4.東海第二原発について

次に、東海第二原発の問題について質問します。

札幌地裁は5月31日、「津波に対する安全対策を満たしておらず、原発事故による住民の人格権侵害の恐れがある」として、北海道電力に、泊(とまり)原発を運転しないよう命じる判決を言い渡しました。

北電は「活断層ではない」と主張しましたが、現地調査で証明できず説明が二転三転しました。

規制委員会に古い資料を提出したため、更田委員長から「専門的議論に応じられる人材がいない。このままでは議論に堪えない。」と言われたほどです。

提訴から10年もたっているのに、安全性を立証できない北電に、原告弁護団長も「原発を稼働させる能力がない」と厳しく批判しています。

これで、東海第二原発の運転差し止めを求めた水戸地裁判決も含めて、原発再稼働を認めない判決は3例目です。

運転差し止め判決だけでなく、テロ対策施設が完成できずに運転を停止する原発も相次いでいます。

しかも、まともな避難計画は一つもできていません。

このように、停止するリスクばかり抱えている原発が、どうして安定電源だと言えるのでしょうか。

私は5月19日、「原発いらない茨城アクション」の皆さんと、高橋市長に対する要請行動に参加しました。

そこで、市長は「原子炉を動かすのは、協定に位置付けた再稼働であり、首長懇談会の議論なしに、稼働を伴う検査を行わない」と説明しました。

つまり、「了解が得られない限り、原子炉に核燃料が挿入されることはない」ということでよいのか。このことは6市村で一致し、原電も了解しているのか、お答えください。

また市長は「1人当たりの避難所面積の見直し方針が、県から間もなく示される。実効性ある避難計画が策定されない限り、再稼働の議論はありえない」とも説明しました。

それでは「実効性ある避難計画」とはどんな計画なのか。どういう基準で「避難計画が策定済み」とするつもりなのでしょうか。

昨年12月議会の田中議員の質問に、市長は「医療機関や福祉施設についてはすべての施設で避難計画が策定される必要がある」と答弁しました。

しかし、私が市内の医療機関や福祉施設に聞いたところ「避難車両の確保のメドも立たず、避難計画がつくれない」との答えでした。こういう施設が多数だと考えます。

施設管理者が「避難計画は作れない」と表明すれば、その判断を尊重するのか、お答えください。

市長は「日本原電が決してなし崩し的な再稼働を行わないように厳しく対応する」としています。

しかし、原電が進める「安全対策」の実態は、市長が言う「なしくずし的な再稼働」のための工事そのものです。

市長は、東海第二原発の再稼働反対、廃炉をただちに求めるべきです。

以上で第1回の質問を終わります。

答弁によりましては再質問いたします。

答弁:市長

東海第二原発に係る御質問についてお答えいたします。

日本原電から示されております使用前検査の工程においては,終盤に原子炉を稼働させての検査が位置付けられており,私は,たとえ試験のための稼働であっても,燃料を装荷し原子炉を動かすことは,新安全協定に位置付けた再稼働であるという認識でおります。

そして,この認識は,日本原電が使用前検査の申請を行った際に,原子力所在地域首長懇談会の場において確認しており,私は,日本原電はもとより,6市村の共通理解であると認識しております。

本市においては,今後とも,周辺自治体と緊密に連携を図りながら,日本原電が決してなし崩し的な再稼働を行わないよう,厳しく対応してまいります。

次に避難計画に係る御質問にお答えいたします。

私は,実効性のある避難計画と言うために最も重要なことは,「全ての市民の皆様が安心して避難できる計画であること」と考えております。そして,在宅の方はもとより,入院患者や施設入所者など,全ての市民の皆様が安心を実感し,納得できる避難計画であることが,計画の完成とする一つの基準であると強く認識しております。

そのため,「新型コロナウイルス感染症への対応」をはじめ,「災害想定の把握」や「避難先における駐車場の確保」など,多くの課題に対し一つ一つ丁寧に対応策を積み上げているところでございます。御質問の「医療機関や福祉施設の安全な避難」に向けましても,現在,国や茨城県と連携しながら,福祉車両の確保や個別避難計画の策定支援に取り組んでいるところであり,全ての施設において安全な避難が実行できる体制の構築を目指してまいります。

東海第二発電所の再稼働につきましては,全ての市民の安全な避難に向けた実効性のある広域避難計画を策定できない限りは,あり得ないものと考えております。あわせて,私は市民の皆様の安全で安心できる暮らしを守っていくという使命がありますので,引き続き議会の御意見を踏まえるとともに,水戸市原子力防災対策会議における技術的,専門的な御意見や多くの市民の声を十分考慮しながら,最終的な判断を下してまいります。