次に、開放学級の民間委託について伺います。

来年度から全校実施とのことですが、まず、支援員には、今月に入り、突然文書で来年度からの民間委託を決定したと通達(12月2日)し、なんの説明もなく、1月上旬に意向調査、業者未定のまま、1月中に決めるという話です。どういうことかと不安の声が続出しています。今年度、合わせて13校を民間委託した際には、民間はイヤだと思った方は、市直営の開放に移ることもできましたが、今回は全校実施で、選択の余地がありません。

水戸市に就職した支援員に、有無を言わさず紙一枚で転職させるという、あまりに敬意を欠いた対応で、働く人の尊厳を無視した横暴と捉えざるを得ません。

民間委託化については、昨年度、試験的に行うということだった梅が丘で、始まって1年もたたない年度途中でなんの検証もないまま、今年度13校が一気に民間委託とされた際、あまりに拙速な実施で、まるでだまし討ちにあったと感じましたが、また1年もたたないうちに、今、2社となっているそれぞれの運営についての比較検証もなく、いきなり全校、しかも業者未定のまま強引に進めるなど許されないと考えます。

他市の事例をみても、民間委託化はメリット・デメリットをしっかりと考察し、現場の意見や業者の調査・比較研究などを積み重ねて議論し、民間委託とする判断をした場合にも、業者選定のガイドラインをつくるなど時間をかけ丁寧に移行の取り組みをしています。それが普通の行政と考えますが、本市ではそうした事前の検討・熟慮の過程がまったく見えない上、支援員や保護者との意見交換すら行っていません。文教福祉委員会で、将来的には全校に拡げていきたいという説明は受けましたが、それから1年もたたず、あっという間に全校実施とは、あまりに拙速で乱暴な移行ではないか、お答え願います。

さらに、現場に対して説明がまったくなく、問答無用で強行する姿勢はいかがなものか、これまで本市の職員として働いてきた方たち、しかも、この間、コロナ禍の中、本当に身を粉にして務めてくださってきた支援員をなんだと思っているのかと、私は本当に憤りを感じていますが、市の認識、現場との意思疎通やコミュニケーションはどうなっているのかお答え願います。

私はこの間、民間委託となった開放の状況を聞いてきましたが、すでに2社の格差が出ています。支援員の労働環境もまるで違うし、継続が可能である保証もない。統括責任者など会社の管理者に専門性がなく現場まかせだったり、その一方で、現場の蓄積を無視して会社の方針を押し付けるなど、対応が混乱していますが、支援員はそれぞれの会社の社員となり、上に従わざるを得ないという状況です。

また3年ごとの委託では長期的な視点で運営されず、異業種からの参入が相次いでいる業界ですから、今、このコロナ禍で本体の業績低迷や、経済状況が変われば撤退される可能性が常にあり、将来にわたり安定した運営の保証がありません。なんといっても預かる相手は子どもたちです、民間のアルバイト感覚、コンビニやカラオケの店長さんの感覚で学級の運営を任せられるものではないと考えますが、実際にそうなってきていることも現場の皆さんは大変危惧していらっしゃいます。個々の児童について市と直接相談することもできず、会社を通すと、時間がかかったり、スムーズに解決できなかったり、ということも起きており、市の責任放棄ともいえる状況と感じました。

預ける親にとっては水戸市の開放学級なのに、運営が会社によって違う。しかも、民間学童と違い選ぶこともできないわけです。そもそも支援員不足が民間委託の理由だったはずで、支援員が確保できている開放では民間委託する必要はないのではないでしょうか。現状で十分に回っていて、それぞれ工夫しながら地域に根差したクラス作りをしているところまで、なぜ全部いっぺんに民間に丸投げするのか、単に市の責任放棄としか考えられませんがいかがでしょうか。

もう一点、開放学級の仕事は、企業のお客様第一のサービス業なのか?お答え願います。支援員さんたちは企業の社員となり、まず「この仕事はサービス業です、皆さんにとって、水戸市と親御さんはお客様です」と指導されていますが、水戸市はお客様なのですか?

開放学級は、市が子どもたちに責任をもって関わり運営すべき公的事業であり、支援員は、水戸の子どもたちを預かる仕事として働いてきた方たちです。子どもたちにとって、放課後の安心できる居場所であり、学校生活と密接に関わり育つ場所です。本市の教育、子育ての一環として、地域みんなで育てる仕事ではないのでしょうか。

子どもたちの様子や地域とのかかわりなどには各学区でそれぞれ特色があり、参入した会社の方針ではなく、これまで積み上げてきた経験、学級運営を尊重すべきあり、市がお客様になっている場合ではありません。直営で、支援員の待遇改善に取り組むこと、行政がしっかりと運営に関わり子どもたちの時間を充実させることこそ、本市の仕事であり、現場を無視した安易で拙速な民間委託の中止を求めます。

最後に、この間のコロナ禍において苛酷な負担を強いられ、密な教室で感染の不安と隣り合わせで勤務し続けている現場の支援員さんたちへコロナ対策として慰労金の支給を、と、前回、代表質問で提案しました。国の予算の枠外で、自治体独自で支給している例をあげて、水戸市でも検討をと求めましたが、国の2次補正予算のうち、児童福祉施設等1施設50万円の感染症対策予算は支援員への手当にも活用できるとのことで『感染症対応手当』として支給するところも出てきました。本市でも実現されるよう改めて要望いたします。

また、担当課の職員の皆さんには、ぜひ現場を訪れ、各開放学級の実情を自分の目で見て、子どもたちや支援員の声を直接聞いてほしいと思います。多様な子どもたちへの対応、コロナ対策、老朽化や不具合のある教室でどれほど工夫しながら安全に気を配っているか、なにより子どもたちが安心していきいきと過ごしている姿は、一朝一夕に現れるものではないのです。日々の積み重ねでそれぞれに特色のあるクラスをつくってくださっている支援員に対し、あまりに敬意と協力を欠いた姿勢を改めるべきです。子どもたちは水戸市の宝です。健やかに育つ環境を整えること、市と学校と各学級との密な連携で地域に根差した教室づくりに取り組むことこそが市の責任です。責任丸投げの民間委託の中止と、充実した放課後児童健全育成事業の実現を強くもとめて私の質問を終わります。

答弁:教育部長

土田議員の一般質問のうち,開放学級の民間委託についてお答えいたします。

本市では,ハローワークへの求人,市ホームページの活用,保護者に対しての募集案内等を行いましたが,支援員が確保できず,最も多くの待機児童が生じていた梅が丘小学校において,6年生までの受入れ拡大及び待機児童の解消並びに事業内容の質の向上を目指し,令和元年度に民間活力活用モデル事業を実施いたしました。その結果,6年生までの全ての対象児童の受入れが可能となり,同校の待機児童が年間を通じてゼロになるとともに,放課後子ども教室の充実が図られました。

このモデル事業の成果を踏まえ,開放学級利用児童の保護者,市PTA連絡協議会の役員,学校関係者,学識経験者,支援員等に,開放学級及び放課後子ども教室の今後のあり方について,広く御意見を伺いました。その中で,近接する複数校単位で民間委託することで,学校間の相互連携による支援員の弾力的な配置により,待機児童の解消や対象学年拡大のための課題となっていた支援員の確保が可能となり,開放学級の安定的な運営に向けて,民間委託は有効であるとの御提言をいただきました。

これを踏まえ,今年度,学級数の約半数にあたる35学級の開放学級及び放課後子ども教室の運営の民間委託を実施し,放課後等に子どもたちが安心して過ごすことができる居場所を提供する開放学級の待機児童ゼロを初めて達成することができました。

近年,核家族化や共働き世帯の増加等,家庭を取り巻く環境が大きく変化しておりますことから,今後においても,開放学級のニーズは高まるものと予想されます。そのため,待機児童ゼロの継続を目指し,速やかに民間委託の全市拡大を進めてまいりたいと考えております。

また,民間委託にあたっての支援員への説明につきましては,対象となる開放学級の支援員に対し,業務委託仕様書において「開放学級業務従事者の処遇については,本市の報酬額を下回らないようにする等配慮すること」としていることなど,随時,民間委託に係る情報を提供するとともに,訪問指導員を定期的に巡回させ,不安やトラブル等に対する相談や支援にあたっております。今後におきましても,悩みや不安を感じることなく,業務に従事できるよう,丁寧に対応してまいります。

今後におきましては,開放学級の待機児童ゼロの継続をはじめ,誰でも参加できる放課後子ども教室の実施回数の増加や,学習支援の充実を図るとともに,全ての開放学級の開設時間を午後6時30分までに延長するなど,保護者のニーズに応じたサービスを提供し,放課後等における児童の健全育成を一層推進してまいります。