日本共産党水戸市議団の土田記代美です。会派を代表し、只今から通告に従い代表質問を行います。

はじめに、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。

新型コロナウイルス感染症の第5波とよばれる感染拡大が、本市でも続いている中、なによりも、まず市民の命とくらしを守ることこそ最重要の課題と考え、質問いたします。

まず、自宅療養者等の医療体制について伺います。現在、流行しているデルタ株は、感染力が非常に強く、また、これまでと違い、若年層の感染拡大、重症化のスピードも増しているとのことです。感染拡大、重症化を防ぐためには、感染者の早期発見と隔離・保護、そして早期の治療開始が肝要です。しかし、感染者が急増する中で、自宅待機、自宅療養をしている方が増えている実状があります。デルタ株は、家庭内感染や、接触なしの空気感染でも拡がるといわれており、自宅ではなく、医療機関への入院や、軽症や無症状であっても、感染していない人との接触を避けて医師の目が届き初期医療が施せる宿泊施設等での療養を原則とすべきと考えます。

首都圏では、自宅療養という名の「自宅放置」で、急激な重症化により亡くなる方も出ているとの報道が相次いでいる中、茨城県でも自宅療養者が一時は1,500人ほどとなり、そのうちのおよそ1割は水戸市民でありました。また、8月31日に自宅で亡くなった50代の男性が、死後の検査でコロナ陽性だったという事態も起きました。(9月8日、茨城県発表)

自宅で医療も受けられずに亡くなるなど、あってはならないことであり、また、自宅で家族全員が次々感染することや、一人暮らしで食事の支度などもままならず不安な思いで過ごすなど、市民の安心・安全とは程遠い状況を生み出すことは徹底的に避けるべきです。

本市は、中核市として独自の保健所を持ち、多数の医療機関が存在し、共同してコロナ対策にあたることができる環境にあり、また、医療資源や宿泊療養所として活用できる施設も充実していると考えます。例えば、都内の医療が崩壊している中でも、「入院待ち・自宅待機ゼロ」を実現している墨田区(地域完結型の医療モデルを構築―墨田区モデル)や、「自宅療養ゼロ」を達成している福井県などの対応が、本市でも可能なのではないでしょうか。

県まかせでなく、本市独自に、仮設の宿泊療養施設や軽症や回復期の患者の受け入れができる病院を確保して自宅療養者等をなくし、市民の安心と命を守り抜く姿勢で対策をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

また、新型コロナの影響で、救急車で運ばれても受け入れ先がみつからず亡くなられる方や、新型コロナではなく通常の救急搬送ができなくなっているなどの報道が、全国で様々ありますが、本市での状況について伺います。特に、新型コロナ以外の救急医療への影響についても伺います。水戸市の消防、救急の皆さんには、多くの市民がお世話になり、実は私自身もお世話になったことがありますが、本当に一生懸命に動いて、患者への気配りややさしい声かけなど、市民の不安に応えてよくやってくださっています。この間、隊員の感染対策には万全を期していることと思いますが、最前線で動く皆さんの安全に十二分に配慮しながらがんばっていただきたいと思います。

次に、検査体制については、感染拡大を防ぐには、なにより早期発見、隔離、早期治療が大事であり、特に、症状が出る数日前から感染が拡がるといわれていることから、無症状の感染者をみつけることができるPCR検査の大規模な拡充で、市中の感染拡大を抑える戦略を持つべきです。諸外国では、症状の有無にかかわらず誰でも何度でも無料で受けられることが当たり前になっている中、残念ながら日本だけがいまだにPCR検査を抑制し、感染拡大を抑え込めずにいる状況ですが、水戸市は自前で検査ができる体制をもっています。新規感染者が発症し感染が発見されてから、その周囲を検査してクラスターをみつける作業を繰り返すよりも、感染したひとを発症前に発見し隔離できれば、そもそもクラスターを防げるわけで、よほど合理的な拡大防止の戦略となると考えます。

広く市民に大規模に行うのが難しいとしても、例えば、エッセンシャルワーカーには定期的な検査をするなど、クラスターを未然に防ぐ対策を実行してはいかがでしょうか。市長のご見解を伺います。

3点目の妊産婦への対応については、やはり、この間、コロナ陽性の妊婦さんが産婦人科への救急搬送ができずに亡くなられたとか、PCR検査をしていないことを理由に受け入れを断られ流産してしまったなど、あってはならない痛ましいニュースが続き、多くの市民が不安に感じていることと思います。特別な配慮が必要な妊産婦への医療体制、コロナ対策について、本市の取り組みはどうなっているのかを伺います。

答弁:市長

共産党を代表されましての土田議員の御質問のうち,新型コロナウイルス感染症対策についてお答えいたします。

はじめに,医療体制についてのうち,自宅療養等についてでございますが,本市における自宅療養者の現状としましては,いわゆる「第5波」が到来し,従来よりも感染力の強いデルタ株の影響もあり,新規感染者が急増したところでありますが,感染者の多くが無症状や軽症者であったことから,自宅療養者も増加いたしました。

感染者の療養につきましては,茨城県と保健所がそれぞれ役割を分担して対応しており,入院病床や宿泊療養施設の確保については県が,療養先との調整については保健所が行っております。ピーク時の8月27日に145人いた自宅療養者も,現在は,茨城県が県内に複数の宿泊療養施設を追加で開設し,1,020室まで確保したことなどにより,その数は,9月13日現在で67人まで減少しております。

また,陽性となった患者の入院調整のほか,軽症となった陽性患者や退院基準を満たした陽性患者の転院調整等につきましては,入院病床のひっ迫度に応じて,主に茨城県の入院調整本部が行っております。刻々と変化する県内全体の病床状況等を逐一把握しながら,陽性患者の病状に応じた適切な対応が図られているところです。さらに,茨城県においては,県内で感染が拡大するおそれがある場合に,医療機関へ要請を行い,必要な病床数を迅速に確保するなど,陽性患者の入退院等に関して,感染状況に応じて的確な対応が可能となる医療機関との協力体制が整えられております。

本市においては,引き続き,茨城県及び関係医療機関との緊密な連携のもと,自宅療養者が安心して療養できるようサポート体制を強化してまいります。

次に,救急搬送についてお答えいたします。

本市における医療機関への受入れ照会回数4回以上かつ現場滞在時間30分以上の事案,いわゆる搬送困難事案は,昨年同時期の直近1か月と比較しますと,約40パーセント減少している状況でございます。

議員御質問のコロナ患者以外の救急搬送への影響につきましては,昨年度からコロナ患者以外の搬送が困難になることを予測して,市内救急病院と救急患者の受入れについて定期的に協議を重ねた結果,スムーズな救急搬送が実施されております。

今後も,市内救急病院と連携を図りながら,円滑な救急搬送に努めてまいります。

次に,検査体制についてお答えいたします。

PCR検査は,検査時点でウイルスに感染していないことを確認するものであり,その後感染しないことを保証するものではなく,継続して何度も検査を行っていく必要があります。また,1回の検査の結果が陰性となったことによって安心感が生まれ,感染対策をおろそかにしてしまうことも懸念されます。

本市では,これまで,PCR検査機器の増設とともに,地域検査センターの設置のほか,公的病院等へのPCR検査機器の導入など,着実に検査体制の充実,強化を図ってきたところであり,現在,民間の医療機関においても,保険診療により自己負担なしで,幅広く検査を実施しているなど,市民が検査を受けやすい体制が整備されております。

また,市保健所におきましては,積極的疫学調査に基づき,濃厚接触者だけでなく,幅広く陽性者と接触のある方を早期に検査しており,これまでの検査数は,約13,700件にのぼります。このような効果的,効率的な取組により,学校や福祉施設,職場などにおけるクラスターの発生防止に努めてきたところであります。

保健所を持つ中核市としての本市の強みは,真に必要な方に適時・適切に調査と検査を一体的に実施できることであり,今後とも現行の検査体制を堅持し感染防止に努めてまいります。

次に,妊産婦への対応についての御質問にお答えいたします。

妊娠中に新型コロナウイルスに感染した場合,特に,妊娠後期に感染すると,早産率が高まり,一部は重症化することが報告されていることから,本市におきましては,市内の産婦人科と連携し,感染時のリスクについて周知を図ってまいりました。

また,妊産婦の専門治療に備え,県は3つのブロックに分けた周産期医療体制を整備しており,新型コロナウイルス感染症患者の入院を受け入れる9医療機関を指定しております。

本市においては,感染症患者の積極的疫学調査時に妊婦と判明した場合,かかりつけの産婦人科医と情報共有を図り,妊娠中の自宅療養者には,新型コロナウイルスに伴う症状に加え妊娠に関連した異常な症状がないか,保健師が密に連絡を取って健康観察を行っており,さらに入院が必要となる際には,県の入院調整本部や周産期入院調整コーディネーターと連携し対応しております。

また,妊婦の新型コロナウイルスの検査については,妊婦の不安解消を図るため,分娩予定日が概ね2週間以内の妊婦を対象に,PCR検査等にかかる費用に対して補助を行っているところです。

さらに,重症化リスクの高い妊婦などを守るため,妊婦及びそのパートナーを対象とした専用のワクチン接種枠を新たに設けたところであります。

引き続き,関係機関と緊密に連携しながら,不安を抱える妊産婦に寄り添った支援を行うなど,妊産婦が安心して出産できる健康づくりに努めてまいります。