2)国民健康保険について

次に、国民健康保険について伺います。命と健康を守るためのセーフティネットであるはずの制度が、所得に対し保険料があまりに高すぎることよって、市民のくらしをおびやかし苦しめている現状があります。国の制度設計の問題ではありますが、自治体の努力によって市民の負担を軽減することが可能な制度ですから、市民のいのちとくらしを守るために、水戸市の国保税の値下げをもとめて、伺います。

ア)国保税の値下げについて

まず、今回、28年度の決算では 一般会計からの国保税引き下げのための法定外繰入れが0円で、6億8223万円の黒字となりました。一般会計からの繰入れについては、28・29年度の税率検討時に、年6億円程度の繰入れを見込んでいたはずですが、なぜ繰り入れを実施しなかったのでしょうか。当初の見込み通りに繰り入れをしていれば、12億円以上もの大きな黒字であり、値下げも十分可能な財政運営ではないでしょうか。一世帯一万円の値下げが5億円で出来るのですから、水戸市の高すぎる国保税は値下げできたし、すべきだったと考えますが如何ですか。

  • 県単位化について

 

次に、来年度から実施される国保会計の県単位化についてですが、これにより、さらなる値上げとなる可能性が高く、また、徴税の強化、一般会計繰り入れの解消をめざしていくとされているため、実施にあたっては、市民生活に及ぶ悪影響が心配されますが、水戸市ではどうなるのでしょうか。

県が示した第3回試算によると、夫婦と子供2人で、所得が140万円の世帯では、現在21万3200円の国保税が、24万2600円となり、このままでは、2万9400円もの値上げとなってしまいます。しかしながら、水戸市の国保会計は黒字であり、一般会計からの繰り入れを行えば、当然、値上げは回避できますし、さらに値下げも可能です。

そこで、県単位化となっても、水戸市は、一般会計繰り入れを行った上で、黒字を活用し、値上げではなく値下げすべきと考えますが、いかがでしょうか。

答弁:市長

次に,国民健康保険のうち,国保税の値下げについてお答えします。本市の国民健康保険会計は,過去5年間で一般会計から約40億円もの多額の法定外繰り入れを行ったことや平成25年度の税率改正などにより,改善傾向にあるものの,依然として大変厳しい財政状況が続いております。

ご指摘の,平成27年度の国保税率の見直し時においては,被保険者数の減少や医療費の増加等により,平成28年度,29年度においても,年間約6億円の赤字が生じるものと推計したところであり,本来であれば,国保税率を改正すべき状況にあったものであります。しかしながら,厳しい社会経済状況や被保険者の負担軽減の観点から,収入不足額について特例的に一般会計からの法定外繰り入れを行うことで,国保税率を据え置くこととしたところです。

実際の平成28年度の決算におきましては,収納率の向上により税収が見込みより増えたことや,高額薬剤の薬価改定等により医療給付費が削減されたことにより,収支状況が改善したことから,法定外繰り入れを見送ったところであります。しかしながら,平成28年度の収支につきましては,前年度からの繰越金や翌年度に返還しなければならない国庫支出金などが含まれていたことから生じた見かけ上の黒字であり,これらを控除した実質的な単年度の収支においては,未だ赤字の状況であります。このことから,国保税を引き下げる状況にはないものと考えております。

次に,国保財政の県単位化につきましては,平成30年度から都道府県が国保財政の運営主体となり,市町村は,都道府県が定めた国保事業費納付金を納めるため,都道府県から示された標準保険料率等を参考に,国保税率を決定することになります。茨城県は,本年7月に,納付金及び標準保険料率の算定方法について,「市町村ごと」に算定することと決定いたしました。これを踏まえた3回目の試算が8月29日付で県から示され,現在,その内容を検証しているところです。

今回示された試算は,これまでと同様,平成27年度の実績に基づき,平成29年度の国保税率を試算したものであります。
平成30年度の本市の国保税率につきましては,本年8月に水戸市国民健康保険運営協議会に諮問したところです。今後,さらに県から示される国保事業費納付金及び標準保険料率を参考に,水戸市国民健康保険運営協議会の答申をいただくこととなっております。この答申を踏まえ,平成30年1月に本市の国保税率の案を決定する予定です。したがいまして,平成30年度以降における一般会計からの法定外繰り入れにつきましては,国保税率を検討する際に,その必要性も合わせて判断してまいります。

国民健康保険は,社会保障制度の根幹をなす制度であることから,県及び県内市町村と連携しながら,引き続き安定的かつ効果的な事業運営に努めてまいりたいと考えております。