日本共産党水戸市議団の土田記代美です。通告に従い一般質問を行います。

はじめに教育行政について伺います。

まず授業再開について、この間、子どもたちはのびのびと遊ぶこともできず、不安やストレスを抱えながら、長い長い終わりの見えない日々を過ごしました。この3か月を取り戻すのではなく、新たにスタートするという考え方で、まずは学校生活のリズムを取り戻すこと、新学期と同様に、子どもたちにとって楽しい居場所となるクラス作りを最優先にすることが大切と考えます。学習の遅れを取り戻すという意識では、この非常事態をがんばって耐え抜いた子どもたちに、希望や夢が持てる豊かな教育を与えることができなくなるのではないでしょうか。教科を詰め込むハードスケジュールで子どもたちが疲れ、先生たちも疲れ果ててしまうことのないよう、柔軟な授業計画を考えるべきですが、いかがですか。国や県でも、今年度のカリキュラムを必ずしも消化しなくても今後2,3年で補完すればよいという考え方が示されています。もともと授業時数の多い水戸市で、この間の学習を取り戻すのは無理があり、子どもの心身の健康と楽しい学校づくり、先生たちの過重勤務に最大限配慮した学校運営をもとめるものです。

また新型コロナ対策に万全を期すことは必須であり、その備えについて伺います。

まず、各学校に非接触型の体温計を備えてはいかがでしょうか。子どもたちは毎朝体温を測り記録をつけることになっていますが、時にそれができない家庭や忘れてしまう子もいるでしょう。登校時に学校で検温を行えば、確実にすべての子どもの状態を確認することができ安心です。

さらに、子どもたちの毎日の検温や体調チェック、日に何度も必要となる校内や学習用具等の消毒作業などを、コロナでなくても多忙で過重な労働をしている先生たちがすべて行うのでは、あまりに負担が大きすぎると考えます。ぜひともこうした作業や学習準備を受け持つ人員を拡充すべきですがいかがですか。

 

次に、新1年生へのケアについて伺います。

人生で最初の学校生活があまりにイレギュラーな状況となってしまった小学1年生にはとりわけ、学校がわくわくする楽しい場所となるよう、特別な対策を講じるべきです。

楽しみに待っていた入学式のあと、本当なら、毎日、初めての経験を積み重ねて、日一日と学校生活に慣れていく時期に、えんえんと家庭や開放学級や学童クラブなどで過ごしてきたのです。子どもたちは小学生になったことの意味や喜びもまだよくわからないままでいます。その点は、学校生活を知っている他の学年の子どもとは事情が違います。しかし、6月8日からの通常授業再開で、新1年生も毎日午後まで5時間授業を行っています。まだまだ学校がなにかもよくわからない1年生にとって、いきなり5時間椅子に座り続けて学習する毎日は過酷です。開放学級の方がいいと飛びこんでくる姿や、眠たそうに重いランドセルを背負って登校する姿、つかれてトボトボ帰ってくる姿は、痛々しくもあります。

生まれて初めての学校生活であり、今後の人生に大きな影響を及ぼす長い義務教育の始まりです。学校に慣れ、小学生としての自覚を育てる4月5月の過程がすっ飛ばされて、学校嫌いの子どもをつくってしまうことがないよう特別に配慮すべきです。休校中のプリント学習も、お兄さんやお姉さんがいる子は、まだそれなりに取り組めるとしても、おうちで初めての1年生の場合は、本人も親御さんも不安と心配がつきなかった、必死でやらせて大変だった、という声を聞きます。他の学年のペースとは一線を画し、改めて入学式からスタートするというリズムで順を踏み丁寧な対応をすること、学校生活の入り口でつまづくことなく楽しく適応できるようにすることです。市としてどう取り組むのか伺います

 

次に学校給食について、特に給食パンについて伺います。突然の長い休業を強いられ、業者は大変な苦境にたたされています。もともと給食パン業者は厳しい経営状況にあり、以前、ソフトめんの製造業者が経営難で廃業してしまい、給食にソフトめんがなくなった。同じことがパンでも起きかねないと心配していましたが、臨時休校で、さらに深刻になっています。市としてなにか独自の支援策を考えるべきではないでしょうか。

給食パンはつくらなければ収入になりません。1日に8千個から1万個のパンをつくるため12人の従業員を抱えていますが、学校が再開したらすぐにパンがつくれるよう、その人員は確保していなければならない。パンをつくる技術も必要ですから、例えば、今いる従業員にやめてもらって、再開したときに新たに従業員を募集するというわけにはいかない。

さらに材料の小麦粉は県から納入されており、給食以外の違うパンをつくってまちなかで売ることもできません。そんな状況で、収入がなくても給料を払い続け、この3か月あまりを耐え忍んでくださったのです。お話を聞いた際「パン業者がなくなったら給食はご飯だけになる、子どもたちにパンは必要だと思ってがんばっている」といってくださいました。給食は教育の一環であり、子どもたちに給食パンを提供し健やかに育てる責務は水戸市にあります。給食パンをまもるための考えをお聞かせください。

答弁:教育部長

土田議員の一般質問のうち,教育行政についてお答えいたします。

はじめに,授業再開と新型コロナウイルス感染症への備えについてお答えいたします。

本市では,新型コロナウイルス感染症対策のため,長期にわたる臨時休業を5月24日に解除し,5月25日から段階的に授業を再開いたしましたが,長期の臨時休業後の学校再開であり,急な生活の変化によるストレスや学習面の心配など,不安を抱えている児童生徒のケアは,たいへん重要であると認識しております。

そのため,各学校においては,学級担任を中心とした健康観察やアンケート等により,児童生徒の状況を把握し,面談等を実施しているところでございます。

また,小学校においては,児童が不安を抱えることなく学校生活を送ることができるよう,児童に近い目線で声かけや相談等を行うスクールサポーターを配置するため,今議会に補正予算案を提案しているところでございます。

一方,臨時休業が長期化したことから,夏季休業期間を短縮し,15日間の授業日を設定する予定であり,併せて,中学校においては,月曜日の授業を1時間増やし,6時間授業を実施するなど,授業時数を確保することとしています。

次に,感染防止の取組につきましては,各学校においては,国や県のガイドラインに基づき,密閉,密集,密接のいわゆる「3つの密」を避ける行動,手洗い,マスク着用等の対策の徹底に努めております。

児童生徒に触れることなく体温測定ができる非接触デジタル体温計につきましては,本市においても,全ての学校への配備を進めているところです。

また,教員の負担軽減についてですが,県においては,国の第2次補正予算に措置されている「学びの保障」総合対策パッケージを活用し,新たに,各学校に1名,学級担任を補助する学習指導員を配置することとされております。これらの人材を有効に活用し,コロナ禍によって新たに生じる教員負担の軽減に努めてまいります。

次に,新1年生へのケアについてお答えいたします。

初めての学校生活となる新小学1年生につきましては,臨時休業の長期化により,小学校生活のスタートが遅れ,さらに,マスクの着用,給食時は会話を控えるなど,感染症対策を踏まえた学校生活となることから,特別なケアが必要であると認識しております。

各学校においては,臨時休業期間中,学級担任を中心に,電話連絡や家庭訪問等を通じ,自宅で過ごす児童及びその保護者との連絡を密にし,児童の様子の把握に努めてまいりました。

また,学校再開後は,学校内の施設を確認する「学校探検」や在校生が中心となって開催する「1年生を迎える会」等の活動を実施するなど,1年生が楽しく学校生活が送れるよう,各学校において工夫をしております。さらに,学校での過ごし方や学習内容等について丁寧に指導し,1年生が学校生活をスムーズにスタートできるよう,取り組んでいるところでございます。

今後におきましても,1年生に対しましては,特に学校と保護者との連携を密にし,児童一人一人に学級担任をはじめ,養護教諭など,これまで以上に多くの教職員が丁寧に関わり,楽しい学校生活を送ることができるよう努めてまいります。

次に,学校給食についてお答えいたします。

学校の一斉臨時休業に伴い,学校給食についても休止することとなり,発注した食材を,急遽,取り消しいたしましたが,給食食材の納入業者の皆様方におかれましては,迅速かつ柔軟に御対応いただき,改めて心から感謝申し上げます。

本市におきましては,臨時休業の期間において,納入を予定していた給食食材のうち,加工賃や食材の廃棄に要した経費等については,国の学校臨時休業対策に係る補助制度を活用し,対象となる事業者に対する助成を行ってきたところでございます。

なかでも,学校給食の主食の1つであるパンについては,国が定めた学校給食摂取基準を満たすため,ビタミンを強化した学校給食用の特別な小麦粉を使用していることから,学校給食用のパンを生産している事業者の中には,学校給食以外にパンを生産することが困難な事業者もございます。

このような中,市長から,学校給食を安定して提供するためには,事業者に対する支援が必要であり,パンの提供回数を増やすなどの対策を講ずるよう指示がありました。

このため,スパゲッティなどの麺を提供する献立の場合に,パンも併せて提供するなど,通常は週1回から2回であるパンの提供回数を,毎週2回に増やす献立としたところでございます。

今後につきましても,学校給食の安定的な運営を図りながら,児童生徒が,美味しく喫食できる学校給食を提供してまいります。