日本共産党水戸市議団の土田記代美です。

本定例会に提案されました議案15件のうち、議案第82号及び第83号、第90号につきまして、通告に従い反対討論を行います。

まず、議案第82号、第83号は家庭的保育事業等の設置基準及び運営基準、特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営について、基準を緩和する条例改正であり反対いたします。

待機児童の解消は、これまでの設置基準を満たす認可保育所で行うことが基本とされるべきであり、基準を緩和した小規模保育、地域型保育事業には様々な問題があるものと考えます。もっぱら待機児童をなくすことを目的として、3歳未満児の受け皿を家庭的保育事業等で補うのでは、安全性や保育の質の低下につながる可能性があり、さらなる緩和をすべきではありません。

まず、0~2歳児を受け入れる小規模保育事業等について、卒園後の受け皿となる連携施設の設定を、市長が必要な措置を講じれば不要とするものです。

これでは、やっと入れても2年後にはまた保活、と、子どもも保護者も、安心して保育を利用し働き続けることができません。毎日成長し、待ったのきかない子どもを抱え、預け先が決まっても、またすぐに卒園後の次の預け先を探して苦労する。次の保育所が見つかるかどうかは、本当に深刻な問題であり、連携施設の確保は必須とし、市として3歳以降も引き続き保育の利用を希望する保護者に対し、必ず利用できるという仕組みこそつくるべきです。

また、保育士の配置基準を緩和し、保健師又は看護師に加え、准看護師も保育士とみなすことができるとするものですが、これは、保育士不足の穴埋めに、必要な保育士の人数に保育士以外の方をみなし保育士として加えるという緩和策です。

そもそも保育士と看護士では専門性が異なります。保育園での看護師は、子ども達の健康管理、慢性疾患やアレルギーなどを持つ子どものケア、薬の管理や服薬サポート、病児の体調観察やケアなどを行ない、あくまでも保育のサポートをする人材です。

一方、保育士はゼロ歳からの子どもの発達を促す遊びや学びを、一人ひとりに合わせた保育計画を作成し保障する保育の専門家です。保育士が足りないからと言って専門性の異なる看護師や准看護師をみなし保育士として数合わせをするのではなく、専門職としての保育士の確保に全力を傾けるべきです。

国の政令は最低基準を緩和し引き下げるものですが、同時に都道府県は最低基準を向上させるように努めるものと定められています。本市では現状、こうしたみなし保育士として働いている方はいないとのことで、わざわざ緩和する必要はないのではないでしょうか。市として、保育士の待遇改善等に取り組み、専門職としての保育士確保に努めること、待機児童解消と同時に、保育の質の向上に取り組むことをもとめます。

次に議案第90号は、水戸城二の丸角櫓復元及び土塀整備工事請負契約の変更です。契約金額はおよそ6億7千万円となり、4730万円もの増額です。その内容は、基礎地盤と周辺部の段差解消のための盛土や、雨水排水対策とがけ崩れ防止、避雷針設置などということですが、これらは、そもそも当初の契約時に、きちんと設計されるべきものと考えます。

当初から6億2千万円を超える大きな契約です。建てる地面の状態、地盤がどうなっていてどうするのか、また文化財としての保守保全等も、想定せずに工事を始めたのでしょうか。もともと契約が不備だったのはないかとの疑念について、委員会審議の中でも納得できる答弁がいただけず、この増額に賛同できません。また文化財としての価値についても疑問が残り、大変ザンネンに思います。

当初計画で未定とされていた歩行者通路に、別に約9千万円の予算がついており、この計画の完成までに9億円近いお金がかかるわけです。‘質素倹約、あるものを最大限に活用する’という水戸藩の精神ともつながらず、さらに事業費がふくらむ可能性もあると考えます。例えば、9億円あれば、子どもたちの給食費を無料にすることもできる。そういう金額です。

水戸市のこうした建設工事では、工事が始まってから想定外のことがあったとの理由で、追加工事、増額となることがあまりに多く、当初の請負契約や工事費の設定がずさんなのではないかと疑念を持つものです。今回もまた、執行部から想定外の事態という答弁がありましたが、これらは、当然想定すべき工事だったのではないかと考えるものです。市民の税金を費やす予算の執行について、市民にきちんと説明できること、ムダ使いや不明瞭な使い方は許されないことは当然であり、本議案には賛成できません。

以上で反対討論を終わります。