日本共産党水戸市議団の土田記代美です。通告に従い一般質問を行います。

はじめに新市民会館整備計画について伺います。

今回、水戸市の計画に対し、住民投票を求める市民の会では、29日間で1万4500名を超える署名が集まったとのことです。
私も、この間、多くの市民の皆さんと直接お話をしてきましたが、それこそ思想信条、立場の違いや、支持政党など党派もこえた多くの方が、おひとりおひとり、本当に真剣に水戸市の未来を考え、署名に応じていらっしゃいました。
水戸市としても、そして、私を含め、議員ひとりひとりも、真摯に受け止め、市民の思いに真剣に向き合い、考えていくべきではないでしょうか。
さて、事業費や再開発の問題は、田中議員、中庭議員からも質問しましたので、私は2000席の大ホールについてうかがいます。
これまでも、いまどき、コンサートなどでは、1500席と2000席に大差はなく、県民文化センターと需要がかぶると指摘してきました。実際、人気ロックバンドGLAYの2016ツアーでは、1500席から3000席まで、多様なキャパで同じ内容のライブ公演が組まれています。
また、今の時代、コンサートなどは、3000、4000席でイベントを打てるアリーナの方が有利であり、東町にコンサートやコンベンションにも対応できるアリーナが出来れば、需要はそちらにシフトしてしまいます。ますます2000席の大ホールの必要性はなくなり、無用の長物となりかねないと考えますがいかがですか。
他市との競争力についても伺います。2000席のホールというのは、全国どこにでもあり、過当競争となっています。また、バブル崩壊後、ずっと進行し続けている興行不況の中、公演に有利な都内でも、苦戦をしている2000席規模の大ホールを、今さらつくって、水戸市が呼び込みに勝ち抜いていく理由がありません。
さらに、水戸市は、東京から簡単に日帰りの出来る距離です。私は、長く東京で舞台の仕事にかかわってきましたが、これは‘乗り打ち’が出来る距離といって、つまり、早朝に都内を出て、舞台を仕込んで、リハーサル、本番が出来、その日のうちに東京に戻れてしまう距離なので、アーティストにもスタッフにもあまり好まれない、ザンネンな立地なのです。‘乗り打ち公演’は、長時間拘束で大変なのにギャラは一日分。もう少し離れていれば、例えば、宇都宮なら、前乗りといって、前日に移動して泊まりの仕事になり、リハーサルや本番にも余裕がもてるし、ギャラも2日分なのです。
公演を打つ側からいっても、中途半端に近く、あまり乗り気にならない距離だというだけでなく、観客の立場で考えても、東京から遠く、地方公演が来なければ、ほとんど鑑賞のチャンスがない遠方の地域とは違います。東京の本公演を観る方がクオリティも高く、今の時代、水戸からなら簡単に観に行けるのです。本公演よりも、どうしても質の落ちる地方公演を、わざわざ都内や他市から観に来る観客が多くいるとも思えませんし、そもそも、この水戸市で、地方公演を呼べば観客が喜ぶという発想自体が、時代遅れで、あまりにローカルな感覚なのではないでしょうか、伺います。
きちんと需要調査もせず、この2000席のホールをどうまわしていくのか、どれほど稼働が見込めるのか、抽象的な言葉と願望ばかりで、明確なビジョンが示されませんが、これは示さないのではなく示せないのではありませんか。
今、市民が求めているのは、あてにならない呼び込み施設ではなく、市民が気軽に使える市民のための市民会館です。市民会館が使えなくなって5年、教室の発表会や演奏会など、これまで市民会館を利用していた皆さんが、本当に切実に、以前のように使える舞台の再建を待ち望んでいます。
また、水戸市の多彩な文化事業のバランスのとれた構成にも、前の市民会館のような1000名規模のホールが必要です。今の計画では、県民文化センターと市民会館で、500席の小ホールは複数重なり、1500席と2000席の大ホール、さらに3000~5000席のアリーナと、大規模施設は3つも重なりながら、中規模ホールがすっぽり抜け落ちてしまいます。これは文化的にも本当に大きな損失となってしまいます。
それを客席の部分使用で対応するといいますが、これは舞台芸術の現場を知らない人の感覚、発想です。舞台人の習性として、舞台に立つと、まず空席に目がいってしまい、モチベーションが落ち、クオリティも落ちてしまいます。
文化公演は、客席と舞台が一体化してこそのものであり、それぞれの公演規模に適した空間の大きさがとても重要です。ホール全体の空気が締まりひとつになる感覚は、部分使用では得られないものなのです。
800名~1000名規模で、席が埋まり、設備の充実した使い勝手のいいホールなら、演劇などでは、需要が増えていく可能性もあります。実際、都内でも、こうした中規模で、ホールの質の高い劇場だけは健闘をしています。
改めて、コンスタントに需要が見込め、市民や子どもたちの発表会から本格的な演劇や演奏会まで、多様な文化の鑑賞の場となり、多くの市民に活用される市民会館こそ必要であり、計画を見直して、コンパクトで設備、装置の充実した中規模ホールを考えるべきですが、いかがですか。お答えください。
住民投票を求めている多くの皆さんも、わたしたちも、市民会館建設に反対しているのではありません。今の計画があまりに無謀で無節操であり、将来的にも税金の無駄使いとなってしまうことを危惧しているのです。市民会館は、文字通り市民の会館であるべきです。市民が望む、水戸市に合った、長く愛される市民のための市民会館建設を強く求め、この質問項目を終わります。

答弁≪市民協働部長≫

土田議員の一般質問のうち,文化行政についてお答えをいたします。
はじめに,新市民会館における大ホールが,東町運動公園新体育館のメインアリーナ等と規模・機能が重なるのではないかとの御質問につきましては,東町運動公園新体育館のメインアリーナは,スポーツコンベンションの拠点として,主に大規模なスポーツ大会やスポーツイベント等を開催する上で必要となる機能を整備することとしており,オーケストラの演奏会や演劇等を主目的とする新市民会館とは,施設の目的や用途が異なるものであります。
また,昨年度の市民アンケートにおいて,鑑賞したい公演が市内で行われていないという回答が約8割にも達しており,新市民会館は,多くの人が集い,交流するために,全国に向けたコンベンション,著名なアーティストの公演やイベント等を積極的に誘致し,市民をはじめ,多くの方々に利用・来館していただけるような運営を目指してまいります。
次に,議員御指摘の800席から1,000席程度の中ホールの整備の検討につきましては,平成26年度に「水戸市新たな市民会館整備基本計画」を策定する際にも特別委員会で御承認いただいておりますが,大ホールの客席を段階的に利用できるとともに,ホールの施設使用料も部分利用により差を設けるなど,運営の工夫によって,様々な市民需要に応えてまいりたいと考えております。
また,客席の部分使用は,出演者のモチベーションを下げるとの議員の御指摘ですが,類似施設への調査によれば,主催者や利用者は,施設の規模・機能等を理解したうえで,公演等を行っているため,不満の声はあがっていないと伺っております。
このような状況を踏まえまして,新市民会館の整備とあわせて,全国に向けてコンベンションの誘致に一層力を入れるとともに,多くの人が集い,交流することによる新たな文化を創造し,その文化が経済や産業の発展につながる成熟したまちの実現を目指してまいります。