次に高齢者支援について伺います。岸田政権による介護保険制度改悪によって、本来、高齢者が安心して介護サービスを受けられ、最後までその人らしい生活を維持していくための支援であるはずの仕組みが壊され、利用者の負担増とサービス給付の縮小、軽度者の切り捨てで「保険あって介護なし」という言葉も飛び交い、多くの高齢者の介護度の重度化、利用控えによる心身の状態の悪化など深刻な事態が懸念されています。国の制度が悪化しているからといって、ただそれに付き従っていたのでは、住民の命や暮らしをまもれないと考えます。それぞれの自治体が独自の判断で行える支援策を実施していくことが求められており、高橋市長にもその立場でお考えいただきたく、3点の質問をします。

ア)まず、介護保険料については、国保税同様、市民にとって負担が重く、今回の改定で所得の低い1段階から3段階の人は、わずかに月90円下がりましたが、10段階から13段階の人は大幅な値上げで、総額約9600万円もの負担増です。水戸市の介護給付費準備基金は12億円もあり引き下げは可能と考えます。本市介護保険料の軽減をもとめます。

イ)また、介護保険事業では、国の方針で、これまで要支援1・2へのサービス給付が切り捨てられてきたのに続き、今度は要介護1・2外しが進められている中、本市でも、来月から、これまで要介護1・2の低所得の方に給付してきた紙おむつの支給をやめるということですが、この撤回をもとめたいと思います。

令和3年度に要支援1・2を廃止、今回、要介護1.2で廃止。と、国の意向そのままですが、高橋市長も、これまで支給されていたオムツを、来月から奪われる高齢者の身になってみてください。経済的に困難な方が、少しでも節約しようとオムツを替えずに長い時間を過ごしたり、一度使ったものを乾かしてまた使ったりしているという話もきいています。衛生面でも精神面でも人を追いつめ、高齢者がいきいき暮らせるまちづくりにも逆行します。ただちに方針の見直しをしていただきたいと思いますが、ご答弁願います。

ウ)3点目は、人材の確保と待遇改善です。介護現場の人手不足は深刻ですが、国は条件緩和ばかり進め、専門職である介護ワーカーの方たちが安心して働き続けられる処遇改善とは逆の方向に向かっているといわざるを得ません。仕事に見合った報酬と安定した職場環境、なにより資格を持った人たちが就職しやすい環境整備が必要です。若い人たちも、介護で働くなら水戸市で、といわれるような本市独自の支援策を考えていくべきですが、いかがでしょうか。

答弁:市長

次に,介護保険料についてお答えいたします。

生産年齢人口が減少していく中で,高齢者人口は団塊ジュニア世代が65歳となる2040年に向けて急激に増加すると見込まれております。

介護保険料につきましては,介護保険制度の持続可能性を確保する観点から,国において,第1号被保険者間での所得再分配機能の強化を図るため,標準段階を増やし,高所得者の標準乗率の引き上げを行い,低所得者については,公費による負担軽減を継続するとともに,標準乗率の引き下げが実施されたところであります。

これを踏まえ,本市においても,令和6年度から令和8年度を計画期間とする水戸市第9期高齢者福祉計画・介護保険事業計画の策定にあわせて,保険料の判定に用いる所得段階を,12段階から13段階に増やし,負担バランスの最適化を図ったところであります。

第9期計画期間中は,要介護等認定者の増加や,介護報酬の改定率が,全体でプラス1.59%と上昇したことなどにより,介護給付費の大幅な増加が見込まれ,本来であれば保険料の上昇は避けられないものでありました。しかしながら,市民の経済的負担を最大限軽減できるよう配慮することとし,介護給付費準備基金を活用するなどにより,基準額を月額6,100円と据え置きしたところであります。

私は,高齢者が住み慣れた地域で,いきいきと安心して,自分らしく暮らす社会を実現するためには,医療や介護予防,生活支援等が連携した地域包括ケアシステムの構築と,介護保険事業の安定した運営が重要であると考えており,介護保険料はこのための貴重な財源であると認識しております。

今後とも,社会全体で介護を支えるという理念のもと,介護保険事業の適正な運営に努めてまいります。

介護保険事業について及び介護従事者の待遇改善と人材確保への支援についての御質問につきましては,後ほど,福祉部長から答弁いたさせます。

答弁:福祉部長

介護保険事業についてお答えいたします。

家族介護用品給付事業につきましては,失禁等のある要介護者に紙おむつ等を支給するもので,平成18年度から国の地域支援事業交付金の財源を活用してまいりました。しかしながら,平成27年度に,国から原則として地域支援事業の対象外とする方針が示され,さらには,事業の縮小・廃止を講じる場合のみ対象となる方針が示されたことから,段階的な見直しのもと,事業を継続して来たところでございます。

このような中,第9期計画期間においては,物価高騰等に配慮した例外的な激変緩和措置により,国の支援事業として継続されたものの,廃止・縮小を着実に実行するよう,改めて方針が示されたところでございます。

高齢化の進行による対象者の増加が見込まれる状況において,本事業を可能な限り継続していくためには,財源確保が不可欠でございます。仮に,何の方策も講じなかった場合,国の補助事業の対象外となり,財政面に大きな影響が出ることが懸念されますことから,本市といたしましては,地域支援事業として国の支援を維持していくべく,重度要介護者である要介護3以上の方を対象とするこのたびの見直しに至ったところでございます。

次に,介護従事者の待遇改善と人材確保への支援についてお答えいたします。

介護従事者の待遇改善につきましては,国における令和6年度の報酬改定において,介護職員の人材確保を更に推し進め,介護現場で働く方々にとって,令和6年度に2.5%,令和7年度に2.0%のベースアップへとつながるよう,令和6年6月以降,これまで段階的に見直しが行われてきた処遇改善に係る加算の一本化と,加算率の引き上げが行われたところであります。

改正内容につきましては,本年3月,事業者を対象として開催したセミナーにおいても説明したところでありますが,引き続き,改正後の加算を適切に取得できるよう市内の事業所へ丁寧に周知してまいります。また,介護人材の確保につきましては,議員御質問の潜在的な有資格者の就労を後押しする支援金支給制度は実施しておりませんが,将来の介護人材の確保につなげるため,本市独自の取組として,NPO法人との共催により,令和5年度から介護の魅力を高校生に伝える事業を実施しているところであります。

引き続き,関連団体との連携を密にするとともに,介護現場の状況等の把握に努めながら,介護人材不足の解消に向けた取組を推進してまいります。