次に、新市民会館整備計画についてです。

はじめに、2000席大ホールについて伺います。これまで何度も質問をしてきましたが、私は、現計画の2000席ホールは、本当に大きなムダ、無用の長物となると考えています。具体的に何を指摘しても、まともなお答えがいただけないまま、3年がたとうとしています。

そこで、今日は、端的に伺います。高橋市長は、この2000席ホールで、いったいなにをやるおつもりなのかをお答えください。

立地と基本設計から、ひとつひとつ示してきましたが、吹奏楽コンクールやコンサートトラックが多数来るような人気アーティスト公演の誘致は困難です。またロックバンドやアイドルが来るとすれば、今は、アリーナツアーが主流ですから、3000人~4000人規模の公演で東町アリーナに来るでしょう。また、クラシック音楽なら、水戸芸術館が充分に実績をあげているわけですし、2000席あっても、ホール自体が一般的な多目的ホールでは、特に音にこだわるクラシックファンが集まるはずもありません。今どき、こうした大ホールは、例えば、音のいいホール100選に入るなど、こだわりのあるホールでなければ、観客にもアーティストにも選ばれません。現計画の舞台では、オペラや本格演劇なども出来ません。

ではなにができるでしょう。演説会や講演会あるいは各種団体の総会などはできるでしょう。道具のいらない合唱コンクールやカラオケ大会もできるし、のど自慢も来るでしょう。ただ、NHKのど自慢は、2~30年に1度、来るか来ないかというお話でしたが。

また、トラック1、2台で来るような道具の少ない公演や、地元の様々な教室の発表会は出来るには出来るでしょうが、これほどのお金をかけて建てる大ホールであれば、当然、貸館としての使用料は高くなるでしょうから、現実的にはあまり使われないと思います。一般的なホール利用では、主催者が収支を考えて二の足を踏むハコになると考えます。

そこで、市長は、現計画で、年に何日2000席が埋まるのか、現実的にどんな収益があると考えていらっしゃるのかをお答えください。

ちなみに、県民文化センターは、昨年度も利用率は85%を超えており、利用者数は59万7622人。毎年、およそ60万人を達成している施設です。60万人といえば、新市民会館の掲げる目標と同じですが、昨年度、文化センターの利用料収入は1億531万円、今年度の事業計画でも目標は1億429万円と設定されています。60万人の利用で、年におよそ1億円の利用料収入。これが、全国的にみても健闘しているホール施設の実績です。

何が言いたいのかおわかりかと思いますが、2000席ホールが、市長の夢の通りにいっぱいになったとしても、ならなかったとしても、料金は同じです。お客が沢山来たらその分たくさんお金が入るわけではないのです。集客による利益は、公演の主催者のものであって、水戸市には落ちてきません。市長は、ホールにイベントを呼び込みさえすれば、なにか収益があるかのようなミスリードをされていますが、まず、現実に向き合うべきです。

さらに、完成後の維持管理費や、ホール施設というのは定期的な大規模改修が必要となる特殊な施設ですから、改修費の積み立て等、市民会館がある限り将来にわたってずっと続く負担があります。年間どのくらいのお金が必要になると考えているのかを伺います。

現在、水戸市では、芸術館に毎年およそ8億円の税金が使われています。更に大規模な新市民会館で、毎年いくら入れることになるのか、お答えください。

巨額の整備費用に市民の理解が得られていない上、今なお、収支見込もランニングコストも示せない、2000席ホールをどうまわしていくかは抽象的な夢物語しか語れない、これでは、とても市民の納得は得られません。市民が欲しいのは、市民にとって無駄な、閑古鳥の鳴く2000席大ホールではなく、使い勝手がよく質もよい、活用できる文化価値の高い中規模ホールです。よい例は全国各地にあります、高橋市長にもぜひ、演者にも観客にも支持されているような、よいホールを見学していただきたいと思います。

 

次に再開発と事業費について伺います。県の事業認可がおりましたが、昨年11月の申請から半年もかかっています。これは異例のことであり、事業計画の不備や見込みのずさんさに、県としてもすんなり認可できない計画だったのではないかと考えます。また、知事に対し、市民から130通を超える意見書が提出されたことも、茨城県では初めてのことだったそうです。このように、本事業が市の目論見通りに進んでいない現実について、どう考えるのか、市長のご見解を伺います。

まず、数々の問題点の中でも、県でも一番のネックと考えたと予測しますが、まちなかの機能をマヒさせる恐れのある交通渋滞問題について伺います。現在でも、泉町周辺は、朝夕はバスが連なり、ちょっとしたことで大渋滞になります。そこに3700人収容の市民会館をつくったとして、交通事情がどう変わるのか、渋滞回避のシミュレーションはしているとのことですが、本当に大丈夫なのでしょうか。例えば、芸術館で小澤征爾のコンサート、京成百貨店で北海道物産展、東町でスポーツ大会が重なった日に、新市民会館で、市長が期待しているような2000席大ホールいっぱいの観客が集まるとしたらどうなるでしょう。芸術館で小澤さんのコンサートがあると、50号は大工町どころか東町あたりまで車が動かなくなります。そのとき東町に5000人集まっていたら…と、想像するのはカンタンです。京成百貨店のイベント時、まちなかで車が動かなくなることは、水戸市民ならほとんど実感、経験しています。本来、市街地再開発は、その区域が便利に快適に、そして安全になることが目的のはずですが、これでは、まるで真逆の効果を生むことになるのではないでしょうか。

また、予定地で行っている事前買収についても、権利変換計画の認可がない段階では都市再開発法の裏付けがないやり方であり、水戸市は、再開発組合を隠れ蓑に、不透明な事業を行っていると言わざるをえません。現実には、再開発組合の中心は伊勢甚と水戸市であり、お金は水戸市から出ている、市民の税金を預かる自治体の姿勢として、とても許されないものです。反対地権者もおり、市民の理解も得られていない事業ですから、現計画では、このまま市長の願い通りに進むとは考えられません。来年には市長選挙があり、この新市民会館計画は大きな争点となるでしょう。全国的にも、県内でも、多くの市民が疑問を持ち、納得していない大型事業が、選挙で白紙に戻る例は相次いでいます。そこで、伺います。今後、この事業がとん挫した場合に、再開発法上のルールの外から支出してしまった公金について、いったいどう責任をとられるのでしょうか。

新市民会館予定地にも、芸術館東側駐車場の予定地にも、反対地権者、動きたくないといっている方たちがおられます。また、事前買収により、テナントビルを取得し、現在、営業をしているテナントの追い出しを始めているようですが、これも再開発組合がやっているといいながら、実態は水戸市が行っているわけです。市民の生活を脅かすこうした手法で、無理矢理進めようとしても、現実にはそうは進まない。再開発事業はとん挫する可能性が高いと考えます。

また、すでに駐車場予定地には土地収用法が適用できるわけですが、さらに、今後、市民会館予定地にも法的な権限が出来た場合、強制執行権を使うつもりなのかもお答えください。再開発事業で公共施設をつくるために、強制執行を行うとすれば、全国でも例がないやり方であり、住民の暮らしをまもり市民生活の向上をめざすべき地方自治体として、恥ずべきことと考えますがいかがでしょうか。

 

駐車場も含め320億円以上にもなる莫大な事業費についても伺います。たったひとつのハコモノ、しかも思うような経済効果なども望めず、大失敗が目に見えている事業に、なぜ高橋市長は執着されているのでしょうか。市民は、伊勢甚優遇やゼネコン利権ではないかとの疑念を持っています。

伊勢甚は、泉町1丁目南地区再開発の際にも多額の補助金を受け、また、その際、旧京成デパートを約17億円で取得しています。それを10年以上放置し、まちなかの疲弊の象徴のようにしてきました。ところが、この新市民会館計画のおかげで、またその移転補償が入る。補償費60億円の大半が伊勢甚に支払われ、解体費も含め、おそらく取得時の3倍近い補償となる可能性がありますが、一体いくら支払うのかをお答えください。空きビルをただ寝かせておいて、10年で3倍に跳ね上がるとしたら、バブル時代でもないのに、いまどきこんなにおいしい話があるでしょうか。

また、水戸市の大型プロジェクトでは、一者入札で99,9%など、ほぼ100%に近い落札率での契約が続いています。ところが、先の臨時議会で審議された、最終処分場建設では、大林組の談合事件により入札がやり直された結果、競争原理が働き、89.9%の落札率となり、なんと3億円近く安くなった。もし大林組がそのまま請け負っていたら、やはり一者入札99,9%の落札率で約3億円も余分に税金が使われたわけです。新市民会館建設についても、ホール施設の建設費は1㎡あたり50~60万円が相場といわれている中、水戸市では1㎡あたり85万円を超え、そもそも高すぎる単価で設定されています。もし、同じように特定のゼネコン一者が落札するという形になれば、やはり市民目線ではわからない余計な税金が、億単位で使われてしまうのではないかという疑問が生じるのではないでしょうか。

私が議会に入る前、当初の計画では、市民会館建設の候補地は、いくつもあったとお聞きします。わざわざ泉町を選んで、再開発にして用地確保だけに103億円もつかう、その上に、負の遺産になるだけのただ大きくて中途半端なホール施設を193億円もかけて建てる。市民会館といいながら市民のための会館ではなく、伊勢甚ための、ゼネコンのための、再開発ありきのハコモノで、ムダに巨額に膨らんでいると考えるものですが、ご見解を伺います。

一日も早い根本的な見直しをもとめて、この項目は終わります。

答弁【市長】

初めに,泉町一丁目北地区市街地再開発事業の事業計画につきましては,都市再開発法に基づき,昨年11月10日に市街地再開発組合が認可権者である茨城県に対して申請し,去る5月24日に認可を頂いたところです。

申請から認可までに時間を要した件につきましては,認可権者である県の事情によりますので,市としては分かりかねるところでございます。

自動車交通量に関するご質問につきましては,公安委員会との協議により,現況交通量の調査方法や,新市民会館整備に伴う増加交通量の影響範囲の捉え方など,十分な調整を踏まえた上で交通解析を行い,計画に問題のないことを確認しております。

市街地再開発事業の今後の進展につきましては,今般の,事業計画の認可を機に事業が本格化することから,引き続き,市街地再開発組合との連携を密にし,地権者に対し,事業へのご理解が得られるよう鋭意交渉を行い,事業の推進に努めてまいります。

次に,事業費のうち建設費につきましては,同種の新設ホールの建設単価の実績値を参考にしたほか,基本設計におきましても施設規模や仕様を踏まえて適切に建設費の概算額を算出しております。

今後は,ECI方式の施工予定者を交えた実施設計において,コスト意識を持って建設費を精査してまいります。

補償費につきましては,都市再開発法に基づき,従前の状況を客観的にとらえたうえで,全ての権利者に対し,公平・公正に進められるものであり,特定企業を優遇するものではございません。

私は,今後とも,様々な機会を捉え,市民の皆様方に丁寧にご説明しご意見を伺ってまいります。併せて,市議会特別委員会 のご審議を頂きながら,全国の多くの方々に,「また来たい」,「また開催したい」と思っていただ くとともに,市民が誇りに思え,いつでも気軽に立ち寄ることができ,まちなかでくつろぐことができる憩いの場として,新市民会館の一日も早い完成を目指し,全力で事業を推進してまいります。

次に,新市民会館整備計画についての御質問のうち,2,000席ホールについて,お答えいたします。

ホールの規模につきましては,水戸商工会議所,市文化振興協議会等多くの市民からは,全国規模の大会や式典,大規模イベントをはじめ,吹奏楽や合唱コンクールなどの関東大会や全国大会の開催に向け,2,000席規模のホールを有する施設の整備が求められています。

また,興行主催者等との意見交換会により,「ホールの規模は,採算性を踏まえると客席数が多いことが好ましく,水戸市に,

2,000席規模のホールができた場合には,コンサートツアーの会場として期待できる。」との見解も伺っております。

このことから,市議会特別委員会でも十分な御審議をいただきながら,2,000席の大ホールを整備することとしております。

新市民会館は,市民の芸術文化や創作活動の発表会をはじめ,クラシック音楽,ポピュラー音楽,演劇,ミュージカル等幅広い演目や,吹奏楽や合唱コンクール,各種イベントや会議等,さまざまな事業を開催できる施設としております。

大ホールにつきましては,催し物の規模や観客数等に合わせて,『1階席のみ利用』,『1,2階席までの利用』,『全席利用』ができ,2階席,3階席を使用しない場合は,バルコニーの先端をカーテンで閉じるなど,柔軟に対応することが可能であります。

さらに,ホールの設計につきましては,大規模な催し物に対応できる客席と,音楽コンクールや演劇等にも対応することのできる高い性能を備えた音響,照明等の舞台設備にも十分配慮したものとなっております。

このことから,私は,新市民会館事業推進計画でお示しした70パーセントの稼働率が十分に見込めるものと考えており,新市民会館を整備し,多くの交流人口を創出することにより,中心市街地の活力向上やまちの活性化を促進するとともに,人々に潤いや豊かさをもたらしてまいります。

次に,新市民会館の維持管理費につきましては,施設建築物の設計を進めながら光熱水費等を含む経費の見込みを精査しているところであります。今後,市議会特別委員会での御審議をいただきながら,運営経費について検討してまいります。