生活保護についての質問いたします。
生活保護は2013年から2015年にかけて、生活保護費が最大で10%も引き下げられ、削減総額は670億円となり、過去最大となりました。いまでも引き下げられたままです。
これに対し全国では、29の都道府県で1,000人を超える人々が生活保護減額は、生存権を侵害し、憲法違反であり、削減の取り消しをもとめる訴訟がおこなわれています。これまでに、減額取り取り消しを認めた判決は、大阪、熊本、東京、横浜、宮崎の各地方裁判所の5件であります。
物価高騰で暮らしがますます大変になっています。特に生活保護世帯では、食費を切り詰めるために、夕方半額になった見切り品をかったり、食事の回数も1日3回から2回に減らし、厳しい生活を余儀なくされています。
そこで生活保護費減額を元に戻すよう、国にもとめることです。
物価高騰にみあった基準額に増額するよう、水戸市は国に求める考えはないのか、お聞きします。
また扶養照会の中止を求めます。
生活保護を申請する場合、水戸市は親、子ども、兄弟に、金銭的援助ももとめる扶養照会を行います。しかし、親子関係が断絶し、援助はたのめないとか、兄弟がいるが、生活が厳しくとてもたのめない。親戚中に知られるのがいや、などの理由で扶養照会が保護申請をためらう要因となっています。
さらに水戸市は2名の調査員を採用し、親、兄弟に金銭的な援助ができるかどうかの調査をおこない、源泉徴収票、給料明細書、ローン返済予定表の提出を求めています。
これらの行き過ぎた扶養調査に批判が高まるなかで、厚生労働省は10年以上音信不通の場合や、金銭的なトラブルがある場合は、扶養照会をしないことかできるとしました。
しかしこれでは、生活保護の利用をためらう根本的解決にはならないとして全国の生活と健康を守る会や生活困窮者支援団体は扶養照会そのもの中止をもとめています。
水戸市は、扶養照会を中止すること、扶養調査員の配置をやめることを求めますが、いかがでしょうか。
次にケースワーカーの増員と正職員で対応することを求めます。
水戸市のケースワーカーは一人あたり82件の保護世帯を受け持っていますが、多忙をきわめており、増員すべきです。水戸市には50名のケースワーカーがおりますが、この中には非正規職員も7人おり、正職員として雇用することを求めますが、いかがでしょうか。
以上で質問を終わりますが、答弁によっては再質問いたします。
答弁:福祉部長
中庭議員の一般質問のうち,生活保護行政についてお答えいたします。
初めに,生活保護の基準につきましては,国が測定した要保護者の需要を基に定められており,本市といたしましては,この国の基準に基づいて保護の決定をおこなっております。
現在,電気やガスをはじめとしたエネルギーや食料品,日用品等の価格高騰が家計に与える影響が大きいことから,生活困窮者支援として,「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」等を支給してきたところであります。議員ご指摘の需要に見合う生活保護費の支給につきましては,機会を捉えて,国,県に働きかけてまいりたいと考えております。
次に,扶養照会につきましては,生活保護法第4条に規定する保護の補足性の原理において,扶養義務者の扶養は保護に優先して行われることとされており,要保護者に扶養義務者がある場合には,扶養義務者による扶養の可能性について調査することとしております。
国においては,令和3年に扶養義務の取扱いを一部改正したことから,本市においても,その取扱いに基づき生活保護受給者と扶養義務者の関係性等を勘案し,扶養の履行が期待できると判断した扶養義務者に対してのみ,収入および負債を把握するため源泉徴収票等の資料の提出などの照会を行っております。
都市部を中心に地域社会と住民とのつながりが希薄になっている昨今,特に生活保護受給者は,地域社会から孤立しやすい状況があることから,扶養義務者からの精神的な支援は,生活保護受給者が日常生活を送るうえで,必要な支援であると考えております。
このことから,扶養能力調査につきましては,生活保護受給者から丁寧に聞き取りを行うとともに,扶養の可能性や調査を行う時期について慎重に判断するなど,引き続き,生活保護受給者に寄り添った対応をしてまいります。
また,扶養義務調査員につきましては,ケースワーカーが生活保護受給者への支援により専念し,きめ細かな対応をとることができるような体制とするため,配置しているところであります。
次に,ケースワーカーにつきましては,社会福祉法に基づき,被保護世帯80世帯を標準として,1名のケースワーカーを配置しております。ケースワーカーの増員につきましては,今後の被保護世帯数の増減を鑑みながら,適正な配置を図ってまいります。また,社会福祉主事の資格を持った職員をケースワーク業務にあたらせることで,よりきめ細かな対応が出来るよう努めてまいります。