4つ目は教育について、まず、少人数学級の実現について市長のご見解を伺います。

この間、密をさける対策として休校時に何度か分散登校が行われました。20人以下の教室は、子どもたちも安心でき、先生たちもひとりひとりの子どもと丁寧に向き合えてよかった、という声や、不登校の解消につながったという話もお聞きしました。通常登校となってからは、教室がかなり密で心配、と、子どもたち、親御さんたちからも言われ、分散登校の時のようなクラス編成を続けてほしいという声を多数聞いています。茨城方式では学校によっては40人を超えるクラスもある現状ですが、今回、新型コロナという思わぬ事態の中で、実際に少人数教育のよさを教育現場が実感したのではないでしょうか。世界的な研究でも1クラス20人以下になれば、学力向上や児童生徒の教育効果も高まるとされています。子どもたちや現場の声にこたえ、ぜひ、このコロナ危機を契機として前向きにとらえ、少人数学級の推進に思い切って取り組むべきです。学級編成を変え、そのために教職員を増やすことは、現状、県の判断によるものですが、中核市市長会では20年以上も前から、国に対し、県費職員の人事権や学級編成・教職員定数の決定権の移譲を求め要望を続けています。本市も本年度から中核市となり、独自に施策を展開する可能性は拡がっているのではないでしょうか。茨城県の方針転換を待っていたのでは実現しません。国・県へ強く働きかけるとともに、独自に市費で教職員を配置し先行実施してはいかがでしょうか。

次に学校の現状と対策についてですが、子どもたちのコロナ禍でのストレスは深刻です。長い休校期間に加え、少ない夏休み、コロナ対策で身体的にも精神的にも負担がかかっている中、休校期間の勉強を取り戻さなければならないプレッシャー、と、あげればきりがないほど、通常時の学校生活とは違う毎日を過ごしています。市内の感染状況がいまだ収束しない中で、日々さまざまな情報や大人たちの反応も子どもたちに伝わっています。差別やいじめを生まない正しい知識と、健やかな心を育て、一人ひとりのこどもに向き合い寄りそう、きめ細やかなケアが必要であり、コロナ禍にみまわれた今年度ならではの特別な取り組みが必要ですが、ご所見を伺います。

また、特に小学1年生については、本当にまだまだ学校生活のリズムを体得することができない児童が多く、特別な配慮が必要です。さらに本市の中学生が、他にない大きな体験を積み中学時代の一大イベントである2年生の船中泊が中止となりました。子どもたちに話を聞くと、コロナの状況を考えれば中止は仕方がないと納得はする。が、船中泊で過ごすはずだった5日間が、ただ普通の授業になってしまうのは納得いかない、と。中学2年生にとって最大の思い出になるはずの5日間、せめて2日なり3日でも、代わりになる日程で、子どもたちと話し合い、例えばクラスごとに少年自然の家を利用するとか、大勢で密にならずにでき、今年の中学2年生ならではの思い出となる特別な取り組みができないものでしょうか。

開放学級については、学校よりもさらに密な状態が続いています。コロナ対策以前に、教室が足りない、定員が足りないという問題があります。休校時は自粛を呼びかけ、預る児童を減らしましたが、それも、保育が必要で登録していた家庭には酷な負担だったと考えます。根本的には教室を増やし、必要な児童が誰でも入れるよう定員を増やすことです。

コロナ禍の中、子どもたちのストレスは計り知れないわけですが、さらに、近年確実に増えている特別な配慮を要する児童については、とりわけ今のコロナストレスの影響は大きく、丁寧にケアをする人的体制が必要です。そのための増員をすべきではないでしょうか。支援員さんたちはコロナ対策の消毒作業や子どもたちの健康観察など、通常よりも忙しく時間に追われています。今こそ余裕をもって子供たちに向き合える環境を整備することが、子どもたちの健全育成に最も大切ではないでしょうか。

施設の補修・整備についても改善が必要です。老朽化し不具合のある学級が多く、例えば、双葉台では、外水道がこわれています。(写真)また、このように屋根の骨組の塗装がボロボロに剥がれ、ひらひらと落ちてくる状態です。今、まさに手洗いうがいを徹底させなければならないというときに、子どもたちの使う水道がこれでは市の姿勢が問われます。子どもたちが長い時間を過ごす居場所であり、快適に安全にすることが急務です。また、この間、先の見えないコロナ不安の中、突然の長い休校で過重勤務を強いられ、今も終わりのない消毒作業など、日々苛酷な労働をしながら、放課後の子どもたちを支えている支援員さんに、慰労金の支給をすべきではないでしょうか。コロナ対策として、国の「慰労金」の対象から外されたため、独自給付する自治体が増えています。ぜひお考え願います。

答弁:市長

次に,教育行政についてのうち,少人数学級の実現についてお答えいたします。

少人数学級につきましては,通常の学級と比較して一人ひとりに目が行き届きやすく,学力・学習意欲の向上を支援しやすいだけでなく,今般のコロナ禍においても,安全・安心な教育環境を確保しつつ,全ての子ども達の学びを保障するために有効であると認識しております。

本市では現在,小学校第1学年・第2学年につきましては,国の法律と県の少人数教育充実プラン推進事業により,全て35人以下学級を実施しております。

また,小学校第3学年から第6学年及び中学校につきましても,県の同事業により,それぞれの学年で35人を超える学級が3学級以上ある場合には,学級を増設し,担任教員1名を配置しており,35人を超える学級が3学級未満の場合におきましても,各学級に非常勤講師1名を配置しております。

さらに,中学校につきましては,これらの配置に加え,学級増となった学校に対し,非常勤講師1名を配置しております。

そのため,本市においては,35人以下の学級が,小学校は約92パーセント,中学校は約96パーセントとなっております。

また,本市におきましては,市独自に教員免許を有する学力向上サポーターを採用し,学校の実態に応じて,人数が多い学級に入りきめ細かい指導にあたるなど,個に応じた指導を推進しております。

議員ご提案の市独自の教員配置による少人数学級につきましては,全国市長会議でも,「特に,少人数学級については,後退することなく,引き続きその推進を図ること。」と国に対して提言しており,義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会均等の確保は,国の責務により全国一律に推進されるべきものであると考えております。

また,今月に開催された政府の教育再生実行会議において,新型コロナウイルス感染症の対策として「3密」を回避するなどの観点から,人数は未定であるものの少人数学級の推進に向けての合意がなされたところでありますので,今後の国の動向を注視してまいりたいと考えております。

学校の現状と対策及び開放学級につきましては,後ほど教育長より答弁いたさせます。

答弁:教育長

土田議員の代表質問のうち,教育行政についてお答えいたします。

はじめに,学校の現状と対策についてお答えいたします。

学校再開後,3か月余りが経過いたしました。児童生徒は,こまめな手洗いやマスクの着用等「新しい生活様式」を踏まえた学校生活にも徐々に慣れてきましたが,これまでとは違う生活の変化や学習面の心配などによる不安やストレスを抱えている児童生徒もおり,心のケアは,たいへん重要であると認識しております。

そのため,各学校においては,学級担任や養護教諭が中心となり児童生徒の状況をきめ細やかに観察し,声かけや面談等を実施しているところでございます。

さらに,必要に応じて,心理面に関しては,スクールカウンセラー,福祉面に関しては,スクールソーシャルワーカーを活用するなど,児童生徒の状況に応じて相談等を行っているところでございます。

さらに,小学校においては,児童が不安を抱えることなく学校生活を送ることができるよう,児童に近い目線で声かけや相談等を行う大学生等をスクールサポーターとして,7月から全校に配置し,児童の心のケアに努めております。

特に,小学1年生につきましては,学校の生活リズムを身につけながら,楽しく学校生活を送ることが,大切であると認識しております。

学校再開後は,学区内の公園等をめぐる「学区探検」や1年生から6年生までが一緒にレクリエーション活動をする「縦割り班活動」を実施するなど,1年生が楽しく学校生活を送れるよう,各学校において工夫をしております。さらに,生活リズムの定着を図るためには,学校と家庭との連携が重要であり,定期的に「保健だより」等を発行しているところでございます。

今後におきましても,「新しい生活様式」を踏まえた学校生活の中で,児童生徒が「楽しく・健やかに」生活できるよう教育活動の推進に努めてまいります。

次に,中学2年生の「船中泊を伴う自然教室」でございますが,今年度は,全国の感染状況や実施期間中の医療体制など,安全面の確保が困難であると判断し,生徒の健康安全を最優先に考え,中止という苦渋の決断をいたしました。

この行事を楽しみにしていた生徒の気持ちを考えると非常に残念であり,生徒の思い出に残るような代替行事を検討するよう各学校に対し要請いたしました。各学校においては,生徒の意見を取り入れながら,感染予防を第一とした上で,代替となる行事の実施に向け,検討しているところでございます。

今後におきましても,感染症対策を講じつつ,学校と教育委員会が連携し,集団生活の中での学びを大切にしながら教育活動を進めてまいります。

次に,開放学級についてお答えいたします。

はじめに,開放学級の拡充についてですが,本市では,余裕教室の活用を基本とし,不足する場合は開放学級専用棟を建設するなど,全ての学校で受け入れ体制を完成させ,入級を希望する全ての小学6年生までの対象児童の受け入れを行ったところであり,本年度当初に,待機児童ゼロを達成したところであります。

また,各開放学級においては,3密を避けるため,学校の協力のもと,利用児童の多い時間帯については,校庭での活動や学校の余裕教室を活用するなど,各開放学級において工夫して対応しております。今後におきましても,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため,弾力的に対応してまいります。

次に,配慮を要する児童への対応につきましては,本市では,国を上回る基準に基づき,支援員を配置しておりますが,受入れ児童の状況に応じて,更に支援員の追加配置も行っております。今後におきましても,配慮を要する児童の的確な把握に努め,きめ細やかな対応を図ってまいります。

次に,施設や設備の対応につきましては,エアコンやガラスの修繕等,優先順位を定めて対応しております。引き続き,現場の状況の速やかな把握に努め,必要な対応をしてまいります。

次に,支援員への慰労金につきましては,本市に該当する制度はございませんが,令和2年度からは,新たに,通勤にかかる費用や,勤務時間数に応じて,期末手当の支給を行うなど,さらなる処遇改善を図っております。

また,学校の臨時休業期間中は,午後1時まで,教職員に児童の預かりを行っていただくなど,支援員の長時間勤務の軽減に取り組んでまいりました。