次に新市民会館整備計画について伺います。

巨額な事業費、無駄なハコモノで将来にわたって市民に重い負担となる計画に多くの市民が声をあげています。私も、もう5年にわたり本計画の問題点、致命的な立地条件を指摘し続けてきましたが、昨年12月、現計画への税金支出差し止めを求める住民訴訟も起こされました。強行している再開発事業は断念し、根本的な見直しを行い、一日も早く、真に水戸の文化に役立ち市民が活用し市民に愛される文化施設としての市民会館を建設することをもとめて質問します。

まず、文化価値と採算性についてですが、現計画の2000席ホールでは需要が見込めない上、現設計の舞台では質の高い公演の呼び込みは絶望的だということです。最初から文化的視点が欠けている計画ですが、経済面の視点でいってもあまりにナンセンスです。

今の時代、勝ち抜けるホールは、なにがしかの特長のあるホールです。ホールとしての質、文化価値がものをいうわけで、舞台と客席のバランスや、舞台装置や効果の優位性もなく、ただ2000席ある地方都市の一般的な多目的ホールでは選ばれるホールにはなりえません。353億円もかけてつくっても、スケジュールが埋まらず、ただ維持費ばかりがかさんでいく残念なホールになることは誰でも想像ができます。運営を指定管理者に委託するといいますが、これほど利益が見込めそうもない大きな会館の指定管理に手をあげる民間業者がいるでしょうか。

劇場不況の時代に入り、コンサートやイベントなどは圧倒的にアリーナが優位です。商業的には、演劇ホール、音楽ホール、ライブハウスなど、演目の特化されたホールがなんとか生き残っているという、今の日本の状況がみえているのでしょうか。また、ホール施設では周辺が賑わないことは30周年を迎えた芸術館の周りをみてもわかるのではないでしょうか。

市民にとっては、市民会館は商業施設でもなく経済活性化策でもなく、市民の文化の拠点です。市民会館が使えなくなって、もう9年も市民は再建を待っています。市民が使える、文化価値が高く質のよい、市民に愛されるホールこそが、税金をつかってつくるべき市民会館ではないでしょうか。

次に、無用な予算投入についてですが、これまでも京成百貨店や芸術館との連絡通路の調査、芸術館前の道路封鎖実験、コンテンツ検討委員会などなど、まるで成果も有用性もない無駄使いが、まともな説明もないまま次々と行われてきました。今、解体工事が行われている現場には、これまたとってつけたような木の柱のモックアップが建っています。(写真)

無理筋の再開発事業が思うように進まない中、ちょうど茨城新聞で『新市民会館建設

険しい道程』という記事が大きく出た頃だったので、「イヤイヤ進んでいますよ」というデモンストレーションではないか、これもまた多額のお金がかかっているのではないか、と、周辺に住んでいる方からいわれ、先日、市民の会の皆さんと現場を見てきました。

説明では、経年による表面の変化を見る実験的な柱ということでしたが、解体工事が終わり、建設工事が始まるとしたら、その時には撤去するもので、経年といっても何年も置けるわけでもない。そもそもこれを使うという材の実験を、今頃行うなどありえない。設計の前に、すでに実験済みで使える材でなければ設計が成り立たないと、建設関係の方があきれていました。一体いくらかかって、どんな有用性のある実験柱なのかご説明ください。

今、大規模水害からの復旧、そして新型コロナウイルス対策と、水戸市が税金を投入して取り組まなければならない課題が押し寄せているときに、えんえんと本計画に固執し無駄使いを続けている場合ではありません。そもそも現実的にこの計画は続行できるのでしょうか。全国各地で市民ホール等の事業にかかわり、基本計画策定の段階から委託し、ソフト面で参画していたシアターワークショップのHPを見ますと、実績紹介から、以前はあった新水戸市民会館の文字がなくなっています。普通に考えて、成果の見込みがないものと判断されたのではないでしょうか。一日も早い根本的な見直しを求めます。

答弁:市民協働部長

次に,新市民会館整備計画に関する一般質問について,お答えいたします。

新市民会館につきましては,著名なアーティストのコンサート,演劇,ミュージカル等,幅広い公演を初め吹奏楽や合唱コンクールなど市民の芸術文化や創作活動の発表会,さらには講演会,式典,全国規模の集客イベントなどさまざまな事業を開催できる施設を目指しております。このことから,幅広い用途に利用でき,利用者の御要望に即した事業が展開できる施設として,2,000席の大ホールや482席の中ホール等を整備することとしております。

中規模のホールが必要との御指摘についてでございますが,新市民会館の大ホールにつきましては,1階席のみ利用,1・2階席までの利用,全席利用ができるため,催し物の規模や主催者の御要望に合わせて1,000人から2,000人規模のイベントにも柔軟に対応できるものであります。

また,大ホールの舞台につきましては,式典や講演会などで使用する標準的なプロセニアム形式のほか,コンサート形式,演劇やロック・ポップスの演奏会等で使用する前舞台形式,歌舞伎やファッションショーなどで使用する花道形式など,さまざまな用途に対応できるようになっております。

中ホールにつきましては,前方の座席を取り外して舞台を拡張できるなどの工夫を凝らしており,小規模なコンサート,芸能発表会,演劇など日常的に使いやすい規模となっております。

ホールの設備につきましては,高い性能を備えた音響,照明等を設置するとともに,多数の楽屋やリハーサル室を確保するなど,これまで県内の他の施設では見られない充実した機能を備えております。

これらのことから,新市民会館については,他の類似施設との競合に打ち勝ち,主催者や観客の皆様方に満足していただける施設となるものと考えております。

本市といたしましては,多くの市民に愛され,活用され,市民が誇りに思えるような新市民会館の早期整備に全力で取り組み,将来にわたってにぎわいのある,楽しめるまちをつくってまいります。