3つ目は新市民会館整備計画についてです。

まず泉町再開発事業について伺います。当初60億円とされていた補償費が84億円に膨らんだ問題について、この間、何度も特別委員会が開かれ説明をうけましたが、全く納得のいくものではなく、改めて市長にご見解を求めます。

そもそも当初の60億円の根拠があまりにずさんだったのではないかということ、そしてこの24億円の増額の正当性についてお答え願います。

当初の見込み額は、国交省の補償算定基準を基にし、さらに10パーセントを乗じて試算したとのことですが、そうして多めに見積もっていたはずの金額がまるで足りず、さらに4割増し近い額となったということです。たった数年の間に、例えばバブル崩壊だとかリーマンショックだとか、経済状況を左右するような出来事があったのならまだしも、特に世の中の相場が大きく変わるようなこともなかったわけですから、この要因はなんなのか、納得のいく説明が必要です。補償の交渉の中で、当初の見積もりの3倍、5倍にもなった方もいるとか、老朽化し空きビルのまま放置され続け、そもそも建物の価値はゼロどころか、解体にかかるコストを考えれば、マイナスといってもいいような伊勢甚のビルにだけ26億円もの建物補償をつけたとか、補償が言い値でどんどん吊り上がっていったのではないかという疑いすら、市民は抱いています。その一方で、生活再建ができる補償もなく追い出される地権者、これまで通りの営業ができない所にやむなく移転を強いられた借地権者もいます。再開発組合がやっていることだとして、多くの問題はやぶの中で、市民が知ることもできないまま、市の予算が湯水のようにつぎ込まれていく。公共の事業としてとても認められないと考えますが、いかがですか。

特別委員会では、当初の60億円という試算は、コンサルタントに任せていたとの答弁がありました。こうしたコンサルタントの業務契約についてもあわせて伺います。年間どれほどの金額を、外部コンサルに支払っているのか、市としてのチェック機能は果たされているのでしょうか。特別委員会での答弁を聞くかぎり、お任せ言いなりに進められ、おそらく高額の報酬でこうした業務を請け負ってきたが、外部コンサルなので、税金や市民に対する責任は問われない。と、あまりに無責任な事業となっているのではないでしょうか。こうした本事業の支出に対し、違法性があるとし、住民訴訟が準備されています。すでに傷は深いものですが、これ以上、市政に傷をつくり将来にわたって禍根を残すことになる前に、泉町再開発事業は、今こそ中止の決断をすべきです。

また、解体工事が始まり、スケジュールの大幅な遅れが示されました。水戸市の4大プロジェクトでは、工事が始まってから想定外の何かがあったと、工事費の増額が毎度行われています。解体工事、本体工事と進むたびにまた増額されるのでしょうか。

現計画の市民会館をこの場所につくること自体に無理があり、まちなかのさらなる疲弊をもたらすことは、これまでさんざん指摘してきた通りです。市民の理解も得られないまま強行しようとしても、道理がなく問題山積の計画だからこそ、思うように進まないのではないでしょうか。東町アリーナが完成し、大規模なイベントやライブ等も可能となりました。県民文化センターも国際会議等コンベンションに対応できます。今、水戸市にない、なくてはならないのは1000席規模の質の良いホール施設です。元の市民会館のように市民が活用でき、他の施設とのすみ分けで、重層的に水戸の文化の発展に資する市民会館こそ求められています。本計画を根本から見直す決断をもとめます。そして、353億円をこえる莫大な予算を無駄なハコモノにしてしまうのではなく、今、もっとも優先されるべき被災者支援と水害からの復旧復興、道路や河川など生活環境整備に振り向けるべきです。その決断こそ、高橋市長が、今すべきことであり、後世にわたって市民や水戸市政への責任を示すことができるのではないでしょうか。お答え願います。

答弁:都市計画部長

土田議員の新市民会館整備計画についての代表質問のうち,市街地再開発事業についてお答えいたします。

新市民会館は,市民の文化の拠点として,中心市街地に人の流れをつくり,にぎわいと経済活力を生み出す極めて重要な施設であり,議会特別委員会へ御報告しながら,鋭意,泉町1丁目北地区市街地再開発事業の進捗に努めているところであります。

まず,事業における補償費につきましては,特別委員会で御説明させていただいたとおり,現地調査の結果に基づき,実際の建物調査や資材価格等の上昇を踏まえ,国の定める補償基準等に従い,権利者の生活再建に不可欠な費用として適正に積算したものであります。

また,当初の補償費の算出につきましては,都市計画決定図書の作成や地区の交通計画など,広範囲な業務の一部として行ったもので,平成26年9月に,株式会社都市環境研究所に広範囲な業務全体の委託料として1,391万400円で発注したものであります。

次に,解体工事につきましては,去る11月21日の特別委員会の現地視察の際に御説明申し上げたとおり,工程に遅れを生じておりますが,早期の完了に向け,進捗に努めてまいります。なお,既に御説明したとおり,アスベスト除去につきましては,工事費の増額が見込まれますが,特別委員会にお示しした土地整備費の中に含まれているところであります。

今後とも組合との連携を密にし,着実に事業を推進してまいります。

答弁:市長

次に,新市民会館整備計画のうち,施設整備について,お答えいたします。

新市民会館につきましては,著名なアーティストのコンサート,演劇,ミュージカル等幅広い公演をはじめ,吹奏楽や合唱コンクールなど市民の芸術文化や創作活動の発表会,さらには,講演会,式典,全国規模の集客イベントなど,さまざまな事業を開催できる施設を目指しております。

ホールにつきましては,水戸商工会議所,市文化振興協議会をはじめ,多くの市民から,2,000席規模のホールを有する施設が求められております。

また,興行主催者からも,「2,000席規模のホールができた場合には,全国ツアー公演の会場として期待できる」との御意見をいただいております。

これらの御意見をはじめ,市民の多様な意見を反映し,特別委員会でも十分な御審議をいただきながら,私は,2,000席の大ホール,482席の中ホール,リハーサル室としても利用できる小ホールのほか,展示室,会議室,スタジオ等を備えた新市民会館を整備することとしたものであります。

ホールの設備につきましても,高い性能を備えた音響,照明等を設置するとともに,多数の楽屋や舞台と同じ広さを有するリハーサル室を確保するなど,これまで県内に見られなかった施設機能を充実させることにより,他の類似施設との競合に打ち勝ち,主催者や観客の皆様に満足していただける施設になるものと考えております。

また,新市民会館につきましては,施設の利便性を高め,市民利用を促進することとあわせ,多世代交流,健康増進,高齢者の居場所づくり,子育て支援などの事業を積極的に展開し,少子・高齢化やコミュニティづくりなどの現代的な課題を解決していくとともに,学生など若者の文化を新たに生み出してまいります。

新市民会館の整備は,芸術文化の拠点形成を図るとともに,市民にとって心の豊かさや優良な都市空間の構築を実現するものであり,本市の将来にわたるまちづくりに極めて重要な事業であると考えております。

私は,全国の多くの方々から選ばれ,市民に愛され,活用され,市民が誇りに思えるような新市民会館を整備し,中心市街地の魅力や活力を高めていくことで,将来にわたってにぎわいのある,楽しめるまちをつくってまいります。