日本共産党水戸市議団の土田記代美です。只今から通告に従い一般質問を行いますが、私の質問時間の都合により、つめの原子力行政については割愛させていただきます。

はじめに新市民会館整備計画について伺います。

まず新市民会館と京成百貨店を結ぶ上空通路についてです。前回も指摘しましたが、市民にとって必要のない通路であり、計画は中止すべきです。

いったい誰が利用し誰の利便性を図るための通路なのか、市は1時間当たり4800人の通行を見込むといいますが、新市民会館は全館で最大3700名収容とされています。すべての人がこの通路を使うはずもありませんが、使ったとしても3700人であり、あまりに過大で絵空事の予測ではありませんか。そもそもホール施設を利用する人が、ついでにお買い物、ついでに散策も、とならないことは、以前から指摘していますし、数々の調査・統計などでも明らかです。ホールには、みな開演時間を目指して訪れ、終演後は速やかに帰る、公演が素晴らしいものであればなおさら、その余韻とともに帰りたい、それが文化芸術を鑑賞しにくる人の心理です。では、誰のための通路かということです。京成百貨店から再三再四要望があった、しかし利便性と集客をもとめる京成さんの負担はゼロ。ただただ市民負担でつくることに市民が納得できるでしょうか。税金の無駄遣いとしかいいようのない工事に5億4千万円です。水戸市の負担は3億2900万円で、あとは国が負担するといいますが、国のお金も、つまりは、国民の税金であり、結局、私たち市民の負担であることにかわりはありません。

さらにこの5億4千万円というお金がどんなお金か、今定例会に出された議案でみても、いきいき交流センターの建設が約4億5千万円、笠原小学校の増築、2階建10教室の校舎が5億1500万円です。酒門小の長寿命化工事は4億400万円、上空通路をやめてさらに1億円以上のおつりがくる予算です。市民が本当に必要とし、早急な建設を切望している施設や事業が本市にはたくさんあります。田中議員が指摘した4中の増築こそ待ったなしですし、水戸市の宝である子どもたちが、修繕もままならない老朽校舎で不便な学校生活を送りながら次々に卒業していきます。市の予算は企業のための通路ではなく、市と市民に必要なものにこそ使うべきではないでしょうか。お答え願います。

  • 次に市民の利益については、まず、運営を民間に丸投げすることはやめるべきです。

莫大な税金を投入して作り、作ったあとも企業のもうけに税金が投入され続けることについて見直しをもとめるものです。今回、指定管理者としようとしている会社は全国各地の集客施設の指定管理を請け負い、コンベンション誘致等を手掛ける企業で、いうなれば、営業用のハコは自治体が作ることにより、初期投資をせず、そのハコを利用して営業し、利益を得ていく会社です。さらにいえば、いわゆるコンベンション事業をメインとしており、芸術文化の専門性や実績があるとは言いがたいところです。

大きな集客施設を全国展開で回す事業者が、本市に腰を据えて水戸ならではの文化政策、市民が参画しながらの文化醸成や市民活動をしっかり支えるという、本来、市と市民会館の真の役割である文化事業を丁寧に行うとは思えません。民間事業者ならあたりまえのことですが、利益の出ないことに投資はしないし、まず、指定管理料からなるべく利益をとることが最優先となるでしょう。さらに、貸館の利用料や誘致した事業で営業利益が出た場合の収益は事業者に入るのです。つまり、市民の利益ではなく、企業の利益のために、税金でつくった施設が利用されるということです。莫大な税金を投入し続けながら、市民にはなにも還元されず、さらに市民には、将来に渡って莫大な借金返済がのしかかるのです。計画の根本的な見直しをもとめますが、そもそも市民会館は、市が責任をもって、市民のための文化施設として運営すべきものではないのか、ご見解を伺います。

答弁:建設部長

土⽥議員の⼀般質問の新市⺠会館整備計画のうち,上空通路についてお答えいたします。
上空通路につきましては,新市⺠会館,⽔⼾芸術館と国道50号を隔てた南地区の京成百貨店を結び,利用者の安全性・利便性の 向上を図る新たな歩行者導線として,泉町周辺地区における南北が⼀体となった将来構想をもとに,現在の京成百貨店である,泉町1丁目南地区市街地再開発事業の計画当初から,設置に向けた検証を進めてきたところであります。
国道50号の管理者である国をはじめ,県・市が連携して継続的な協議を進めてきた結果,国が歩行者の安全確保の観点から,直轄事業として進めることとなり,課題を解決できる手法が見出されたことに加え,施設建築物同士を繋ぐために必要な市の実質的負担分については,国庫補助制度等を最大限活用することで,国の概算工事費,5億4,000万円に対して,約1億4,300万円で整備が可能となるなど,様々な条件が整った千載⼀遇のチャンスであったことから,事業化を決断し必要な経費について,すでに9月の第3回定例⽔⼾市議会において補正予算を可決していただき,国においては,既に施工業者を決定し事業を進めているところでございます。
上空通路の設置は,市⺠の安全性,利便性の向上が図られるとともに,南北施設の⼀体化や周辺施設の活性化にも大きく寄与するものと考えており,新市⺠会館の開館までの整備完了を目指してまいります。

答弁:市民協働部長

土田議員の一般質問のうち,新市民会館整備計画に係る市民の利益についてお答えいたします。

指定管理者制度につきましては,公の施設の管理運営に民間の能力を活用することにより,多様化する市民ニーズに,より効果的,効率的に対応し,市民サービスの向上と,経費の節減等を図ることを目的とする制度であります。

新市民会館におきましては,指定管理者制度を導入し,興行主催者等との全国的なネットワークを有した民間の指定管理者が施設を運営することにより,行政が直接運営する場合と比べて,魅力的で市民ニーズの高い事業が積極的に開催されることが期待できます。

また,民間の創意工夫による市民の芸術文化活動の支援や,にぎわいの創出を図ることができます。

このことにより,多様な芸術文化の鑑賞機会の提供をはじめ,新たな交流や人の流れが創出され,市民の芸術文化施設の拠点として,ふさわしい管理運営が行われるものと考えております。

本市におきましては,多様化する社会の中で,芸術文化は人々の心を豊かにし,感動や活力を生み出すものと認識しております。

市民の誰もが芸術文化を身近に親しめる新市民会館につきましては,令和5年7月のオープンに向け,万全の準備を着実に進めてまいります。