1. 生活保護行政について

次に生活保護行政について質問いたします。

コロナ禍の中で、失業、倒産による生活困窮者が増えています。

40代の男性は「非正規のため、真っ先に解雇された。家賃が払えず、ネットカフェに泊まっている」との訴えがありました。またある女性から「コロナ禍で職を失い、家賃が払えずホームレスになった。生活保護を受けたい」と相談がありました。

さらに高齢者から「月3万円の年金ではこの物価高で生活できない」との訴えがあり、あらゆる年代で貧困が深刻化しています。

憲法第25条は「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」としており、国民の生存権を保障しています。生活に困窮した人が生活保護を受給するのは国民の権利です。

しかし、厚生労働省の調査でも生活保護の条件がありながら、実際に受給しているのは7分の1にすぎません。

東京都中野区や札幌市では「生活保護の申請は国民の権利です」とのポスターやチラシを市の公共施設に掲示して、ためらわずに申請するよう働きかけております。

水戸市も作成し市役所本庁舎、市民センターなどで広く周知してはいかがでしょうか。

また水戸市では、2人の調査員が生活保護受給者の親・こども・兄弟などに対し、経済的援助などを求める扶養照会をおこなっています。

この「扶養届」(写真)とともに、金銭的援助だけではなく、給与明細書、源泉徴収票、土地建物の資産状況まで提出をもとめています。

これが保護申請をためらう一番の原因となっており「親に知られたら申請できない」「嫁ぎ先まで調査にきて、離婚になってしまった」との深刻な訴えもお聞きしました。

県内で、調査員を配置しているのは水戸市だけですが、昨年度は475件の調査で、経済的援助ができると回答した人は1件もありませんでした。扶養照会は保護をますます受けにくくするだけでありやめるべきです。

厚生労働省が「扶養照会は生活保護を受けるための要件ではない」との通知を昨年2月にだしましたが、水戸市の「生活保護のしおり」はいまだに変わっておらず、直ちに明記することを求めます。

また生活保護世帯に対しては、冬に灯油代などを補助する冬季加算がありますが、夏にはエアコンの電気代を補助する夏季加算がありません。

そのため、電気代を節約するため、エアコンの利用をためらい、熱中症になった方もおりました。

水戸市は国に夏季加算を要請すると共に、市独自でも電気代補助を実施する考えはないのか、お答えください。

答弁:福祉部長

中庭議員の代表質問のうち,生活保護についてお答えいたします。

初めに,生活保護制度の周知につきましては,生活保護制度を分かり易い内容で紹介した「生活保護のしおり」を市ホームページに掲載するとともに,生活福祉課の窓口に相談に来られた方への説明に際し,活用を図っているところであります。また,生活に困窮された方に対しましては,制度の内容などを丁寧に説明して,生活保護の申請手続きに関する助言を行い,生活保護制度の円滑な活用を促すことが重要であることから,ポスターやチラシの配布は行っておりませんが,今後とも,自立相談支援室や関係機関と連携を密にし,確実に支援が届くよう努めてまいりたいと考えております。

次に,扶養照会につきましては,生活保護法第4条に規定する保護の補足性の原理において,扶養義務者の扶養は保護に優先して行われることとされており,要保護者に扶養義務者がある場合には,扶養義務者による扶養の可能性について調査することとしております。

昨年,国において,扶養義務の取扱いを一部改正したことから,本市においても,その取扱いに基づき,生活保護受給者と扶養義務者の関係性等を勘案し,扶養の履行が期待できると判断した扶養義務者に対してのみ,照会を行っております。この改正の趣旨を踏まえて,「生活保護のしおり」につきましては,他自治体の事例などを参考にしながら,分かり易い内容となるよう見直しをしてまいります。

都市部を中心に地域社会と住民とのつながりが希薄になっている昨今,特に生活保護受給者は,地域社会から孤立しやすい状況があることから,扶養義務者からの精神的な支援は,生活保護受給者が日常生活を送るうえで,必要な支援であると考えております。

このことから,扶養能力調査につきましては,生活保護受給者から丁寧に聞き取りを行うとともに,扶養の可能性や調査を行う時期について慎重に判断するなど,引き続き,生活保護受給者に寄り 添った対応をしてまいります。

ご質問のありました扶養義務調査員につきましては,ケースワーカーが生活保護受給者への支援に,より専念できるような体制とするため,配置しているところであります。

次に,熱中症対策として電気代を補助することにつきましては,生活保護の最低生活費は,電気代も含めた基準として定められていることから,生活保護費の支給については,国の基準に基づくべきものと考えております。一方で近年,猛暑が続いている状況があることから,夏季の特別な需要に見合う生活保護費の支給につきましては,機会を捉えて,国,県に働きかけてまいりたいと考えております。