2023年12月議会 反対討論

令和5年12月議会反対討論

日本共産党水戸市議団 中庭由美子です。

本定例会に提出されました議案24件のうち、

議案第98号と議案第100号、

議案第101号 議案第110号の4件について、通告に従い反対討論を行います。

はじめに議案第98号「市町村営、那珂川沿岸地区土地改良事業の計画の、概要を定めることについて」これは、那珂川沿岸、農業水利事業に関する議案です。

この事業は、30年前にスタートし、御前山ダムを水源と位置づけて、国がダムや農業用水路を建設してきたものです。

今回の議案は、今後、水戸市を含む8市町村が基幹的施設を管理し、年間1億7500万円とされる維持管理費用を、国・県が30%。市町村と受益者が20%ずつ負担を続けるというものです。

問題は、総事業費が大幅に膨らんでいることです。当初の495億円から一昨年度時点で888億6900万円となっています。さらに、旧・おばえ小場江用水路の改修など多くの事業が残っており、最終年度の令和8年度に完成するかどうかもわからず、最終的な事業費は1000億円を超える可能性もあります。それに伴い、水戸市など市町村の負担も増加します。

そして、農家の皆さんには、毎年の水利費がかかることになります。

30年の間に、世代交代や高齢化、米価暴落や資材高騰の影響など、農家経営が大変で、農業従事者の減少がとまりません。

そんなときに、新たな負担を農家に求めることになる本議案には賛成できません。

それよりも、農産物の価格保障や新たな担い手への支援の拡充、資材高騰への直接支援など、農家の皆さんを支える対策を実施するよう強く求めるものです。

 

次に、議案第100号 水戸市印鑑条例の一部を改正する条例についてです。

これは、マイナンバーカードの情報をスマートホンに記録して、一部のコンビニで印鑑証明の交付を受けることが可能とする制度です。

私たちはマイナンバー制度自体に反対の立場ですが、特にコンビニ交付は情報漏洩、個人情報保護が担保されていませんし、情報が流出した場合は取り返しがつきません。

スマートホンでは乗っ取りや紛失、盗難など、さらに危険が増えると予想されます。マイナンバーカードについては個人情報を守れないどころか、システムトラブルや人的ミスが噴出しています。家族や他人の口座が登録されたのは13万件。別人を紐づけて他人の情報の閲覧が可能となったのが7300件。マイナ保険証に別人の医療情報が登録されるなど、導入した医療機関の65%でトラブルが発生しています。水戸市でも同様です。

マイナンバー制度開始時には、カードは安全に保管し

他人に見られない、見せないようにする、などとされていましたが、現在ではカードは持ち歩くようになっています。

今度はスマートホンに情報を入れるなど、情報管理のシステムが脆弱な中、さらにマイナンバーカードの取得の推進策であり、賛成できません。

次に、議案第110号 令和5年度、水戸市一般会計補正予算 第6号に反対します。

まず、デジタルイノベーション費800万円です。これは、マイナンバーカードにふりがな、ローマ字を追加するためのシステム改修の委託費です。

これまでも毎年のようにシステム改修が行われてきましたが、そもそも制度設計が整わないまま、見切り発車でマイナンバーカードをスタートしたことが根本の問題です。コロコロと変わる国の都合で、システム改修を強いられる自治体や担当職員の手間や負担を考えたらとても容認できません。不正利用や情報流出などが止められない現状では、国民の利益よりも悪影響の方が大きすぎると考えます。

いったん制度自体を止めるべきという立場であり、本補正予算は認められません。

 

また、戸籍住民基本台帳費1340万円は、戸籍にフリガナをつける準備の経費です。マイナンバー制度で国民の各種個人情報の紐づけを進めていくための改正でもあります。しかし、フリガナをつける際の仕組みや権限などがあいまいなまま強行され、人権のひとつである個人の命名権などを侵害する懸念があり、国民の理解も得られていません。

国が せっそくに 期限を切って推し進めようとすることで、自治体の業務、予算、職員の負担が大きく増えることも許容できません。いずれもマイナンバー制度推進のための予算であり、本補正予算は認められません。

次に、議案第101号 水戸市児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める 条例の一部を改正する

条例に反対します。

これは放課後児童支援員の要件を緩和するものです。

今までは県が実施する研修を修了し、放課後支援員の資格を得てから採用されていました。ところが条例改正により2年以内に研修を修了することを予定していれば放課後児童支援員として採用できるという、いわば「みなし放課後支援員」を認めるものです。

しかし、放課後支援員は専門職です。子どもの健全な育成や安全の確保のためにも、資格をもつ支援員をきちんと配置するべきです。

なぜ規制緩和の方向に水戸市が動かなくてはならないのでしょうか?

みなし支援員が認められれば、事業者が夏休み期間だけ放課後教室を一時的に増やす場合、本来、資格を持つ支援員の配置が必要ですが、研修予定があれば資格がなくても責任者として採用でき、夏休みだけの短期雇用ならば、結局研修を受けないまま雇用終了することも起きます。

この規制緩和により支援員不足が解消するとは考えられません。かえって放課後学級の質の低下につながるのではないでしょうか。

水戸市はすでに放課後学級を民間委託し、現場では様々な問題が起きています。子ども達の安全や放課後学級の質の向上こそが今、求められています。

支援員不足の原因は、資格の専門性に見合わない低賃金や職場環境だと考えます。水戸市はそれを改善する事こそ取り組むべきです。

放課後学級の質を確保し、向上することを強く求め、以上で反対討論を終わります。ありがとうございました。