次に、災害時の安心安全な避難対策について伺います

原子力災害は政治の決断、人の力で止められますが、止められないのが自然災害です。

各地で、思わぬ大きな被害をもたらす水害や地震、土砂崩れなど、自然災害が多発しています。いつ起こるかわからない災害時に、しっかりと市民の安心、安全をまもるための避難対策は市の責務として求められています。そこで、水戸市の避難所の運営体制について伺います。まず、指定避難所となっている施設には、市民が安全に避難し安心して過ごせる体制を市として確実に提供する必要があります。その基盤となる1人当たりのスペースの確保や、プライバシーの問題、食事や生活物資などの支援や、医療や介護の必要な方へのケア、さらには子どもたちのこころのケアなど、避難所での生活が非人道的な状態にならないためには、万全の対策ときめ細やかな運営体制が不可欠です。市の対策の現状についておききします。

また、ペット同行避難についてですが、福島原発事故後に、置き去りにされた被災動物の救出や、熊本地震の際には、被災した方たちがペットと共に避難できるよう行政とかけあうなど、災害時の現場で奔走された動物保護団体の方のお話を詳しく聞く機会がありました。

ペットが家族の一員として愛され、ペットを置いて逃げられない、ペットのために避難所に行くのをあきらめ車中泊ですごす、など、災害時、動物を飼っている方も動物も、大変な苦労と哀しみを強いられる、悲痛な現場の声があります。水戸市は、今後、中核市となれば、動物行政も担うことになり、そうした動物愛護の観点からも、また市民の避難対策の安心という観点からも、ペット同行避難の体制についても、先進的に確実に取り組むべきですが、いかがでしょうか。

答弁:

次に,安心,安全な避難対策について,お答えいたします。

私は,東日本大震災の教訓を踏まえ,市民の皆様に安全・安心を実感していただけるよう,「水戸市第6次総合計画-みと魁プラン-」の重点プロジェクトのひとつに,災害に強いまちづくりプロジェクトを掲げ,防災・減災対策を優先的かつ集中的に取り組んでまいりました。

各種対策を講じるに当たり,議会からの御助言をはじめ,各種団体との懇談会など,市民の皆様から多くの御意見をいただき,大震災時の課題を整理したところであります。

これまで,地域防災計画・ハザードマップの改定,災害情報の収集・伝達体制の整備,さらには,避難所への備蓄物資や無線機の配備,太陽光発電設備の整備など,防災活動拠点施設の機能強化に取り組んでまいりました。加えて,自主防災組織への補助金の増額,生活用水協力井戸制度の創設,災害時要配慮者の支援体制づくりなど,市民の皆様の防災意識の向上と地域の防災力の充実・強化を図ってきたところでございます。

避難対策につきましては,市民の皆様が災害リスクを過大・過小評価することなく,冷静に行動していただけるよう,分かりやすい言葉で広報するとともに,夜間に水位が上昇する場合は,明るい時間帯に避難を呼びかけるなど,市民の皆様があわてることなく避難していただけるよう,早め早めの情報発信を行い,各種安全対策を講じてまいります。

避難所につきましては,市民の皆様の安全を確保することはもちろんのこと,災害時に心細い思いで避難された方に安心していただくため,あらゆる状況に備えた避難スペースの確保と,避難者の多様なニーズに適切に対応できるよう,地域の自主防災組織をはじめとする支援関係者の皆様と連携し,運営体制の強化を図っているところでございます。

今後とも,市民と行政との協働により,共に備え,共に助け合える環境を整え,災害リスクを軽減し,安心して暮らせる,災害に強いまち「水戸」を構築してまいります。

避難所対策に関する詳細につきましては,市民協働部長から答弁をいたさせます。

答弁:市民協働部長

土田議員の代表質問のうち,安全,安心な避難対策について,お答えいたします。

本市における自然災害に備えた避難所につきましては,市民の皆様の身近な市の施設である市民センター,小・中学校など 計82か所を,指定避難所として位置付けるとともに,収容人員を超えるおそれがあるときには,緊急避難所として位置付けている県立高校や災害協定を締結している民間の施設を活用することとしております。

また,洪水時には,橋が渡れなくなることなども想定し,隣接しているひたちなか市,那珂市,城里町の避難所で受入れていただくとともに,高齢者や障害者の方に安心して避難していただけるよう,民間の福祉施設など41施設を福祉避難所として指定をしているところでございます。

備蓄対策につきましては,全ての市民センターに防災倉庫を設置するとともに,小・中学校等においては,空き教室などを活用し,初動段階で必要となる非常食,飲料水,簡易トイレ,発電機,さらには,プライバシーを確保するための間仕切りなどを配備しているところでございます。

備蓄量につきましては,非常食であれば,震災前の5万食から約12万食に総量を増やし強化しているところであり,加えて,避難者のニーズに適切に対応できるよう,アレルギーや内臓疾患を患っている方でも,食べられる非常食を導入するほか,災害協定により,様々な備蓄物資を迅速に調達することのできる環境を整えているところであります。

また,各避難所には,災害時にも確実につながるMCA無線機を配備するとともに,定期的な訓練を行い,迅速かつ円滑な情報伝達体制を確立しております。

運営体制につきましては,避難所指定動員をはじめとする市職員,地域の自主防災組織や学校関係者の皆様等と連携することとしており,全地区で策定している避難所運営マニュアルに基づき,地区ごとの任務分担を整備するとともに,各地区において,模擬避難所開設訓練を実施し,避難者の受付,簡易トイレの設置,非常食の調理など,体験を通じて理解を深めていただいております。

平成26年度からは,毎年,1万3千人を超える市民の皆様に,地域の防災訓練に参加していただくとともに,避難所指定動員の市職員も参加し,住民間だけではなく,行政とも顔の見える関係を築いているところであります。

洪水時における避難所運営につきましては,浸水被害が発生した場合,浸水想定区域内の地区における防災活動が困難でありますことから,浸水が想定される16の地区に,浸水想定のない16の地区が,迅速かつ円滑に応援できるよう,あらかじめ連携する地区の組み合わせや要請時のルールなどを申し合わせているところであります。自主防災組織の皆様には,組合せしたお互いの地区の防災訓練に参加するなど,連携体制を構築していただいており,より一層の地域防災力の向上につながっているところでございます。

また,避難所運営マニュアルには,近年の災害対応において,課題となった避難者の健康維持に向けた対策やボランティアとの連携,さらには,ペット対策などについてもルール化しているところでございます。

ペットの同行避難につきましては,水戸市獣医師会の先生方に御助言をいただき,様々な人が生活する避難所で人間とペットが共存していくため,飼育場所の指定,感染症への配慮,飼い主の方の役割などを定めるとともに,ペットが入るゲージなどを備蓄しているところでございます。

本市といたしましては,あらゆる状況に備えた避難スペースの確保と,避難者の多様なニーズに適切に対応できるよう,避難環境を整備するとともに,避難所は,一時的に生活を送る場所であることから,迅速かつ円滑な応急仮設住宅の提供など,避難所での滞在期間を可能な限り短くし,避難者の負担軽減に努めてまいります。

今後とも,避難所運営マニュアルを逐次,総点検するとともに,訓練などを通じて,支援関係者の皆様と連携を深め,実効性のある避難所運営体制を確立し,高齢者や障害者の方,さらには,その御家族の方が気兼ねすることなく,市民の皆様,誰もが安全で安心できる避難環境を一層整えてまいります。