日本共産党水戸市議団の土田記代美です。会派を代表し、只今より通告に従い質問をいたします。

はじめに、市長の政治姿勢について質問いたします。
最初に新・市民会館整備計画について伺います。

まず、再開発事業と財政についてです。市民会館整備は、本体工事費160億円に舞台関連設備歩などに32億円、再開発事業費に103億円、さらに未確定の駐車場建設費を含めると320億円以上にもなる計画です。
この莫大な税金投入に、市民のコンセンサスは得られていません。

市民会館建設に国の補助は12億円程度しかなく、今後、4大プロジェクトで平成31年度には市債合計が2550億円、過去最大の借金となります。将来にわたって、これほどの重い負担となることにも、市民の理解は得られないのではないでしょうか。

そもそも、この計画は、平成26年度からの第6次総合計画では68億円の市民会館建設が、突然、トップダウンで変更され、再開発事業による大規模施設建設に変貌したものです。当初計画の4倍以上の予算規模であり、市の財政や市民生活への影響を考えても、これほど重大な計画変更が、市長の独断で決められてもいいのかという声があがっています。

今回の再開発事業の補償費は60億円です。最大地権者は伊勢甚です。伊勢甚が所有する旧京成ビルなどの解体費用にかかる13億円は水戸市が補助をし、使用していない老朽ビルの処分が税金で出来る上、伊勢甚には、移転補償で30億円以上が支払われると見込まれます。
これまでにも、伊勢甚を中心とした泉町の京成百貨店ビル建設の再開発事業で、水戸市から68億円の補助が出ています。再開発事業をすすめる再開発準備組合の副理事長は伊勢甚本社の社長であり、また地権者ではない水戸京成百貨店の社長が監事として入っています。
これは、そもそも特定の企業を利する再開発ありきの計画変更だったのではないでしょうか、お答えください。

次に、市民会館は市民のための文化施設であり、これまでの市民会館のような施設こそ必要とされています。多くの市民が求めているのは、年に何回使われるかもわからない2000名の大ホールや、何年に1度実現するかもわからない国際会議や全国大会のための巨大なコンベンション施設でもありません。こどもから大人まで、色々な発表会や身近な演奏会、行事や式典など、市民が気軽に利用し集える場所であり、映画会や演劇、音楽や芸能など多様な芸術文化に直に触れられる場所で、市民活動や文化の拠点となる市民会館です。

水戸を中心に活動している演奏家の方々からも、新しい市民会館に期待をしていたが、とても使える施設ではないようでビックリしているとの声を聞きました。
震災後、活動場所がなく苦労している市民は大勢おり、以前のような市民会館を切実に待ち望んでいます。
市民のための市民会館、市民の税金でつくる市民会館が、なぜ市民の願いとかけはなれた過大なハコもの建設に変わってしまったのか、市長の説明では、ただコンベンション、コンベンションという言葉ばかりが踊り、その意義も必要性もあまりに不明瞭です。

例えば、ロックやポップスの有名アーティストが呼べるという話も、実際に、ロックファンの若者やアイドルファンの方などに聞けば、「いまどき、1500と2000のホールではライブの違いはほとんどない。3000とか5000のアリーナなら別だけど…」という答えが返ってきます。市内には、1500席の県民文化センターがあり、2000席の大ホールは必要ありません。

さらに、日本共産党は同意していませんが、水戸市には、同時期に、やはりトップダウンで決めた、東町に5000人収容の大規模体育館をつくる計画があります。議会で視察した函館アリーナのようにコンサートやコンベンションに対応できるとされ、ますます、この2000名の大ホールの必要性はなくなってしまいますが、いかがですか。

今、水戸市に必要なのは、多様な文化の構成ができ、また、多くの市民の利用により市民活動の活性化にも役立つ800~1000人規模、いわゆる中ホール的なホールです。この計画では、それがまったく抜け落ちてしまいます。
本当に、将来的なビジョンや必要性、文化への有用性などを精査されているのでしょか。単に、場所ありき再開発ビルの大きさありきの計画だったのではないのでしょうか。

さらに、今計画は、過大な建設費だけではなく、維持費も大きく、年間3億円以上と見込まれ、市民の税金でまかなうことになります。年に何回か2000人のホールがいっぱいになれば、水戸市が潤うかのようなイメージも幻想で、ホールの運営は、イベントの大きさや客の入りではなく、年間の稼働率が重要です。その経済性を考えても、コンスタントに行事や公演が組まれやすく、市民が気軽に利活用できる、以前の市民会館規模の施設こそ適正であり、市民の願いにもかないます。

高橋市長は、整備をもとめている多くの市民の声にこそ耳を傾け、市民の願う市民のための市民会館整備に取り組むべきではないでしょうか。改めて、場所ありき規模ありきの現計画を白紙にもどし真摯に市民の声を聞くことを求めるものです。

最後は、まちの活性化に関してです。水戸市は、これまでも、多額の税金を投入して市街地再開発事業を繰り返してきました。しかし、まちの活性化にはつながらず、逆に疲弊してきているのが現状です。むしろ、再開発によって人の流れや歴史ある街並が分断され、まちを壊してきたのではないでしょうか。
税金をつぎ込んで大きなビルをつくり、結果的には、大工町でもテナントが入らなかったり、赤塚駅北口や水戸駅では入ったテナントが次々撤退してしまうということが続いています。

長く商売を続けてきた地元商店を追い出し、大型ビルでまちなかの環境、景観を壊し、市民が行き交う商店街を壊してきた、まちなかの衰退はまさに政治の責任です。その反省もなく、莫大な税金投入のつけを市民への増税や公共料金の値上げ、市民サービスの切り捨てや将来負担にまわし、市民生活を圧迫してきたのではないでしょうか。

ただ外から人を呼び込んで活性化につなげるという発想は、もう通用せず、むしろ、そこに住んでいる人、住み続ける人のくらしやなりわいを充実させ、地道に支える行政こそ切実に求められていると考えますが、市長の見解をうかがいます。

今回の建設予定地は、まだ都市計画決定もされていません。それなのに、移転の代替地などを水戸市は先買いしていますが、まさに再開発ありきの強引な先走りではないのか、お答えください。

そこに住み続けたい地権者もいる中で、多くの地権者を説得し無理に買い上げなくても、市民会館をつくれる場所は、市内にいくつもあります。税負担を可能な限り縮減し、適正な規模の市民会館を、市民の理解を得ながら建設するのが、本来の市政のあり方ではないでしょうか。

再開発事業ありきの、一過性の呼び込み型の大型施設建設で一部の業者を潤すための市民会館整備ではなく、真摯に市民の声をきき、文化都市水戸に見合う、市民の求める市民会館を整備することを強く求めるものですが、ご答弁ください。

答弁≪市長≫

日本共産党水戸市議団を代表されましての土田議員の御質問にお答えをいたします。

私は,水戸芸術館や新たな市民会館を中心とした芸術文化,市民一人一人が育んできたスポーツ文化,それぞれを重層的に醸成し,多彩な文化を体感できる,多くの人でにぎわい楽しめるまちを創ってまいりたいと考えております。そして,自然や歴史,様々な地域資源や伝統文化を生かし,全国に向けてコンベンションの誘致に一層力を入れ,多くの人が集い,交流することによって新たな文化を創造し,その文化が経済や産業の発展につながる成熟したまちの実現を目指してまいります。
初めに,再開発事業と財政につきまして,お答えいたします。

新市民会館整備計画について,市民のコンセンサスが得られているのかという御質問につきましては,各種団体へのヒアリングをはじめ,市民アンケート,市民ワークショップ,意見公募手続き等を実施して,市民の意見を聴くとともに,市議会に設置された特別委員会において,十分な御審議をいただき,新市民会館の基本的な考え方,施設計画,敷地計画,概算事業費等を含めた「水戸市新たな市民会館整備基本計画」を策定したところであります。

私は,これまで,事業費などを明らかにしたうえで,必要性を訴え,あらゆる機会をとらえて,市民の理解を得られるように努めてまいりました。文化活動団体や経済団体など多くの市民から早期整備を求められているところであり,今後とも,事業を推進していく中で,市民と積極的に意見交換を行うとともに,情報の発信に努め,より多くの市民に理解をいただきながら,新市民会館の整備を推進してまいります。

また,特定企業のための再開発事業ではないかとの御質問でございますが,再開発事業は,すべての既存建築物の解体工事は,国や市の補助を受けて施行者が行うこととなり,補償金の算定につきましては,法律や制度に従い,公平性や客観性をもって,適正に算出されることとなりますので御理解願います。

次に,新市民会館の文化醸成と施設規模に関する御質問について,お答えいたします。県内には,2,000席規模のホールを有する施設がなく,全国的に見ても1,800席規模以上のホールを持たない県は,本県を含めてわずか7県であります。このため,吹奏楽や合唱コンクールなどの関東大会や全国大会をはじめ,福祉団体や文化団体等各種団体の全国規模の総会や式典,経済団体主催の大規模イベントなどの開催地として,本市が選ばれることが難しい状況であります。

また,著名なアーティストの公演が地元で鑑賞できないという市民の声もあがっており,県都として非常に残念な思いがあります。
このような状況を踏まえまして,私は,様々な市民需要に応えられるように,大ホール,多機能ホール,会議室等を備えた新市民会館を整備することといたしました。
市民が利用しやすく,市民の文化醸成に資する新市民会館は,小規模なホールが適しているのではないかという御指摘・御質問につきましては,観客規模等に応じて,大ホールの客席を段階的に利用できるように対応するなど,運営の工夫によって,様々な市民需要に応えてまいりたいと考えております。

また,新市民会館の整備に当たっては,その後の運営が非常に大切であると考えております。大規模な集客イベントや著名なアーティストの公演などを積極的に誘致するための組織体制についても十分に検討し,新市民会館の整備の基本理念である「多様な人々の交流と多彩な文化が織りなす,ひと・まちが輝くステージ」の実現を目指してまいります。

次に,市民生活と市民の利用についての御質問にお答えいたします。
本市の中心市街地の活力低下は,地域経済,雇用等に悪影響を及ぼし,まち全体の停滞につながるおそれがあります。中心市街地においてこのような大規模な空き店舗や空地が発生すると,行政の責任が問われ,行政の責任において解決すべきなどの声も聞こえてきているところであり,このままの状態にしておくことは一刻の猶予もならないものと考えております。

このため,本市では,魅力と活力あふれる中心市街地の再生に向け,泉町1丁目南地区や大工町1丁目地区で市街地再開発事業に取り組んできたところで,今後も,都市核の強化に向け,より一層の活性化への取組を推進してまいります。新市民会館の立地につきましては,泉町1丁目南地区と南北一体で拠点整備が可能であることや,中心市街地の賑わいを取り戻すべく,建替えの機会を確実にまちの活力に活かせること,さらには,芸術館の隣接地である立地特性を活かし,芸術文化の拠点形成により,2つの施設の相乗効果が期待でき,水戸ならではの特色ある魅力発信が可能であることから,泉町1丁目北地区に決定したものです。

整備手法につきましては,泉町1丁目北地区では,平成15年に地元の方々が主体となって準備組合を組織し,再開発事業を前提とした「まちづくり」の検討を進めてきた経緯や,同地区で建物を共同化し不燃化及び耐震化を図り都市機能を更新すること,さらに,周辺道路等の公共施設を合わせて整備できることから,市街地再開発事業に決めたものでございます。

今後も,各種団体からの御要望や市民意見を聴く機会を確保し,十分に市民の理解をいただきながら進めてまいります。