日本共産党水戸市議団の土田記代美です。本定例会に提案されました議案14件のうち、議案第133号および認定第1号、第2号の3件につきまして、通告に従い、反対討論を行います。

はじめに議案第133号『令和2年度水戸市一般会計補正予算(第5号)』につきましては、2つの理由から反対いたします。

まず、マイナンバーカードのシステム改修費に計上されている1106万円についてです。私たちは、マイナンバー制度自体に反対をしておりますが、これは、現在、住民票と連携しているマイナンバーカードを、戸籍情報とも連携させるものです。これによって、海外転出している年金生活者の年1回郵送で行う現況届が、インターネットで手続きできるようになるということで、ほとんど需要もない手続きのために、戸籍という最も重要な個人情報を紐づけすることは、マイナンバーカードによる情報流出の危険をさらに増すものです。

そもそもマイナンバー制度は、システム自体が不完全なまま、見切り発車で始まり、次々と深刻な問題が噴出しています。ネットによる個人情報漏洩事件は日々起きており、また、連日報道されているドコモ口座事件など、ネットを介した大きな被害も多々起きています。ネット社会の進化の中で、悪質な犯罪を防ぐ完全なセキュリテイの構築は不可能であり、いまだ国民の15パーセント程度と、マイナンバーカードが普及しない理由は、国が個人情報を収集管理することや情報流出の危険などに対する市民の不信と不安の表れと考えます。情報は流出してからでは遅く、取り返しがつきません。情報漏洩や犯罪被害を防ぐ手立ても保証もない中で、市民の安心安全はまもれません。また、大部分が国の予算で進められるとはいえ、本市でも、システム使用料、賃料、手数料等の負担が年々増えており、法改正のたびに多額の費用をかけ、システム改修を繰り返すムダ使いと、市民の安全とプライバシーを危険にさらすマイナンバー制度の推進をすべきではありません。

2つ目は、泉町1丁目北地区市街地再開発事業に関する予算です。

再開発組合への補助、74300万円を、12060万円も増額し、86360万円とするもので反対します。本事業は、違法性が問われる税金支出に対し、差し止めと返還を求める住民訴訟も起こされており、水戸市の未来を壊す巨額のムダ遣い事業と考えます。

本再開発事業はただちに中止し、新市民会館整備計画は根本から見直すべきです。

次に、認定第1号『令和元年度水戸市一般会計及び特別会計決算認定について』、認定第2号『令和元年度水戸市水道事業会計及び下水道事業会計決算認定について』の2件につきましては、論点が多岐にわたるため、その中から6点に絞りまして、反対の立場から意見を申しあげます。

まず第1に、昨年10月に消費税の8%から10%への増税があり、これに伴い上下水道料金や農業集落排水使用料で約5000万円、国保税も限度額引上げで約2000万円、後期高齢者保険料は軽減の縮小で4900万円の市民負担が増えました。増税や災害で疲弊する市民生活を守るべき年に、逆に負担を増やしたことは同意できません。

第2に、昨年度、市民負担を増やす一方で、市税の収納では約1000件もの差し押えを行い、さらに厳しい取り立ての茨城租税債権管理機構に73件の委託をしています。そこには、本来、債権機構が扱わないとしている国保税が59件含まれており約7100万円を徴収したとのことです。市がやるべきは、市民に対する苛酷な取り立てではなく、高すぎる国保税の引下げであり、そのために一般会計からの繰入を減らすのではなく増額することです。

第3に、職員体制について、昨年度3318人のうち正職員は63%で、相変わらず非正規の割合が高く、また、職員1人あたりの残業時間が、前年度と比べ年33.2時間も増えました。今後も、さらなる災害や新型コロナ感染症などへの対策、中核市に伴う権限移譲など、短時間勤務の非正規職ではカバーできない業務は増えるものと見込まれます。そのために、職員の過重勤務や、単年度の雇用で生活設計の立てにくい不安定な臨時職を増やすのではなく、本市職員が安心して健康に働けるよう、正規職員を増やすべきです。

また、学校給食での民間委託の拡大も行われましたが、市民に身近な業務や教育に関わる業務は市が責任をもって行うべきであり、こうした民間委託の拡大は中止をもとめます。

 次に、第4は、新市民会館整備計画に関わる支出についてです。

まず、新市民会館のサイン設計契約についてです。この予算の審議の際に私は、伊東豊雄さんの設計する建物に、サインだけは別枠で他の人がやるなどありえないのではないか、

当然、トータルデザインで伊東事務所がやるとなれば、多額の契約で本体設計を請け負いながら、さらにサインはまた別建てで、ということで、まるで予算の二重取りではないか、と、質問いたしました。その際、サインはまた別で競争入札で決めると答弁され、その後、結果として、やはり伊東豊雄さんに決まったとのことでした。ところが、先の決算特別委員会の答弁では、設計や動線等を熟知している伊東事務所と随意契約をしたという話です。予算時の説明も決算の報告も、まったく納得がいかないもので、とても認められません。

新市民会館整備計画は、これまでも説明責任が果たされないままにムダな支出が繰り返され、巨額の事業費で突き進んでいますが、市民理解は到底得られないものと考えます。

多くの市民が待ち望んでいるのは市民のための市民会館であり、市民が活用できる文化ホールです。新型コロナ感染症拡大をうけ、さらに無用の長物となった現計画は根本的に見直し、一日も早く、本来の役割である、市民と文化に資する市民会館を再建すべきです。

そして、泉町1丁目北地区再開発事業については昨年度、再開発補助金・公共施設管理者負担金として26億417万8000円、周辺道路整備に約4億円のほか、市民会館費、芸術館東側駐車場を含めると、約30億3000万円が支出され、そのうち市債や一般財源の負担は、市債13.3億円一般財源1.9億円で、あわせて約15億2500万円にもなっています。

昨年7月には、それまで285億円だった事業費が、補償費など27億円も増えて312億円に増額、あまりに杜撰な補償算定のうえ、議会に報告もないまま支出されたもので、到底認められません。本事業は、当初から市民の反対意見も強く、事業費、施設規模、立地など、あらゆる点で見直しすべきです。現計画の是非を問う住民投票をもとめ、短期間に1万5千名もの署名を集めた「市民の会」では、現在、具体的な対案を示して再考をもとめています。無謀な計画をこのまま押しとおせば、将来にわたって禍根を残します。今こそ、市民の声に真摯に向き合い、立ち止まるべきです。

また、周辺道路の全面通行止め調査を毎年委託して行う必要性や、市役所新庁舎ができてからも、再開発事務所と新市民会館整備課が、わざわざ毎年400万円近くもの家賃を支払って、泉町に居続けていることにも納得ができません。市民が大変な思いで納めている税金の放漫なムダ使いと考えます。

第5に、市の財政ビジョンでは、4大プロジェクトに財政調整基金から約70億円を使うとしており、昨年度は9億円を投入し、過去最大の46億円を取り崩しました。基金残高は約27億円まで減少し、市債残高は22億円も増えて2280億円となりました。市長は、予算編成方針で、新市民会館など4大プロジェクトは着実に推進する一方で、各課には枠配分内での予算要求や経費削減を強いていますが、一体どこを向いた財政運営なのでしょう。今議会では、新型コロナによる大幅な税収減を見越して投資的事業全体を徹底的に見直すと表明されましたが、それならば、まず真っ先に見直すべきは新市民会館計画です。コロナ禍に見舞われ、市民生活が苦境にある今、大型事業優先の財政運営を根本から転換すべきです。

最後に、茨城県中央広域水道事業からのムダな受水に反対いたします。

昨年度、茨城県に受水費1億2907万円を支払いましたが、本市の配水能力は、13万750トンあり、そのうち3万3,000トンは使われていない余裕水量とのことです。つまり、本市では、給水人口で9万700人分もの水が余っており、そもそも県から受水する必要がありません。特に今回、決算特別委員会の審議で、全く受水していない旧水戸地区分が常澄地区分に含まれているため、受水単価が内原地区の3.2倍にもなっていることが明らかになりました。昨年度、市は、日量595トンしか受水していませんが、その8倍にもあたる日量4742トンの契約をしているため、使わなくても支払う基本料金が約1億1500万円となっており、毎年支払う受水費の、なんと9割も占めているという異常な状態です。

普通なら、使わない契約は解除か一時停止、減量するのが当然です。しかし、本市はこの必要のない契約を20年以上も続けてムダ使いを重ねており、これは市民に対する背信行為といわざるを得ません。

先週25日の県議会で、江尻かな県議の質問に対し、茨城県企業局は、茨城県中央広域水道の供給単価が全国一高いことを認めました。さらに、令和5年度からの料金については、引き上げも含め再検討する、ということで、このまま県との契約を続ければ、さらに値上げされることは必至です。今年が水利権見直しの節目となる10年目でありますから、来年度から必要のない受水をやめるべきです。

市は、今年4月から水道料金を11%も値上げし、総額5億円の負担増を市民に強いていますが、ムダな受水をやめて黒字を活用すれば値下げは可能です。この間、コロナ禍のもと、多くの自治体が水道料金の無料化や減免を行っています。昨年度は、消費増税にコロナショック、さらに本市では大きな水害もありました。長引く苦境にあえぐ市民や市内事業者を救うため、直ちに水道料金の引き下げ、免除の決断を求めます。

以上で、反対討論を終わります。