日本共産党水戸市議団の土田記代美です。

本定例会に提案されました議案のうち、議案第79号、第85号、第87号と、報告第49号、認定第1号および第2号の、計6件につきまして、通告に従い、反対討論を行います。

はじめに、議案3件について。まず、議案第79号は、水戸市立幼稚園の廃止にともない条例の一部を改訂する議案です。

昨年2月に、突然示された市立幼稚園の再編方針によって、昨年4月には五軒幼稚園が、今年は、飯富幼稚園と稲荷第二幼稚園が廃止されました。今度は、城東、千波、梅が丘、妻里の4園を廃止するというものです。市立幼稚園の定員割れが長く続いている中で、3年保育に移行するなど、希望者が入りやすいような改善、工夫をすることなく、廃止していくことは認められません。

子育て世代の市民からは、市立幼稚園に入れたくても、4歳になるまで待てなかったという声や、公立の安心感をもとめる声を多数聞いており、存続のための努力こそすべきです。

また、市立幼稚園は、長年地域に根付いてきた歴史もあり、住民にとってのひとつの財産でもあります。小学校に隣接し、本市の方針として積極的に幼小連携にも取り組んできたはずの幼稚園を、いきなり放棄するやり方には怒りを覚えます。

五軒幼稚園や飯富幼稚園では、在園児を転園させてまで廃園し、また、見川幼稚園では、新園舎の建設を地域が楽しみに待っていたにもかかわらず、今後の推移をみて再検討となってしまいました。これまで通り2年保育をただ継続し推移をみて、園児が減れば廃止に向かうという姿勢は、市の責任放棄としかいいようがありません。廃止ありきの方針の撤回と、市立幼稚園は、市民のニーズにあったより充実した幼稚園として、また幼小連携や地域との交流を大切にしながら、地域の宝として市が責任をもって運営することをもとめるものです。

 次に、議案第85号、市道酒門358号線の用地取得については、新ごみ処理施設のための道路建設であり、すでに既存の県道を利用して新ごみ処理施設は稼働しており、必要がなく、計画当初から反対している地権者もおります。新たにゴミ収集車がひっきりなしに往来する道路をつくることは、住民にとって、危険も伴う住環境の悪化を招くもので、強行すべきではないと考えます。よって本議案に反対いたします。

 次に、議案第87号、令和3年度水戸市一般会計補正予算(第5号)については、2つの理由から反対いたします。

1つは、新市民会館と京成百貨店をつなぐ上空通路の建設に反対です。

この上空通路については、5年前に議論が尽くされており、水戸市にとって必要のないものであることは明白です。また、当初から京成百貨店から再三要望があったものの、京成百貨店が自己負担分を出せないことから断念した経緯もあります。ところが、今回は、国と水戸市の負担で作ることになった、と、353億円以上にも膨らんでいる新市民会館整備に、さらに5億4000万円もの工事が加わり、本市の負担分として3億2900万円の予算が計上されています。

そもそも通路を想定しない設計で、すでに建設が始まっており、計画上にあった学習ラウンジがなくなったり、利用者の動線が変わったりと、中途半端な設計変更が加えられますが、世界的建築家がこのような安易な設計変更に応じること自体にも疑問を感じます。必要のないデッキ通路で50号に大きな日陰をつくり景観も損なわれ、またデッキでつなぐ京成百貨店と市民会館の2階の高さが違うために傾斜がつき、雨ですべるなどかえって危険になることも心配されます。

横断歩道と地下通路を利用する前提で設計されている新市民会館に、こうした通路をとってつけても、会館利用者の利便性が高まるとはとても考えられません。

市民にとって必要ないものを、もっぱら京成百貨店の集客と利便性のために、5億4千万円もの税金を使ってつくるなど到底認められません。

2つ目は、マイナンバーカードの推進のための予算です。市民センターで受け付ける際にクオカードを配るというものですが、そもそもマイナンバーカードの取得率があがらない理由は、マイナンバー制度自体への不安や不信感が根強いためと考えます。私たちは、国民に番号をつけ、個人情報を国が集約し管理するマイナンバー制度自体に強く反対してきましたが、制度開始以来、情報漏洩やプライバシーの侵害など、山積する問題はなんら解決されていない中、保険証やクレジットカードとの紐づけなどが強行されようとしています。そもそも、1つのカードに多くの情報を集約することは、今のネット社会では最も危険なものであること、世界的にも、重大な情報流失や不正利用が後を絶たず、国民の情報を1つの番号に集約すること自体を、各国が見直し、廃止に向かっている中で、いまどき、マイナンバー制度を推進すること自体が時代にそぐわない政策です。本市が、市民の安心安全を確保できる保証もないままに、カード取得の推進をすることは認められません。

次に、報告49号につきましては、これもマイナンバー制度にかかわる条例の一部改訂であり反対いたします。カード再発行のための800円の手数料の徴収を、本市から地方公共団体情報システム機構に移すというものですが、一昨年は147件、昨年は273件もの再発行があったとのことです。カード発行を増やすほど紛失等も増え、手数料の市民負担と同時に情報管理・情報漏洩の危険も増すものと考えます。さらに、地方公共団体情報システム機構は、システム障害や情報流失、さらには不明瞭な入札など、数々の問題を起こしており、機構によるシステム管理自体にも疑念がつきません。たびたび変更を余儀なくされてきた本市のシステム料や、推進のための負担も年々増えており、マイナンバー制度の運用を中止すべきです。

次に、認定第1号および第2号についてです。まず、認定第1号、令和2年度一般会計および特別会計決算につきましては、多数の意見がありますが、今回は4点に絞りまして、反対の意見を述べます。

はじめに、昨年度、後期高齢者医療保険料が10%値上げとなり一人当たり平均7289円、総額、約3億円の負担増となりました。この値上げは認められません。

茨城県後期高齢者医療保険会計は黒字であり、値上げをする必要はなかったものと考えます。32億円もの黒字を活用して、高すぎる保険料の値下げをすべきです。また、滞納した高齢者に対しては、保険料の減免や分納の相談に丁寧に応じて保険証を交付し、必要な医療が受けにくくなる短期保険証の発行はやめるべきです。

2点目は、市税等の差し押さえについてです。昨年度1078件もの差し押さえが行われ、そのうち年金や給料などの差し押さえが527件となっています。昨年度から猛威をふるうコロナ禍で、困窮する世帯はさらに増えており、生活の糧である年金や給与の差し押えは、まさにいのちにかかわる問題です。

また、苛酷な取り立てで自殺者まで出している茨城租税債権管理機構への委託をやめるべきです。昨年度、63件を委託し、さらに水戸市は、原則として機構では扱わないとしている国保税まで53件も委託しています。そもそも高すぎる国保税の取り立てを、容赦ない債権機構にまかせるなど、自治体としてあってはならないことです。

さらに本市では、滞納した税に高い延滞金が課せられ、昨年度の延滞金徴収額は9094万7541円にのぼっています。一方、延滞金の減免件数はわずか8件、27万1000円に過ぎません。市民の生活実態を無視した取り立てや差し押さえをやめ、分納や減免に積極的に応じ、市民のいのちと暮らしを守ることをもとめるものです。

3点目は、開放学級の民間委託に反対します

昨年度、13校が民間委託となりましたが、これは、一昨年度、梅が丘小学校を試験的に民間委託して一年もたたないうちに、年度途中で全市を民間委託とする方針が出されたもので、あまりに拙速で乱暴なやり方でした。現場との話し合いや保護者への報告、指導員への十分な説明もなく進められ、民間委託となった学級の実態調査や検証もなされないまま強行されたもので、本市の責任放棄としかいいようがなく、断じて認められません。

現在では、市内全ての開放学級が、民間の3社に委託されておりますが、委託会社によって指導員の労働条件や教室の運営に格差が出ている、市との連絡連携に不安を感じているなど、様々な声が聞こえてきています。開放学級は、教育の一環であり、子どもたちの大切な居場所です。どの地域に住んでいても、本市が一貫した方針をもって、直接ひとりひとりの児童に関わり、子どもたちが安心して過ごせる学級を、市の責任で運営すべきと考えます。さらに、コロナ禍で想定外の苛酷な労働となり、様々な苦労を重ねている指導員が、格差なく安心して働ける環境を整備することは市の大きな責任であり、民間任せで安い労働に置き換えられることなどあってはならないものです。

4点目は、新市民会館整備計画についてです

昨年度、保留床の取得費として42億8500万円、再開発事業費として伊勢甚所有の旧京成デパートの解体工事費などで17億2354万円、周辺道路整備費として1億6181万円、合計で61億7030万円もの莫大な税金が支出されました。

新市民会館整備事業は、当初68億円の計画が、すでに353億円以上に膨れ上がっています。これは、そもそも市民と市民の文化のための市民会館ではなく、長年頓挫していた泉町1丁目北地区の再開発事業として、一部の地権者と一部の建設事業者などのために、不透明で不明瞭な形で強行されたものであり、多くの市民が疑問と怒りを持っています。

本事業について、当初から計画の見直しを求めて活動してきた市民から、高橋市長が公金支出の差し止めと返還をもとめられる住民訴訟が、現在、水戸地裁で争われています。地方自治法、地方財政法に違反する不正な支出として訴えられ、審理が進められていますが、原告側の具体的な指摘に対し、本市があいまいな解答しかしない、あるいは解答不能となっている公判が続いています。これほど無謀で道理のない事業を強行した責任を、本市はどうとるのでしょうか。現計画の支出については、到底認められません。

また、建設予定地に長年空きビルを放置していた伊勢甚には、すでに移転補償としておよそ30億円が支払われ、昨年度は、解体費用も税金から支出されました。さらに、完成後の保留床も取得することになっております。一企業に対し、あまりに過大で異常な税金支出ではないのでしょうか。震災後、市民会館の再建を心待ちにしている市民に対し、明快な説明のつかない事業は中止すべきです。まして、思いもよらないコロナ禍に見舞われた昨年度からの本市の財政状況の中で、本事業だけは1円たりとも削らない、さらに膨らむ可能性すらあるという姿勢は、あまりに無責任であり、市民理解は到底得られないものと考えます。

市民が喜び、市民に活用される市民会館こそ早急に求められている中で、将来にわたって禍根を残す負の遺産をまちの真ん中に残す計画は、立ち止まって見直すべきです。

以上の理由から、認定第1号は認められません。

次に、認定第2号、令和2年度水戸市水道事業及び下水道事業会計決算については、まず、昨年度、水道料金の平均11%の値上げを行い、市民負担を約5億円も増やしたことに同意できません。水道会計は、毎年、約5億円の黒字があり、そもそも値上げの必要がなかったと考えます。値上げの結果、昨年度は、過去10年で最高額の、8億8000万円以上もの大幅な黒字となりました。今からでも値上げの撤回をすべきです。

また、上下水道料金への消費税転嫁に反対します。令和元年10月から消費税が増税され、昨年度は10パーセントが転嫁されました。水道料金で約1億円、下水道料金で約4500万円もの消費税負担が増え、水道料金本体の5億円の値上げと合わせると約6億5000万円もの市民負担増であり、認められません。生活に不可欠な飲み水に消費税を課税すべきではありません。まして昨年度、コロナ禍のもとで市民負担の軽減のため基本料金の無料化や、料金の値下げを行う自治体もあった中で、本市では負担増のみが行われました。本当に市民に冷たい姿勢といわざるを得ません。

最後に、茨城県中央広域水道用水供給事業からの受水についてです。昨年度、県に支払った受水費は、約1億3000万円、平成10年からの累計は約40億円となりました。本市の水道施設能力は、仮に9万5000人の人口が増えたとしても、十分賄えるほどの余裕があり、全国一高い県の水をわざわざ買う必要がありません。

昨年9月議会では、水戸市議会として「茨城県中央広域水道用水供給事業に係る受水契約の見直しを求める意見書」を全会一致で可決し、県に提出しています。しかしながら、県は、現在にいたるも契約見直しや値下げを行わないどころか、将来のさらなる値上げも示唆しております。本市の水道経営を圧迫する無駄な契約をただちに解除することを強くもとめるものです。

以上で、私の反対討論を終わります。