イ)新市民会館整備計画について

次に、新市民会館整備計画に関しても、今回、あとになってから発覚し、結局はムダな費用となってしまった京成百貨店とつなぐデッキ通路や、いまだに説明のない芸術館とつなぐデッキ及び地下通路の調査費と同じように、またしても、議会にもなんの報告もない支出がありました。決算書を見て初めて知りましたが、当初予算にもなかった648万円の調査費用です。‘周辺地域への経済波及効果を調査した’とのことですが、必要な調査であれば、結果も含めきちんと報告すべきではないのでしょうか。全議員が入っている特別委員会もあるのに、こうして誰も知らないうちに、業者に丸投げして使ってしまったという、事後承諾の費用が多すぎます。その上、結果の報告もされないのですから、費用対効果もまったく不透明です。

このように、特に、ケタ違いの大きな予算を組んでいる大型プロジェクトにおいて、税金の使い方についてもタガが外れているのではないかと考えます。

デッキ通路でムダにした調査費654万円や芸術館とつなぐ通路の調査費934万円にしても、今回の調査費648万円にしても、決して小さなお金ではありません。同じ決算書でみれば、例えば、平和事業に645万円、これは、子どもたちの平和作文コンクールや、広島の平和記念式典に12名の子どもたちを平和大使として派遣したり、ピースプロジェクトなどを行ったお金です。あるいは、地域コミュニティ集会施設整備支援事業に630万円、心身障害児のデイサービス事業に600万円…と、こうした事業規模のお金なのです。また、多くの切実な要望があるのに、まだまだ足りていない生活環境整備で見れば、例えば、側溝の整備で、80mのU字溝新設が649万円(堀町・常盤133,135号線)、道路舗装補修工事では、約50mの延長120㎡の面積で680万円(元石川町・酒門158号線)、およそ162mのガードレール設置に532万円という数字が出ています。本当に、もっと教育や市民生活のために有効に活用できたはずの貴重な税金であり、とんでもないムダ使いとしか言いようがありません。

また、昨年の臨時議会のあとで、とても需要見込みがないとの指摘に対して応えるとのことで、高橋市長が豪華メンバーでお作りになったコンテンツ検討委員会はどうなったのでしょうか。一年半近くたちますが、やはり報告がありません。

新市民会館整備についても、市民の疑問にまったく答えず、特別委員会にさえまともな報告もないままにすすめていくやり方は、まさに議会軽視、市民無視の不透明な事業推進といわざるを得ず、高橋市長には、丁寧な説明責任を果たすこと、誠実で合理的な取り組みをもとめるものです。

さて、改めて申し上げますが、わたしたちは市民会館の建設に反対しているのではありません。市民が使いやすい市民のための市民会館を、一日も早くつくって欲しいというのが、多くの市民の願いです。不当な利益がどこかに流れたり、住民を無理矢理追い出すような再開発で、将来にわたって『無駄な借金製造機』になるような現計画を見直していただきたいのです。

まず、なんといっても場所の問題は致命的と考えます。渋滞と交通マヒを呼び、人通りも阻害する現計画では、泉町は活性化しないどころか、さらなる逆効果で衰退してしまいます。

‘周辺の経済効果の調査’をしたのなら、おわかりなのかとも思いますが、まちなか活性化のためには、限られた日に、同じ時間に一度に人が入って、一斉に出ていくことになる大きなホール施設ではなく、日常的に、一日を通して多くの多様な市民や観光客も出入りするようなものでなければ、周辺地域の活性化や経済効果は見込めません。

例えば、水戸発祥のオセロを売り出し世界に発信できる『オセロ・ミュージアム(博物館)』とか、今、水戸にはない、そこに行けばいつでもみとちゃんに会えたり、地元の産品がなんでも揃うというような『みとちゃんハウス・ふるさと物産館』ですとか、伊東豊雄氏が岐阜や仙台で成功させている、確実な集客が見込める図書館やメディアテークのような施設か、

あるいは公園やマルシェのように常に人々が往来する都市空間なら、まちなかを再生できる可能性はあると考えますが、いかがでしょうか。

本気で泉町の活性化を考えるなら、時代おくれのハコモノ幻想から目を覚まし、実効性と現実味のあるプランを考えるべきではないでしょうか。いずれにせよ、反対地権者を無理矢理追い出して必要以上の税金をつぎ込む再開発ではなく、伊勢甚の空きビルなどの跡地利用により、適正な予算で十分に有効な計画がつくれるものと考えます。

また、基本設計についても、吹奏楽の全国コンクールが無理だというだけではなく、有名アーティストの公演も難しいということを、わかりやすくお示しいたします。

いわゆるロック、ポップス系のコンサートトラックは11t車が主流です。(写真①※大きさ比較)これが、有名アーティストとなると、少なくとも5、6台はやってきます。(写真②※コンサートトラック車列)現計画の搬入口で、どこにどう並べるのか、どう入れ替えるのか、物理的に無理なのではないか、ということです。どなたかが一度は来てくれたとしても、搬入に苦労すれば、二度と来ませんし、その会館が不便だったという話は、アッという間に業界に広がります。商業ベースの興行というのは、そういう厳しい世界であり、やはり、見込みが甘すぎると考えます。

現計画では、例えばトラック1~2台で来る一般的な歌謡ショーや、あまり道具を持ってこない講演会や式典などしかできない大ホールになってしまうと考えます。それが、市民が望むホール、あるいは市長のおっしゃる地元経済の起爆剤になるホールとなるでしょうか。ありえない幻想に固執せず、立ちどまって見直すべきですが、いかがですか。

多くの反対意見や問題点を無視して負の遺産をつくるのではなく、市民の声を受け止め市民が活用し長く愛される市民会館をつくるべきです。住民投票条例の請求以来、計画の見直しをもとめ活動を続けている「市民の会」の皆さんは、この間、広汎な市民や市内で文化活動をしている団体、定期的に発表会を開催している教室などからアンケートを集めています。そのほとんどが、2000席のホールは必要ないと答え、多くの方が、以前のように気軽に使える市民会館が早く欲しいと望んでいます。

市民の願いは、莫大なムダ使いの再開発でつくる大きすぎる市民会館ではなく、身の丈にあった予算で、市民が使いやすい市民会館の早期整備なのです。1日も早い根本的な見直しをもとめて、この項目を終わります。

答弁:市長

次に,新市民会館整備計画について,お答えいたします。

私は,新市民会館の整備を,中心市街地のにぎわいを取り戻すためのまちづくりの大きなチャンスと捉え,誰もがまち歩きを楽しみ,商店街も活性化し,その結果として,文化・経済の両面から人々の生活が豊かになるといった好循環の構築を進めてまいりたいと考えております。

建設場所につきましては,泉町1丁目南地区と一体的に,にぎわい創出の拠点整備が可能であることや,水戸芸術館の隣接地である立地特性を活かし,芸術文化の拠点形成により,2つの施設の相乗効果が期待でき,水戸ならではの特色ある魅力発信が可能であると判断したものであります。

私は,新市民会館を水戸芸術館の隣接地に整備することにより,市民の芸術文化活動はもとより,著名なアーティストの公演や大規模イベント,各種大会の開催など,新たな分野にも積極的に取り組むことが可能となり,水戸芸術館の理念と相まって,本市の芸術文化の発信力をより高め,芸術文化のすそ野を広げていくことができるものと考えております。

議員御指摘のとおり,新市民会館は,イベントがない時でも,多くの市民や観光客が訪れるなど,日常的な交流が生まれる施設を目指す必要があると認識をしております。

そのためには,高齢者,子育て世代など,あらゆる人々がいつでも気軽に立ち寄ることができ,まちなかでくつろぐことができる憩いの場としての公共空間や学生が学習,交流等で使用できるスペースなどを整備するとともに,市民参加の視点を取り入れたソフト事業を積極的に展開することにより,新たな交流や活力が創出される拠点として,まちの活性化に寄与するものと考えております。

なお,搬入動線につきましては,施設搬入口前の市道を拡幅し,トラック等が円滑に移動できるスペースの充実を図ります。また,周辺に待機場所を確保するとともに,トラックが渋滞を起こさないよう,搬入口への適切な誘導を図ってまいります。

私は,市民に愛され,親しまれる施設整備を進めるとともに,歴史的資源や観光資源など,本市の魅力を最大限に活用し,にぎわいの創出や交流人口の増加を図ることにより,まちの活性化と魅力あふれる成熟したまちの実現を目指してまいります。