昨年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故から1年3カ月が経過したが,原子力発電所の事故は,国や電力会社がこれまで唱えてきた原子力発電に対する安全神話を根底から覆した。
一たび原子力事故が起これば,放射能問題で周辺地域に多大な被害を与え,莫大な経済的損失を与えるばかりでなく,住民の生活や雇用,コミュニティーや地域文化なども奪うことがはっきりした。
子どもを持つ親は放射能の低線量被曝や食物を介しての内部被曝からいかに子どもを守れるか悩み,子どもの将来を思うと不安が募る一方である。
「原子力事故はどんなことがあっても二度と起こしてはならない」,これは市民の強い願いである。
特に東海第二原子力発電所は,33年経って老朽化が進み,今回の東日本大震災でも,3台の非常用電源装置のうち1台が津波で使用ができず,残り2台で辛うじて炉心を冷却し,危機一髪の状況であった。
また東海第二原発の30キロメートル圏内には水戸市を含む約100万人が住んでおり,事故の危険性を考えると,住民の暮らし,安全を第一にしなくてはならない。
政府においては,脱原発依存との考えは示されたものの,具体的に方針や施策,安全対策等についての論議と取り組みは極めて不十分である。
原発事故の深刻な影響を考えると,原子力に依存しない社会への移行に本格的に取り組むべきである。
そのためにも再生可能な自然エネルギーヘの転換に国を挙げて取り組むことが求められている。
よって政府においては,下記の事項の実現を強く要望する。
<記>

1 二度と原発事故を引き起こさないためにも福島第一原発事故の徹底究明と検証を行うため,事故調査・検証委員会において事故の構造的な要因を徹底的に洗い出すこと。
2 原子力規制の強化のため,独立性の高い原子力安全規制組織を設置すること。
3 東海第二原子力発電所の再稼働は行わず,廃炉を実現すること。
4 原子力発電に依存するエネルギー政策から脱却し,再生可能な自然エネルギーヘの転換に全力を挙げて取り組むこと。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年6月26日
内閣総理大臣
総務大臣
文部科学大臣
経済産業大臣  あて(各通)
環境大臣
内閣官房長官
衆参両院議長
茨城県知事

水戸市議会議長  渡辺 政明