次に、新市民会館整備計画について伺います。

はじめに建設費について伺います。岐阜市のメディアコスモスを、皆さんと一緒に見てきましたが、非常に凝ったデザインで広々とした立派な建物でした。複雑な工法のため、水漏れが起きているとのことですが、見るからに凝った天井や、すみずみまで手が込んだ、統一的にデザインされた施設で、さすがに名のある建築家の作品という感想を持ちました。

さて、そのメディアコスモスの施設本体の建設費は50億円とのことでした。一方、同じ伊東豊雄氏の設計で、新市民会館の本体建設費は160億円です。岐阜のようにはしない、シンプルな構造にするとのことですが、舞台設備等をのぞく本体建設費が、なんとメディアコスモスの3倍以上です。施設の違いはあるとはいえ、あまりに高すぎると感じました。

そこで、まず、メディアコスモスより、新市民会館の建設費が、大幅に高いのはなぜかを伺います。

最近の2000席規模のホール施設計画でも、仙台市では100億円、山形市では98億円、堺市では144億円です。水戸市は舞台設備等も含めれば192億円ですから突出しています。ホール施設の建設費は1㎡あたり50~60万円が相場といわれていますが、水戸市では85万円を超えています。適正な計画なのか大いに疑問を持たざるを得ません。

次に、再開発事業について。私は、この事業で利益を得るのは、放置している空きビルの処分と多額の移転補償がもらえる伊勢甚だけではないかと考えますが、60億円とされている移転補償費のうち、伊勢甚への補償はいくらになるのか。さらに、残りの補償費で、他の地権者の方々への十分な補償が出来るのかを伺います。

予定地の皆さんは、ほとんどが、代々、長くあの地に定着しご商売をされてきた方々です。また、現在、あの場所だからこそ繁盛しているテナントや業者さんもいます。この計画がなければ、まったく動く必要のなかった方たちを移転させ、建て替えをさせることになりますが、その建て替え費用と、移転後の経営への担保として見合うほどの補償が、確実に出来るのでしょうか。また、転出をするだけの方も、住み慣れた地域を離れて生活再建ができるのでしょうか。

組合設立認可により、反対者も再開発組合に強制加入となりますが、今後、地権者の合意形成が出来なくても強制執行するのか、伺います。

地権者の中には、明確に反対している方たちもいますが、泉町の再開発自体に同意はしていても、実際に、今、水戸市が出している新市民会館計画については納得していないという方が何人もいらっしゃいます。まちなかの活性化のため、水戸市の未来のためと考えて同意はしたものの、その思いに、まるで逆行した計画になっていることに驚いておられるものと考えます。

水戸のど真ん中で歴史をつくってこられた地元の皆さんを追い出して、そこに、多くの市民が納得していない市民会館、将来にわたって市の財政を圧迫し続ける無用の長物を建ててしまえば、水戸市のためにと移転してくれた方たちにとっても、使えない会館でガッカリする文化団体や市民、そして将来に渡って借金を背負わされる市民と水戸の子供たちにとっても、本当に不幸な結末です。多額の税金を使って、誰もがザンネンな思いをする再開発事業は中止すべきです。

次に、2000席のホールは、水戸市の現状を考えても本当に中途半端な席数です。例えば、水戸市で毎年行っている「こどものためのコンサート」では、対象となる小学5年生は2300人以上おり、2000席では入れません。また、成人式をやるにも席が足りません。こうした市のイベントにも対応できない上、およそ年間の稼働も見込めないのです。

県民文化センターの稼働率はほぼ8割ですが、その中で、実際に席が埋まった数、1400人以上入った催事は2割程度です。そもそも水戸では、1500席でさえ容易に埋まらない規模なのです。

さらに、2000席ホールをつくっても、泉町では、吹奏楽の全国コンクールはできません。

それを出来るかのように言うのは市民にウソをつくことになります。何度も言いますが、吹奏楽は、それぞれが楽器を持ちこみ、一日中、搬入・搬出が繰り返されるのです。わかりやすくパネルを用意しました(①)。

これが、吹奏楽の全国コンクールが、実際に行われている、名古屋国際会議場のセンチュリーホールです。ここが、搬入口で、大型車両が並んでつけられています。こちらが大型車両の駐車スペースです。ここに、バスやトラックを待機させ、次々にまわしていくわけです。こちらが普通車用の駐車場ですから、大きさがわかると思います。このように、大型車の待機場所と動線が確保できるからこそ、全国コンクールが出来るのです。

泉町の、50号にぶつかる一方通行の出口近くで、たった2台分の搬入スペースで、どうすれば何十台もの大型車両の入れ替えが出来るのか、出来るというのなら具体的にご説明ください。

以上、現計画は、物理的障害や不備が多すぎる上、地権者や市民、さらには使い勝手の悪い施設で苦労するアーティスト、と、誰にとっても不幸な計画であり、根本的な見直しをもとめます。

 

答弁:都市計画部長

新市民会館の建設費でございますが,工事費の試算にあたりましては,同種ホールの直近の事例を参考にするとともに,一定の工事費上昇分を見込んだものでございます。他施設との工事費比較につきましては,用途や構造形式,施工時の物価情勢等,個別状況により違いがあるものと考えております。なお,建築工事費につきましては,現在,基本設計を進めているところでございますので,その中で精査してまいります。

次に,再開発事業についてのご質問でございますが,転出者の補償費につきましては,所有する権利の大・小に関わらず,法律や制度に従い,公平性や客観性をもって適正に算出されるものであり,従前の状況と同等の生活再建が図れるよう,補償費算出の基準等が整備されていると考えております。また,強制立ち退きに関しましては,事業に対するご理解が得られるよう,市街地再開発組合と連携を図りながら鋭意交渉にあたってまいります。新市民会館の整備は,中心市街地の活性化にとって成し遂げなければならない使命でございますので,引き続き,全力で取り組んでまいります。

答弁:市民協働部長

次に,新市民会館整備計画についてのうち,2,000席のホールについて,お答えいたします。

新市民会館は,市民の芸術文化活動を促進するとともに,著名なアーティストの公演,各種イベントや会議等が開催できる施設として整備してまいりたいと考えております。

水戸商工会議所,市文化振興協議会等多くの市民からは,全国規模の大会や式典,大規模イベントをはじめ,吹奏楽や合唱コンクールなどの関東大会や全国大会の開催に向け,2,000席規模のホールを有する施設の整備が求められています。

また,興行主催者等との意見交換会により,「ホールの規模は,採算性を踏まえると客席数が多いことが好ましく,水戸市に2,000席規模のホールができた場合には,コンサートツアーの会場として期待できる。」との見解も伺っております。

ホールの稼働率や席の利用率を高めるためには,音響や照明等を含む舞台設備や楽屋等を充実させるとともに,専門性の高い技術・技能や多彩なネットワークを活用し,積極的な営業活動を行い,多くの皆様に喜んでいただけるような公演等を提供することが重要となります。

本市といたしましては,全国の多くの方々が快適に施設を利用でき,「また来たい」,「また開催したい」と思っていただけるような新市民会館の整備を進めてまいります。

次に,吹奏楽コンクールの搬入・搬出につきましては,一定の時間内に,施設の搬入口付近に,機材運搬用トラックが集中しないような施策を重層的に展開することが必要であると考えております。

そのため,施設搬入口前の市道を拡幅し,トラック等が円滑に移動できるスペースの充実を図ります。また,水戸京成パーキングプラザ脇の市有地のほか,公共施設の駐車場等を活用し,トラックの待機場所を確保するとともに,トラックが渋滞を起こさないよう,搬入口への適切な誘導を図ってまいります。

今後とも,市街地再開発組合や設計者をはじめ,関係者と積極的に意見を交換しながら,新市民会館の早期の整備に向け,全力で取り組んでまいります。