2つ目は大型プロジェクトについてです

市長がすすめてきた4大プロジェクトについては、これほど巨額の事業費に見合ったものなのか、本当に市民生活に資するものなのか、という観点で、大いに疑問を感じるものであり、税金のムダ使いや、一部の事業者や大手ゼネコンの利権の温床になっている可能性があるのではないかと考えております。市民にもとめられているのは、適正な事業費で適正な施設を整備することであり、巨額の税金を費やし将来にわたって借金を背負うことになる市民に対し、それぞれの事業について公明正大にきちんと説明責任を果たすことです。

特に、4大プロジェクトについては、不透明な予算執行や、強行的な手法が多用されており、市民が納得できる説明がなされていません。その点を含め、今回、3つの事業について質問をいたします。真摯なご答弁をお願いいたします。

 

まず、新市民会館整備計画について伺います。

泉町1丁目北地区再開発事業については、権利変換計画の認可申請をされたところですが、まず、この権利変換計画に関して伺います。都市再開発法では、権利変換計画の作成にあたり、地権者それぞれの土地および物件調書、本人の同意を証明する文書と捺印、さらにその印鑑証明が必要となっております。当然のことです。

さて、以前からくり返し質問をしておりますが、予定地には、当初から本計画に反対を貫いている地権者がいらっしゃいます。一切の立ち入り調査も断っておられます。ところが、私も計画の縦覧をしましたが、この地権者が、保留床を取得するとされ、当たり前のように、計画書には詳細が記載されていました。ご本人は同意もしていない、サインも判も押していない、そもそも調書をつくらせていないとおっしゃっておられます。これは、いったいどういうことでしょう。調書があるとしたら、どうやってつくったものなのか、同意の署名、印鑑があるとすれば、それは偽造ではないのか。これで法的に問題なく計画が認可されるとお考えなのか、お答えください。

また、現在、予定地で営業し賑わっている店舗もあります。地権者だけでなく、こうした借家権者についても、同意が必要なはずですが、この方たちの同意についてはどうなっているのでしょうか。あの場所だからお客さんが来る、そういう立地の場所です。場所が変われば営業がむずかしくなるなど様々な事情があると考えますが、本当にすべての方の同意を得たのでしょうか。同意なく追い出すつもりなのでしょうか。お答え願います。せっかく、まちなかでがんばって営業している方たちを応援すべき水戸市が、こうした方たちを無理矢理追い出すなど、許されないと考えますがいかがでしょうか。

もう一点、私は以前から、この計画は、まちのまん中であきビルを放置し続けて来た伊勢甚救済、優遇のために持ち上がり、伊勢甚の利益のために動いてきたものではないのかと指摘してきました。権利変換計画を縦覧し、まさに指摘してきた通り、10年以上放置し手を入れていない旧京成デパートが、転出補償費に約30億円、更に店舗エリアに保留床も得て、解体費用もすべて水戸市が持つ、と、大きな利益が転がり込む計画です。それらがすべて市民の税金でまかなわれるわけです。国から補助が出る、借金ができるといっても、国の税金だって、元々、同じ市民が納めているわけです。

再開発事業で一部の事業者だけが利益を得て、出来たハコモノにはなんの責任もとらない。このくり返しで、費用対効果を考えず、失敗の検証もせず、無闇に行ってきた再開発事業が水戸のまちを壊してきたと、私は考えますが、市長のご見解を伺います。

また、私はこの4年間、毎回のように指摘してきましたが、巨大なホール施設では、益々まちなかは疲弊します。昔ながらの発想で、ハコモノづくりに、巨額の税金をつぎ込んでなんとかなる時代ではありません。一部のひとの目の前の利益ではなく、水戸市の未来を見越して、本気でまちなか再生の効果のある施策を考えるべきです。

泉町の活性化に逆行する上、一部の地権者には賃借料を支払い続け、一部の地権者は認可前の事前買収で税の控除も受けられない不公平を生み、さらにこの先、反対地権者を強制的に追い出すとしたら、本当に法も道理もない強行手段で進める事業となり、市民の理解は得られません。いったいこの市民会館整備に何年費やすことのなるのかもわからない、現計画は、これ以上傷が深くなる前に、キッパリと見直すべきです。無法で無謀な泉町1丁目北地区再開発事業の中止をもとめます。

次に施設計画についても伺います。茨城県の新年度予算で、県民文化センターのコンベンション機能強化が打ち出され、今年中に、国際会議などコンベンションに対応できる施設とするための工事が行われます。同時通訳機能やプロジェクターの導入などで、つくば国際会議場と同様に使用できるように模様替えし、会議誘致に取り組むとのことです。

さらに、水戸市では東町新体育館が完成し、私も内覧しましたが、5000席のアリーナは、客席の配置もバランスよく見やすくなっており、イベントやコンサートなども呼べると感じました。なにがいいたいのかといえば、水戸市には県民文化センターがあり、東町アリーナができた今、ますます2000席の大ホールは無用だということです。市長のいう、若者に人気の有名アーティストやアイドルのツアーは、来るとすればアリーナに来ます。国際会議なども、これから設備投資され、千波湖畔に立地し、景観もよくて、駐車場もある、県民文化センターが使われるでしょう。

以前から申し上げていますが、水戸市に足りないのは、そして必要なのは、大きなホールではなく、800~1000席位の中規模ホールなのです。文化センターの大ホールと小ホールの中間の1000席、もとの市民会館は、市内の文化ホールのちょうどよいバランスを担い、使い勝手もよく、水戸市に必要な施設として本当に多くの市民に利用されてきたのです。

市民が発表の場として気軽に使える、大ホールでは大きすぎ、小ホールでは狭すぎる、様々な公演に対応してきたのです。震災から8年、市民会館が使えないために、本当に多くの市民が苦労をしています。市内でバレエや音楽など様々な教室で学んでいる子供たちが、わざわざ他市のホールを借りて発表会をやっている。一日も早く、市民会館の再建を望んでいます。そして、それは、現計画のような無用の長物ではなく、真に水戸市の文化に資する、市民が活用できる市民のための市民会館です。

つい先週、磯崎新さんがプリッツカー賞を受賞したとのニュースが飛び込んできました。世界的な作品といわれる芸術館の片面を覆い隠すような高層駐車場を建て、芸術館の目の前に巨大なハコモノを建てる現計画は恥も外聞もなく、率直に言って水戸市の文化水準が疑われると感じました。市民の文化力は高いのに、本当に残念なことです。

改めて、市民と水戸市の文化のために、一日も早く計画を根本から見直すことを求めます。

答弁:市長

続きまして,大型プロジェクトのうち,新市民会館整備計画についてのご質問にお答えいたします。

新市民会館につきましては,水戸芸術館と連携した芸術文化の拠点として,また,中心市街地活性化の中核施設として,1日も早い完成を目指し,議会特別委員会に協議のうえ,ご理解を得ながら進めているところであります。

泉町1丁目北地区市街地再開発事業につきましては,権利者の意向を反映しながら,再開発組合が権利変換計画を作成し,本年2月25日付けで,再開発組合から茨城県知事宛てに認可申請を行ったところでございます。

ご質問の,土地調書及び物件調書につきましては,権利変換計画作成の基礎資料として,都市再開発法の規定に基づき,施行者である再開発組合が作成を義務付けられております。土地や建物など,各地権者の従前の権利の内容を明らかにするものであり,その作成においては,土地収用法の規定に準じ,調書作成のための立入り,測量及び調査などの協力が得られなかった場合の対応及び署名押印を拒まれた場合の対応につきましても,法令に規定されております。

ご質問の地権者の方につきましては,法令に従い,登記簿等知り得る情報により調書を作成し,ご本人に代わり,同様に法の規定により,市の職員が署名押印をしたものでございます。あくまで,法を順守しながら進めているものであり,問題はないと考えております。

次に,解体費用と補償費の関係等についてでございますが,市街地再開発事業においては,事業地内の既存建築物の全てを,施行者である再開発組合が解体撤去するものでございます。建物所有者に対しては,解体費用を除いて補償金が支払われる,あるいは,補償基準等に基づき建物の現在価値を客観的に評価し権利変換されることとなります。全ての地権者に対し決められたルールに基づいて事業を進めており,特定企業を優遇するものではございません。

次に,借家人に関するご質問でございますが,都市再開発法では,所有権者と同様に借家権者に対しても,公平に,ご本人の意思が尊重される規定となっております。再開発組合は,借家権者に対して,これら法の規定を丁寧に説明したうえで,全ての方々から,新たな再開発ビルに借家権の取得を希望しない旨の申出があったところであります。

市街地再開発事業につきましては,権利変換計画認可後,速やかに,解体工事及び建築工事に着手し,早期の完成を目指してまいります。

次に,施設整備について,お答えいたします。

新市民会館につきましては,講演会,式典のほか,市民の芸術文化や創作活動の発表会をはじめ,クラシック音楽,ポピュラー音楽,演劇,ミュージカル等幅広い演目や,吹奏楽や合唱コンクール,各種イベントや会議等,さまざまな事業を開催できる施設を目指しております。

このことから,幅広い用途に利用でき,利用者の御要望に即した事業が展開できる施設として,2,000席の大ホールや482席の中ホールのほか,分科会やレセプションなども開催できる十分な広さと数を備えた会議室等を整備してまいります。

これまで,全国ツアー公演会場としてあまり選ばれてこなかった本県でございますが,新市民会館は,県内唯一の2,000席のホールを備えており,全国ツアー公演や演劇などの会場としての利用が可能となります。

大ホールにつきましては,2階席,3階席のバルコニーの先端をカーテンで閉じることにより,『1階席のみ利用』,『1,2階席までの利用』,『全席利用』が可能となり,そのため,催し物の規模や主催者の御要望等に合わせて,1,000人から2,000人規模のイベントにも柔軟に対応することができるものであります。

ホールの設備につきましても,高い性能を備えた音響,照明等を設置しており,主催者や観客の皆様に満足していただけるものとなっております。

さらに,楽屋やリハーサル室などの機能が充実しているため,以前から御要望の多い全国規模のコンクール大会や式典などについても,多くの開催が見込まれるものであります。

私は,主催者や来館者にとって利用しやすい新市民会館とすることにより,他の類似施設との競合に打ち勝つ施設になるものと考えております。

また,新市民会館は,本市が誇る観光資源である弘道館,偕楽園,千波湖等に近い立地であるとともに,周辺に大規模な商業施設や多くの飲食店などがあることから,来館された多くの方々が,観光やまち歩きを楽しんだりすることができるなど,他の都市にはない大きな魅力になると考えております。

さらに,水戸芸術館を設計されました磯崎新氏が,このたび,建築界のノーベル賞と呼ばれるアメリカの「プリツカー賞」を受賞されました。新市民会館の設計者の1人である伊東豊雄氏はすでに受賞されており,プリツカー賞受賞者による2つの作品が1つのエリアを形成することで,魅力と付加価値が生まれ,新たな層にも関心をもっていただくことが期待できるものであります。

私は,使い勝手のよさや魅力について,県内外に向けて,積極的に発信し,全国の多くの方々から選ばれ,市民に愛され,活用され,市民が誇りに思えるような新市民会館を整備することにより,将来にわたってにぎわいのある,楽しめるまちをつくってまいります。