日本共産党水戸市議団の土田記代美です。

只今から通告により一般質問を行いますが、1つめの東海第二原発につきましては、昨日、代表質問で市長の答弁をお聞きし、先ほどの質問とも重なるところもあるため、私の質問の残り時間の都合もあり、割愛させていただきます。

2つめの新市民会館整備計画について伺います。先の見えないコロナ禍の中、このまま強行すれば本当に取り返しのつかない負の遺産になります。中止を決断し、計画の根本的な見直しをすべきと考えます。まちのど真ん中に借金まみれの大きなハコができるというだけではなく、維持管理と家賃にえんえんと税金を入れ続けてもまわらない、文化や市民生活とかけはなれた金食い虫になってしまいます。その責任がとれるでしょうか。今、立ち止まらないでどうするのか、本当に真剣に考えるべきです。

まず、施設の維持管理と運営についてですが、平成28年5月の臨時議会で、計画の是非を問う住民投票条例を水戸市議会が否決をした際、市長は「これからは、何をやるかソフト面が重要。コンテンツ検討委員会をつくりしっかり取り組みたい。」とおっしゃいました。

ところが、新市民会館でなにをやるのかやれるのか、いまだに当時とかわらぬ抽象的なイメージが語られるのみで具体的なものが提示されません。そこをお聞きします。あれから5年たってもまるで進まない具体的な運営、中身の問題は、いつ解決するのでしょうか。

他市の事例調査、ホール運営の現状把握など、普通に勉強し検討すれば、現計画のままでは閑古鳥が鳴く赤字小屋になることはわかるはずです。また、設計ができた段階で、当然、維持管理費の試算もできるはずです。ところがいつまでたっても示されない。できないのか、できていて示せないのか、とにかく施設をつくってしまえ、あとは野となれ山となれということでしょうか。お答え願います。

また、私たちが指摘し続けている様々な問題点は、今なお問題点のまま山積しています。例えば、子どもたちの吹奏楽コンクール開催時の車両動線、15分置きに次々と楽器を入れ替えるために、各校、生徒と楽器を乗せた2台分の車両を、同時に、最低でも2校ずつつけられる搬入口が必要であり、さらに順番に入れ替える何十校分の車が待機できる駐車スペースが必要です。現計画の施設ではできないがどうするのか、と、私は5年前に聞いています。できないものをできるかのようにいい続けるのは詐欺行為です。現実にどうできるのかお答え願います。その答えが現実に可能かどうか、実際にやってみないとわからないではすまないことであり、吹奏楽コンクールに出場している子どもたちにもわかることです。

次に、『新市民会館周辺にぎわい推進協議会』についてですが、設立についても内容についても全く説明がないまま、2月10日の特別委員会で突然その名称が出てきた際、いつ、どういう経緯でどういう位置づけでつくられたのかお聞きしました。たまたまメンバーが集まり、意見交換をしてつくった任意の団体、計画に位置づけはないという答弁でしたが、その後、情報開示請求で出てきた書類を見ますと、その前年から要項までつくって設立されている協議会です。全議員が所属する特別委員会には、なんの報告も説明もなく協議会がつくられ、知らないところで事業が進められていく。このように、ずっとあとになってからの事後報告だけですまされてきた案件は、今までも度々繰り返されてきました。とにかく議員にはあれこれ知らせないでやってしまおうという議会軽視の姿勢が目に余ると考えますが、いかがか、ご答弁願います

議会の答弁でも、また市長もことあるごとに「議会や特別委員会でご審議いただきながら進めている」とおっしゃいますが、特別委員会には事後報告か、まったく知らされないことが多く、いったいなんのための特別委員会かと、本当に怒りを感じます。

さらに、協議会の議事録を読みましたが、そこで議論されているのは、それこそ当初から何度も指摘している問題点ばかりです。交通渋滞はどうなるか、駐車場不足や車やバス、人の動線、年間60万人動員できるイベント誘致ができるのか、コンテンツや運営はどうするのか、などなど、誰が考えても厳しい問題です。それをなにひとつ解決しないまま、雪崩を打って建設に突入するのは、あまりに無謀です。できた建物に誰が責任をとるのか、市民にも、市民の子どもたち、その孫たちの世代まで借金を負わせる事業であり、その責任が、今、私たちに問われています。(GoToキャンペーンが止められない菅首相のように)始まった事業が、ただただ止められなかった、というのでは、本当に、本市の歴史に恥ずべき汚点を残すと考えます。

最後に、計画の見直しについてです。そもそも市民会館はなんのための誰のための施設か。公共の文化施設だという、当たり前のことが横に追いやられているから、これほど整合性のない計画になるのです。古今東西、経済効果を見込んだ文化政策は的外れであり、本市のように経済団体からの要望で文化施設をつくること自体が異様です。先ほどの協議会でも「新市民会館は文化施設ではなく集客施設として位置付けるべきだ」という意見が出ているほど、施設の在り方そのものがずれています。その根本は、長年動かなかった再開発を動かすため、一部の地権者とその周辺の利益のために始まった事業だからだと考えますが、さらに本市がこの事業で描く経済活性化は、まるで裏付けのない希望的観測です。根拠のある数字ひとつ示せないまま、大きなハコができれば賑わうんじゃないかと、古い昭和のイメージで、この無謀な計画を動かしてしまったことは、本当に恥ずかしい時代錯誤です。

何度もいいますが、劇場施設では周辺のにぎわいはつくれず、文化というのは金のなる木ではありません。経済活動とは別のステージで、お金をかけて育てるものです。時に、芸術活動に大きな経済効果があったとしても、それはその文化にあとからついてくるものであり、最初から経済のためにつくられる文化などありえない。それが文化芸術の本旨であり価値なのです。始まりから文化的視点が欠けているからこその現計画ですが、さらにコロナ禍により、経済的にも致命的な大失敗となるのは誰の目にも明らかです。これほど未来に責任がとれない施策を推進していいのか、今、立ち止まって見直すことが最善の解決策と考えます。

田中議員が代表質問で述べましたが、現在、現計画の不当な税金支出に対し住民訴訟が進行しています。また、計画の見直しをもとめる市民の会では、泉町は緑の公園に、市民会館は市有地に、元の市民会館と同様に市民が使いやすい文化施設に、と、具体的な対案を示して活動しています。裁判でも明らかにされてきている現計画の不備、5年前から何一つ解決していない構造的な欠陥は、施設を作ってしまえば、現実に市民生活を苦しめるものになります。コロナと共存するこれからの時代を見据え、取り返しのつかない過ちを回避するために、今、地上工事が始まる前に立ち止まり、対案、見直しを検討すべきですが、いかがでしょうか、お答えください。

答弁:市民協働部長

次に,新市民会館整備計画のうち,施設の維持管理と運営について,お答えいたします。

新市民会館につきましては,著名なアーティストのコンサート,演劇,ミュージカル等幅広い公演をはじめ,吹奏楽や合唱コンクールなど市民の芸術文化や創作活動の発表会,さらには,講演会,式典,全国規模の集客イベントなど,さまざまな事業を開催できる施設を目指しております。

新市民会館の事業につきましては,これまでも,市議会特別委員会において,類似施設の状況や自主事業の考え方などについて,御報告してまいりました。引き続き,市民の皆様が芸術文化に親しむことのできる機会の拡充に向け,市議会特別委員会での御意見を踏まえながら,より詳細な事業内容について検討を進めてまいります。

次に,吹奏楽コンクール開催時の車両動線について,お答えいたします。

吹奏楽コンクールの開催時においては,周辺道路における車の往来に支障を来たさないよう,一定の時間内に,機材運搬用トラックや,演奏者等の移動用バスが集中しないような施策を展開することが必要であると考えております。

周辺道路が拡幅されるほか,複数のトラックが同時に荷降ろし可能なスペースを整備することにより,円滑な交通の確保に努めてまいります。

また,水戸京成パーキングプラザ脇の市有地のほか,公共施設の駐車場等を活用し,トラック等の待機場所を確保するとともに,適切な誘導や,円滑な乗降ができるよう努めてまいります。

次に,新市民会館周辺にぎわい推進協議会について,お答えいたします。

本年2月10日の市議会特別委員会で御報告したとおり,周辺の商店会,市民活動団体,文化団体等と連携し,地域が一体となったにぎわいづくりを進めるため,新市民会館,水戸芸術館,京成百貨店の3つの施設が意見交換,情報共有する場として,『新市民会館周辺にぎわい推進協議会』を設置したところであります。

これまでも,各施設の現状に関し,参加者の共通認識を図るとともに,新市民会館を生かしたまちづくりについて協議してまいりました。今後も,新市民会館周辺のにぎわいづくりに向けて,協議,検討を重ねてまいりたいと考えております。

次に,計画の見直しについて,お答えいたします。

新市民会館の整備につきましては,芸術文化の振興や,中心市街地のにぎわい,交流を創出するとともに,市民にとって心の豊かさや優良な都市空間の構築を実現するものであり,本市の将来にわたるまちづくりに極めて重要な事業であります。

本事業につきましては,本年4月から本体工事が始まり,着実に前進しているものであり,引き続き,事業の施行者である泉町1丁目北地区市街地再開発組合と連携を図りながら,事業の推進に向けて全力で取り組んでまいります。