたいと考えております。

新市民会館を直営で行うべきとの御指摘につきましては,指定管理者制度を導入することによって,興行主催者等との多彩なネットワークを活用し,魅力的な事業を積極的に誘致することが可能となり,市民に多様な芸術文化の鑑賞機会を提供することが期待できます。また,専門的なノウハウにより,市民の芸術文化活動の支援が図られるとともに,稼働率向上や専門的人材の活用・育成など,効率的な運営を行うことが可能となります。

新市民会館につきましては,市民による芸術文化活動を育むとともに,魅力ある公演等を積極的に誘致することにより,市民の満足度を高め,にぎわいを創出する拠点として,年間60万人の来館者の達成を目指してまいります。