酪農家、畜産農家にたいする支援策について質問します。

ウクライナ侵略と円安で、穀物を中心にした飼料価格が2年前より5割アップし、輸入牧草価格は1.8倍に高騰しました。

その一方で牛乳と豚肉の買い入れ価格はそれに見合ってあがらず、酪農家は「牛乳を搾れば搾るほど赤字が増える」という状況になりました。

水戸市内には酪農家や畜産農家が40戸ありますが、この間、4戸が「餌代、光熱費などの高騰で、このままでは続けられない」として廃業しました。全国ではこの半年間に400戸の酪農家が廃業しました。このまま推移すれば、酪農家がなくなってしまいます。

政府は北海道だけでも、酪農家に対し、14万トンの牛乳の減産を押しつけています。

そして酪農家に対し「牛乳をしぼるな」「牛を殺処分したら一頭15万円の補助金を出す」としています。

その一方で、外国から13万7,000トンの乳製品を輸入しています。酪農家には減産を強要しながら、一方では外国から乳製品を輸入するのでは、酪農家はへるばかりです。

酪農家に対し牛乳減産を押しつけないこと、さらに乳製品を輸入する方針の撤回を政府に申し入れることですがいかがでしょうか。

酪農家や畜産農家を守るために、昨年11月に実施した水戸市畜産農家緊急支援金を再度、早急に実施することです。これは配合飼料や輸入牧草を購入した場合、1トンあたり、2,500円、一農家に最大200万円を補助する制度です。

この支援金が実施されたため、やっと年を越すことができたと喜ばれました。酪農の灯を消さないためにも、2回目の支援金の早急な支給を求めます。

そして,国に対し飼料、肥料、燃料代などの、価格高騰分を政府の責任で全額補てんするよう申し入れること。

明快な答弁をもとめます。

答弁:産業経済部長

中庭議員の一般質問のうち,農業行政についての御質問にお答えいたします。

酪農家,畜産農家の支援策についてでありますが,畜産情勢につきましては,現在,輸入に大きく依存している,家畜のエサとなる配合飼料について,円安やウクライナ情勢などの影響により価格が高騰し,令和4年7月~9月期に過去最高額を更新して以降,高水準で推移している状況であります。配合飼料をはじめとする生産資材の価格高騰は,畜産経営に大きな影響を及ぼすものであり,生産意欲の減退や離農につながる深刻な課題となっております。

このため,本市におきましては,令和4年9月には本市独自の畜産農家緊急支援金を予算措置し,同年11月に,畜産農家31件に対し,配合飼料や輸入乾牧草の利用数量1トン当たり2,500円,約2,000万円の緊急支援金を給付いたしました。

また,同年12月には,国が,乳用牛1頭につき10,000円の支援をしたほか,本年2月には,配合飼料1トン当たり6,750円の支援を実施しております。県におきましても,本年2月に,配合飼料価格安定制度における生産者積立金1トン当たり600円の支援を実施しているところであります。

乳価につきましても,令和4年11月に全国の指定生乳(せいにゅう)生産者団体が飲用向け乳価を中心に,1キロ当たり10円の値上げを実施したところでありますが,依然として生産費の高騰が酪農家の経営を圧迫していることから,北海道の指定生乳(せいにゅう)生産者団体では,本年4月から加工向け原料乳価を1キロ当たり10円,値上げすることとしております。他の指定団体においても,再度,飲用向け乳価を中心に,1キロ当たり15円~20円の値上げを要望していくとのことであり,政府においても追加の支援策を検討していくと報じられております。

また,飼料価格の高騰につきましては,今後も続くことが予想されることから,価格上昇に対しての経済的支援のみならず,国産の飼料供給を増やしていくことも重要であります。

このため,本市におきましては,これまで,牛のエサとなるホールクロップサイレージ用稲や配合飼料の原料としても利用される,飼料用米の生産を推進してまいりました。

持続可能な畜産業の推進のためには,行政の経済的支援や国産飼料の増産,乳業メーカー等の協力による適正な価格形成,消費者の理解などをバランス良く進めていくことが重要であります。

議員御質問の,水戸市畜産農家緊急支援金の再度の支給につきましては,現時点においては考えておりませんが,財源確保の見通しや,国,県の追加支援策の内容,今後の乳価等畜産物の取引価格の動向などを見極めながら,検討してまいりたいと考えております。

また,飼料,肥料,燃油等における価格高騰前との差額を国が全額補填することにつきましては,国内で農業を営む全ての農業者に対し,国が平等に,十分な支援をしていくことが重要であることから,機会を捉えて,国に働きかけてまいりたいと考えております。

なお,乳製品の輸入につきましては,乳製品は多数存在する国家間貿易品目の一つであり,貿易の全容を詳細に見極められない以上は,その可否について意見を述べられる立場にはないと考えております。