令和元年第4回水戸市議会定例会  反対討論      2019.12.17

                 日本共産党水戸市議団 土田記代美

日本共産党水戸市議団の土田記代美です。本定例会に提案されました議案65件のうち、議案第103号、第112号、第117号、第122号、第123号および第131号、以上6件につきまして、通告に従い反対討論を行います。

初めに、議案第103号は、個人番号の利用および特定個人情報の提供に関する条例の一部改定で、いわゆるマイナンバーの利用拡大です。

私たちは、マイナンバー制度そのものが個人情報漏えいの危険や国によるプライバシー管理など問題山積のまま、見切り発車で整備された、世界的にもお粗末きわまりない不法な制度であると考え、廃止を求めてきました。

今なお、マイナンバーを含む個人情報の大規模な漏えいや、自治体による誤送付などは全国で相次いでおり、また、システムの不具合やセキュリティーへの不安、市民の不信感も払しょくされていません。何年たってもマイナンバーカードの取得が進まないのも、こうした問題に対する市民の不安の表れではないでしょうか。政府は、マイナンバーに様々な情報を紐づけし、機能の拡大を進めようとしていますが、それこそ国による、基本的人権を逸脱した個人情報の収集蓄積と国民管理の拡大であり、監視社会や重大なプライバシー侵害につながるものです。マイナンバー制度自体を廃止すべきであり、その利用を拡大する本条例案には反対をいたします。

次に、議案第112号は、駅前広場の利用に関する規制条例です。

これまで自由な空間として多くの市民に多様な形で利用されてきた駅前広場について、水戸市が規定を定め、利用の制限を行えるようにするものではないかとの疑念が市民の中に広がり、本条例の制定に反対する署名が市長に提出され、また、茨城県弁護士会は会長声明で「駅前広場のような公共施設の利用は、原則として自由に認められるべきであり、できる限り表現の自由が保障されるべきである。本条例案は表現の自由を保障した憲法21条に違反する疑いがきわめて濃厚である」と表明し、議会には慎重な審議をもとめられていたものです。

市の行ったパブリックコメントでも、反対する意見が多数寄せられていました。その結果、禁止行為を明確にするなど、憲法違反となるおそれのある条項が、一部修正されたことには一定の評価をするものですが、行為の禁止には、‘するおそれのある行為’‘これに類する行為’といった、あいまいな文言が残されているため、解釈によっては、言論、表現の自由を脅かす恐れ、可能性が払しょくされないこと、また、5万円の過料を課すという罰則規定があることも見過ごせません。

本会議の中でも、これまで行われてきたような集会や署名、政治活動などは制限されないとの答弁はありましたが、条例の中に「言論・表現の自由を侵害しないように運用する」あるいは、憲法21条に触れないことが明記されない限りは、将来、悪用される危険があるものと考えます。

また、スケートボードをしている若者や、音楽活動をしている若者たちを、ただ排除するようなことになれば、駅前の活気や本市の未来を担う若者たちの夢をも壊すことになります。それよりも、今、本市になく、3000名もの署名が市長に出され要望の強いスケートボード場の整備をすすめるべきです。

危険な行為や迷惑行為をなくし、快適な駅前空間をつくることは、本条例がなくてもできることであり、そもそも条例の立法事実もないもので、賛成出来ません。

次に議案第117号は、家庭的保育事業等の設備運営に関する基準を改定する条例ですが、国の規制緩和にそって基準を緩和するものであり、反対いたします。

卒園後の受け皿となる連携施設の確保ができない場合に、認可外保育施設でもよいとする、自園調理の原則の適用を猶予する期間を延長する、連携施設を確保しないことができる経過措置期間を延長するなど、主に4項目の改定です。

例えば、問題が多く市の実態調査も行われていない認可外施設を受け皿とするなどは、安全面からも市民の安心という点からも到底認められませんし、対象となるのは0歳から2歳児であり、抵抗力が弱く、アレルギーやアトピー性疾患などへの配慮や、衛生面、栄養面からも、特に注意が必要だからこそ自園調理が原則とされているものであって、これを緩和すべきではありません。

本市では現在、どの項目についても、実際には例がないとのことですが、それならなおさら、これまでの基準を維持するべきであり、わざわざ改定する必要はないと考えます。

議案122号は、来年4月から水道料金を、約5億円も値上げするという条例です。値上げ率は平均11%ですが、これはあくまで平均であり標準的な家庭で17%程度、消費税増税分も加えると、2割増しにもなる市民が多くいます。

水道料金は今年10月の消費税増税で値上げされたばかりです。働く人の実質賃金が下がり年金も減り続ける中、医療や介護の負担は増えていく、さらに今、大規模な水害に見舞われ大きな打撃を受けている本市で、家計が大変な市民に、さらに重い負担を押し付ける料金値上げなど行うべきではありません。

しかも、今回の11%値上げにとどまらず、5年後に15.8%、10年後に10.2%と、際限なく値上げする計画であり、市は現在より4割も水道料金を上げようとしています。水戸市の水道事業最大のムダは、茨城県中央広域水道からの受水です。9万人分も自前の水道水が余っていながら、98年の受水開始以来、20年間で約40億円も受水費を支払ってきました。その原資は市民が払った水道料金です。災害時の備えといいながら、東日本大震災でも今回の水害でもまるで役立たなかった、このムダで高額な県の水をいつまでも買い続けながら、市民の支払う料金は大幅値上げするなど到底認められません。

水道は市民生活に不可欠なライフラインです。毎年の黒字の活用や、県からの受水中止、起債の適切な活用と一般財源からの計画的繰り入れ、老朽管や施設更新に対する国補助実現などで賄うべきであり、料金値上げの撤回を強く求めます。市長は、本会議で、将来世代に重い負担を残さないために、今、受益者負担の観点から市民に我慢してもらうというような答弁をされましたが、将来に重い負担、禍根を残す新市民会館計画など数々の税金のムダ使いこそ改めるべきではないでしょうか。

議案第123号は、水戸駅、赤塚駅にある6カ所の自転車駐車場の管理運営を5年間4億670万円で、民間会社を指定管理者として委託する議案ですが、私たちは過去2回の指定管理にも反対してきました。

その理由は、行革の一環として民間委託を進めることで、賃金の安い労働者に置きかえ官製ワーキングプアをふやすこと。また、以前は直営で,受付と料金徴収業務は水戸市シルバー人材センターに,清掃や設備の維持点検などは地元業者だったものが、都市圏の大手一社に移されたこと。さらに自転車駐車場で働く50人以上の労働環境は、最低賃金をわずかに上回る程度で十分とはいえず、賃上げや雇用継続の保証も確実ではないことです。今回の指定にあたっても、基本的な問題は変わらず賛成できません。

議案第131号令和元年度水戸市一般会計補正予算につきましては、この議案123号、自転車駐車場の指定管理に関する債務負担行為が含まれているため、賛成できません。

以上、市民に寄り添いくらしをまもること、国の根幹である憲法を遵守することを最優先に、水戸市政が行われることを強く求め、私の反対討論を終わります。