最後に、開放学級の民間委託について伺います。

私は、自治体の業務を、効率や経費削減を目的に民間委託することには反対の立場ですが、特に教育的分野では、それこそ効率や経費の問題ではない、市の責任でよりよい環境整備をすること、なにより理念と市としての方針が重要と考えます。市の未来を託す市民を育てる場まで民間任せでは、市の存在意義すら失われると考えます。

給食、図書館、に続いて、今度は市内の開放学級をすべて民間委託していくということですが、開放学級は教育の一環であり、児童に対する市の責任は重いものです。支援員の確保が難しい、待機児童の解消が難しいから民間に、といいますが、そもそも支援員の処遇改善や市として行う環境整備が不十分なことが問題なのであって、継続的な専門性、地域や学校との連携協同が欠かせない支援員の確保や開放学級の運営を、安易に民間に委ねるべきではありません。

今年度、梅が丘小学校で試験的にシダックスに委託をし、わずか半年足らずです。その検証もなく、これを全市にひろげていくという決定は、いつどんな根拠でなされるのでしょうか。そもそもこうした事業は、利益の出る仕事ではありません。しかしながら、その中で利益をあげることが民間企業の命題ですから、いずれどこかにしわ寄せがくることは目に見えています。実際にシダックスのホームぺージで支援員の募集をみれば、時給920円からのアルバイト募集です。結局は安い労働に置き換えるということにほかならず、また、入れ替わりの激しいアルバイト体制で、安心安全が大前提の業務、さらには児童ひとりひとりのケアが大事な業務が継続できるでしょうか。

今の時代、さまざまな子どもたちがいます。例えば、家庭環境や発達障害などデリケートな個人情報や、児童や家庭へのケアまで、一アルバイトに委ねられてよいのでしょうか。

大手教育系企業のベネッセで3万人もの個人情報が流出したことなど、民間企業による情報流出問題は後をたちませんし、なによりひとりひとりの子どもたちに市が責任をもって対応すること、市が直営で運営するからこそ安心して子どもたちを任せることができるのではないでしょうか。人員確保、待機児童ゼロのみを目的にして、質の低下につながる恐れが多々ある民間委託はやめるべきです。

以上で、私の1回目の質問を終わります。答弁によりましては再質問をいたします。

答弁:市長

次に,開放学級の民間委託についてお答えいたします。

近年,核家族化や共働き世帯の増加等,家庭を取り巻く環境が大きく変化する中,開放学級のニーズが年々高まってきており,放課後等に子どもたちが安心して過ごすことができる居場所を提供する開放学級の充実は,早急に取り組むべき重要な課題であると認識しており,魁のまちづくりNEXTプロジェクトの最重要課題の一つに位置付けております。

これまで,本市では,入級を希望する全ての小学校6年生までの対象児童を受け入れるという目標を掲げ,段階的に学級数を拡大しながら,受入れ対象学年の拡大を図ってまいりました。しかしながら,学級運営に必要な放課後児童支援員の確保等が課題となり,未だ全校での6年生までの受入れ拡大及び待機児童の解消には至っていない状況にあります。

そこで,本年度は,6年生までの受入れ拡大及び待機児童の解消並びに事業内容の質の向上を目指し,梅が丘小学校において民間活力活用モデル事業を実施いたしました。その結果,6年生までの全ての対象児童の受入れが可能となり,同校の待機児童が解消するとともに,放課後子ども教室の充実が図られております。

今後は,このモデル事業の成果を踏まえ,全校での民間委託を推進してまいります。

開放学級に係る市の責任を明確にするために,直営で運営すべきとの御指摘につきましては,定期的に実績の報告を求めるとともに,訪問指導員の巡回等を行い,随時,運営状況を確認することとし,全ての学校の児童が安全に安心してサービスを受けられるよう,市として責任を持って対応してまいります。

次に,民間委託の方針決定に当たりましては,本年度,開放学級及び放課後子ども教室の今後のあり方について,開放学級利用児童の保護者,市PTA連絡協議会の役員,学校関係者,学識経験者,支援員等に,広く御意見を伺ってまいりました。

その中で,民間活力活用モデル事業の成果を踏まえ,今後は,近接する複数校単位で委託することで,学校間の相互連携による支援員の弾力的な配置も可能となるなど,開放学級の安定的な運営に向けて,民間委託は有効であるとの御提言をいただいたところであります。

次に,配慮を要する児童への対応につきましては,本市では,国を上回る基準に基づき,支援員を配置しておりますが,受入れ児童の状況に応じて,更に支援員を追加配置しております。

民間委託後もこれまでと同様に,配慮を要する児童へのきめ細かな対応をしてまいります。

次に,民間委託後の質の確保につきましては,本市や県,その他団体等が実施する研修会への積極的参加を促し,支援員の資質の維持向上を図ってまいります。

また,民間事業者のコンテンツやノウハウを活用し,開放学級の一層の充実に努めてまいります。

さらに,このたびの民間委託は,開放学級と放課後子ども教室の一体的な運営を委託するものであり,特に,放課後子ども教室の充実につきましては,市全域を,統一した仕様により委託することで,どの地域においても,子どもたちの参加の機会が確保されるなど,市民サービスの向上につなげるものであり,コスト削減等を主たる目的とするものではありません。

今後におきましては,開放学級と放課後子ども教室の一体的な運営について,民間委託を推進し,段階的に全ての開放学級の開設時間を午後6時30分までに延長するなど,保護者のニーズに応じたサービスを提供するとともに,放課後等の学習支援の充実など,いわゆるアフタースクール的な要素も十分に取り入れ,放課後等における児童の健全育成を一層推進してまいります。