平成29年第3回水戸市議会定例会 反対討論          2017.9.25

水戸市議会議員 土田記代美

 

日本共産党水戸市議団の土田記代美です。

本定例会に提案されました議案のうち、議案第85号、第86号、第87号および第89号、第90号第91号と、認定第1号、第2号、第3号の9件につきまして、通告に従い反対討論を行います。

 

まず、議案第85号、および86号、87号の3件は、水戸市新庁舎建設に関わる工事請負契約の変更についての議案で、4か月の工期延長と、費用の増額です。

これら3件の追加工事契約により、当初契約159億3324万円が160億4908万800円と、1億1584万800円の増額となります。

理由として、想定外に支持層が固かった、想定外に地盤が柔らかかった…等々が報告され、本会議でも委員会でも質問をいたしましたが、納得のいかない答弁が多く、とても市民に対し、理解が得られる説明が出来ません。

特に、4大プロジェクトと銘打った、本当に大きな税金をつぎ込む大型事業で続いている、「土の中のことは掘ってみないとわからない」、「やってみたら想定外だった」という話で、費用が次々追加される事態は、事前の調査や工事見込みの甘さ、そもそもの積算のいいかげんさを疑わざるを得ません。大きな予算を扱う中で、それが市民の貴重な血税だという意識や、当たり前の金銭感覚がマヒしている部分があるのではないでしょうか。

今回、建設工事を請け負っている大成建設は、旧庁舎の建設も行っているわけで、元の杭や地中の障害物、地盤の状態などについて把握していないなどという話はありえないと考えます。やってみたら想定外だったといわれて、水戸市としては、そのまま追認するしかないのでしょうか。

新庁舎建設につきましては、私たちはそもそも高すぎるのではないかと疑問を持っておりました上に、当初契約の際は、一者のみの入札で99.91%の落札率であり、入札の経緯についても健全性が保たれていたのか、本会議においても質問を重ねてきたところです。今回の議案については、費用の面からも、また追加工事の経過や事由においても、とても賛成しかねるものです。

99.9%を超える落札率で、目いっぱい高めの契約だったわけですから、今回の増額分は、その中で賄うべきと考えます。物価変動等の確かな指標によるやむを得ないものであるならともかく、見込みの甘さによる「想定外」では、市民の理解は得られません。そもそもが超高額の工事であり、これ以上の追加費用はとても認められません。

 

次に、議案第90号は、平成29年度水戸市一般会計補正予算です。

泉町周辺地区整備事業費に1億1400万円の補正予算が入っております。これは、芸術館の東隣に駐車場をつくるための用地買収、基本設計等の費用ですが、私たちは、泉町1丁目北地区の再開発事業でつくる新市民会館計画に反対をしており、この駐車場計画についても認められません。そもそも、新市民会館の駐車場問題は、敷地外に300台程度の市営駐車場をつくってもなんら解決せず、泉町の活性化に逆行するどころか、致命的な交通マヒを起こすと考えます。市民会館は建設場所から見直すべきです。

さらに、この駐車場計画の予定地では、地権者の同意もすすんでおらず、長く住んでいる住民を無理矢理追い出し、移転後の不安にもこたえられないという、道理のない計画であり、中止すべきです。

 

次に、議案第91号は、国民健康保険会計補正予算で、国保会計の県単位化に伴うシステム改修予算です。県から示された試算によれば、水戸市の国保税は大幅な値上げとなる可能性が高く、また、一般会計からの法定外繰り入れの制限、収納の強化を目指すとされており、県単位化の推進には賛成できません。

 

続いて、認定第1号の平成28年度一般会計および特別会計決算につきましては、市政全般に係るもので、多数の論点がありますが、そのうち7点に絞りまして、意見を述べさせていただきます。

まず、ひとつは、財政調整基金ついてですが、昨年度、約24億円も取り崩したうえで、およそ97億円となりました。これは、これまで増税や公共料金の値上げなどで市民負担を増やし、様々な市民サービスを削りながら、必要以上にため込んできたものと考えます。さらに、本来、市民生活の充実のためにこそ活用すべきお金を、もっぱら4大プロジェクトのために取り崩していくやり方に反対です。昨年度は9億600万円、今後4年間で約70億円を取り崩していくとしており、こうした基金の使い方を転換すべきです。待機児童対策、高すぎる国保税、学校や市民センターの改修整備、空き家問題や道路補修、雨水排水対策など、市民生活に係る喫緊の課題は山積みです。手当すべき施策の拡充のためにこそ財政調整基金は活用すべきです。

 

2つ目は、国保税についてです。28年度は、一般会計の法定外繰入を行わずに、6億8223万円の黒字となりました。27年度までと同様に繰り入れを行っていれば、12億円を超える大きな黒字でした。水戸市は平成26年度から3年連続して黒字会計であり、高すぎる国保税の値下げが十分可能な財政運営と考えます。

国保加入者のうち68%が、年所得100万円以下の低所得者であり、保険料が高すぎるために、滞納せざるを得ない状況があり、昨年度の滞納件数は1万2363世帯にも上っています。一世帯あたり1万円の値下げが5億円でできるのであり、切実にもとめられています。

 

3点目は、税や公共料金の滞納世帯に対し、昨年度、875件もの差し押さえが行われました。中でも容赦ない取り立てを行う茨城租税債権管理機構に委託した件数は77件にものぼっています。滞納せざるを得ない状況の中で、生活の糧である年金や給与まで差し押さえられれば、生活自体が成り立たない、いのちにかかわる問題です。

また、生活に困窮し滞納する市民に対し、水戸市では、高い延滞金が課せられ、昨年度の延滞金徴収額は1億7千万円にものぼりました。減免件数はわずか34件、431万円に過ぎません。アベノミクスの逆効果で経済格差の拡がりが深刻になっている中、生活実態を無視した取り立てや差し押さえをやめ、分納や減免にきめ細やかに応じ、市民のいのちと暮らしを守ることをもとめます。特に、職員の手を離れ、機械的に取り立てることで、水戸市の行政責任の放棄につながる茨城租税債権管理機構への委託はただちにやめるべきです。

 

4点目に、教育や市民サービスの民間委託化の推進に反対いたします。

水戸市はこれまで、学校給食調理業務や市営住宅の管理運営など、民間委託を推進してきました。昨年度は、多くの市民の反対の声を押し切り、市立図書館5館を民間委託しました。さらに、ごみ収集の民間委託も推進しようとしています。

子どもたちの教育や市民生活の向上に資するため、本来、行政が責任を持って行うべき業務を、安上がりな民間委託へと置き換えていくことに対し、市民からも多くの不安や不満の声が届けられており、強く反対をいたします。

 

5点目は、学校給食費について、昨年度からの公会計化により、滞納した世帯の児童手当からの天引きが激増し、昨年度、671件にのぼりました。児童手当からの天引きは、そもそも児童手当の趣旨に反し、子どもの貧困をさらに深刻化させるものです。

今、子どもの貧困が大きな政治課題となっている中で、全国では、給食費の補助や無料化をすすめる自治体が拡がっています。水戸市の学校給食費は、小学校4300円、中学校4600円で、完全無料化でも10億円で実現可能であり、検討すべきと考えます。

 

6点目は、介護保険についてですが、昨年度、利用料の値上げが行われ、年所得160万円以上の利用料が1割から2割へと、2倍になりました。また訪問介護、デイサービスの利用料10%を8%に軽減する対象世帯が狭められ、2年前の約1700人が、昨年度は約350人まで激減しました。利用料値上げではなく、負担軽減を求めます。

 

7点目は、新市民会館整備計画についてです

私たちは、現計画に対し、根本的な見直しを求めて反対をしているところですが、巨額の事業費と無謀な計画で、泉町の衰退を加速化させるというだけではなく、今回も、決算になってわかったわけですが、議会にも市民にも、なんの報告もなく行われ、検証不能な調査・検討費用などが多すぎます。

今回の、‘新市民会館の整備による周辺地域への経済波及効果等の調査費用’648万円をはじめとして、これまでも、積み重ねればどれだけの無駄なお金を使っているのか、いつの間に使っているのか、まともに説明もできないという状況は理解できません。市民の大切な税金を扱う自治体として、ありえないやり方であり、不透明な予算執行に不信感が募るばかりです。

水戸市の未来、水戸市の発展のためにも、莫大な借金をつくり無用の長物となるだけではなく、その維持管理だけでも将来に渡って市民に大きな負担としてのしかかり続ける現計画は見直すべきです。まちなかを活性化し、未来を明るくする、市民に愛される市民会館づくりこそ求められており、一から市民とともに取り組むべきです。

 

以上の理由によりまして、認定第1号には反対をいたします。

 

次に、認定第2号は、水道事業会計決算です。

まず、茨城県中央広域水道用水供給事業からの受水については、中止すべきです。

28年度,1億5185万8830円の受水費を県に支払いましたが、その受水費は1㎥あたり698円、水戸市の給水原価の4.4倍にもなります。

県中央水道の料金は、全国一高いもので、県はようやく今年度から基本料金を400円値下げしましたが、依然として高い料金に変わりなく、すでに今後の値上げも示唆されております。

水戸地区自前の楮川と開江浄水場の給水能力は,日量で13万750トンあり,人口で約8万5千人分もの余裕があり、県受水の必要がありません。さらに、これからの時代、人口減少が進んでいくわけですから、なおさら必要のない水です。

受水開始以来19年間、県に支払った受水費の総額は、およそ36億2千万円にもなっています。これ以上、ムダな県水を買い続けるべきではありません。県としては、24年ぶりに知事が変わるのですから、市として、ぜひとも早急に、新知事と、契約の見直し、解除の協議をすすめていただきたいと考えます。

また、昨年度,水道料金への消費税転嫁による市民負担は4億2284万円に上りましたが、生活に不可欠な飲み水に課税すべきではないと考えます。

さらに、昨年1年間で2644件の給水停止が行われました。生活困窮世帯や経営難に陥る事業者が増えている中、市民生活の実態にそって、支払い可能な金額での分割納付を進めるべきであり、命にかかわる水を停止すべきではありません。

 

最後に、議案第89号および認定第3号は、平成28年度下水道事業会計決算に係るものです。まず、平成28年度、下水道料金を6.8%値上げし、その結果、市民負担は27年度より約2億4千万円増えましたが、一方で、下水道会計への一般会計繰り入れが約5千万円削減されています。もっぱら市民負担を増やすやり方に賛成できません。

他の自治体に比べ、まかない率が低い理由は、水戸市の整備が遅れたことによるものであり、市の責任です。それを、料金値上げで、市民に求めることに強く反対します。

下水道事業は、平成28年度末に普及率が78%、水洗化率86.2%となり、市民の多数が恩恵を受ける公共性の高い事業となっています。それこそ財政調整基金の活用などで、値上げを回避すべきでしたし、今後も、計画されている3年ごとの値上げも行うべきではありません。

また、受益者負担金の未納者に対し、28年度は484件の財産調査を行い、給与差押予告7件預金等の差押予告22件をしたうえ、差押の実行が1件、交付請求が4件ありました。元々高い受益者負担金制度に問題があり、制裁的な取り立て強化は認められません。接続率アップにも逆行するのではないでしょうか。制度の見直しと、下水道接続補助制度の復活など、取り立て強化ではなく接続の支援策の拡充をすべきです。

 

以上で、反対討論を終わります。ありがとうございました。