日本共産党水戸市議団の土田記代美です。議案第57号について、通告に従い、賛成の立場から討論を行います。

  1. 署名活動の中から)

今回、私も、新市民会館建設計画に対し、住民投票を求める市民の会に参加をし、署名活動にも取り組んできました。街頭での署名や、地元の商店街や住宅地などで、これまで話したこともないような多くの市民のみなさんと直接お話をしてきました。実際に、それこそ党派や思想信条の違いを超えて、水戸市の未来の問題、市民の現実問題ととらえて、真剣に考えて下さる方がたくさんいらっしゃいました。この署名は、おひとりおひとりが必ず自筆で署名をし、生年月日も書いて捺印をするという、普通の署名よりもハードルの高い署名です。それが、たった29日間で、およそ15000筆も集められたというのは、市民の皆さんの関心と真剣さをはっきりと示すものと考えます。さらに、署名期間の後半から、署名の広がりの勢いが増していきました。もしも、この問題が事前に、市民にもっと広く情報として浸透していたら、さらにどれほど集まったかわからないという感想を持っています。

さらに言えば、「立場上、署名は出来ないが、住民投票はやってほしい」といわれる方もかなりおりました。提出された署名数以上に多くの市民の思いと期待が、今、水戸市議会に寄せられているのです。

今回、水戸市の計画に賛成でも反対でも、それを住民投票で市民に問うて欲しいというのが、この条例の本旨であり、水戸市議会は、その願いを真摯に受け止め、これに応えるべきであると考えます。

  • 2000席の大ホールについて)

 

これまで、私は、2000席の大ホールについて、時代錯誤の発想であり、無用の長物になりかねないと再三指摘してきました。コンサートや公演の呼び込みには不利な立地であることや、市民の要望や水戸市の文化施設のバランスを考えても、全国で過当競争となっている2000席ホールを水戸市がつくる必要性がありません。ところが、それをいくら指摘しても、水戸市は、現実的な需要調査もせず、興行の動向や時代の状況などを踏まえることもなく、同じ答弁をくりかえし、リアリティのない説明に終始しています。

今回も、例えば、吹奏楽の全国コンクールを呼びたいという説明ですが、実際に吹奏楽の大会の運営がどんなものかを理解しているのでしょうか。この間、私は、吹奏楽をやっている方や、中学校の吹奏楽の指導をしている方などに、話を聞きました。コンクールには、全国から何十台ものバスとトラックがやってくる。吹奏楽は、それぞれの団体がそれぞれ多数の楽器を持ち込むわけですから、搬入口には、常に何台ものトラック・バスがつけられ、次々に、およそ15分ごとに楽器の積み下ろしが続くとのことです。そのため、最低でも4台以上が並んで搬入口につけられないとコンクールは出来ないとのことでした。それに対応する駐車スペース、さらに、何十台ものバス・トラックを連ねて待たせておけるスペースが必要なのだそうですが、この計画でそれが実現出来ますか。私が、話を聞いたのは、みなさん水戸出身の方です。‘一方通行のあの道路では、渋滞どころか50号のマヒ状態が起きるのではないか。会館利用者以外の交通まで保証できなくなるのではないか。立地場所と規模があまりにもナンセンスだ。’と、いわれてしまいました。

本当に、水戸市の文化の充実、発展のためにつくるホールであれば、芸術活動に携わっている専門家の意見を聞き、アドバイスを受けることは重要なはずです。また、市民会館なのですから、当然、利用する市民の意見や要望を集めることも不可欠です。現計画のように、一部の経済団体と、商業的な興行の売り手であるプロモーターの意見を聞いただけでは、真に文化醸成に資するものであるかどうかの判断はつかないのではないでしょうか。何度、同じ説明をうかがっても、現計画は、経済的見地からの希望的観測だけで夢の言葉をならべている、非現実的な計画といわざるを得ません。

実際に舞台を使う専門家の意見や、ホールに足を運ぶ観客の視点を生かすことで、設備の充実した使い勝手のいいホール、現実的に需要があり年間の稼働率が見込めるホール、将来にわたって市民に長く愛されるホールが作れるはずです。現計画と、それにいたる経過や、将来像のあいまいさが、多くの疑問と問題点をもたらしているのではないでしょうか。

市民が望んでいるのは、水戸市の文化や市民活動に資する、水戸市に合った市民会館です。それを実現するために、一度立ち止まり、見直すべきではないでしょうか。今議会には、市民が十分に意見を出し合い、市民参加によって、よりよい市民会館にしていくことが求められているのです。

  • 住民投票の意義)

 

将来にわたって市民にふりかかる問題、これほど大きな予算が使われる事業であれば、市民が、広く意見を聞いてほしいと望むのは当然であり、また、市民の合意形成をすることは必要です。住民投票は、そのために、地方自治法で保障された市民の政治参加の権利であり、地方自治、民主主義の観点からも、議会がこれを否決する理由がありません。責任をもって可決すべきと考えます。

市長は、説明不足や誤解によって、正しい情報が理解されていないと言われています。市議会でも、同じような意見が出されていますが、それならばなおさら、住民投票を行うことによって、それこそ多くの市民に説明し、情報を浸透させる絶好の機会ができるのではないでしょうか。現計画が、本当に、市民生活を豊かにし、水戸市の活性化につながるという、市長がこれまで語ってきたような夢の計画であるというのなら、それを市民にしっかりと説明し、疑問に答えた上で堂々と賛否を問えばよいのではないでしょうか。

市民のみなさんは、計画自体には賛成の方も反対の方も、また、まだよくわからないという方も多いのです。全市的な議論をして、水戸市の未来に本当に夢を描ける市民会館建設を実現していくことにつながる機会となるはずです。水戸市で初めて住民投票を実現するという画期的な判断を、水戸市議会が誇りを持って行うことを、こころから求めて訴えます。市民の代表として、市民が求めている市民の政治参加の機会を保証するために、各議員の皆様のご英断を心よりお願いいたします。

以上、今議案の可決のためのご賛同を強く求めまして、私の討論を終わります。