2024年6月議会 一般質問と答弁 水戸市リサイクルセンターで働く障がい者の難聴予防について

次に、令和2年から運用が開始した新清掃工場えこみっとに併設されている水戸市リサイクルセンターで働く障がい者の難聴予防について質問します。

リサイクルセンターはかつて小吹町にあった清掃工場に併設され、市が、社会福祉協議会に委託して瓶や缶の選別作業を障がい者を雇用し行ってきました。清掃工場が下入野に移転後も、障がい者の就労継続支援A型事業所と就労移行支援の作業所として定員20名の障がい者を雇用しています。

今までも、移転前の小吹にあった清掃工場では、更衣室や休憩室が男女兼用な事や、真夏には作業室の室温が連日30度から35℃と猛烈な暑さになるのにもかかわらず、冷房対策が不十分であると、家族福祉会が労働環境の改善を求め、日本共産党もたびたび議会で取り上げて改善を働きかけてきました。

先日私のもとに、現在、新清掃工場えこみっとのリサイクルセンターで働く障がい者の保護者から、リサイクルセンターで瓶や缶の選別作業中の騒音がひどく、このまま働いていたら難聴になってしまう。こういう相談がありました。そこで私は5月24日にリサイクルセンターに調査に行き確認しました。

このパネルをご覧ください瓶や缶がベルトコンベアーの上に一緒に流れてきてその中から瓶だけを障がい者が手で取り除きますが、そのベルトコンベアーの作業音が非常に大きいと同時に、瓶を取り除く作業中に瓶が割れたりぶつかりあう音が室内に大きく響きます。私が騒音測定アプリを使用し確認したところ、平均96デシベルでした。

また半年に一回リサイクルセンターで外部の会社に委託して騒音測定していますが、それを確認したところおおむね96デシベルでした。

厚生労働省の基準では95デシベルから100デシベルの場合、1日の作業時間は47分以内となっています。リサイクルセンターでは午前9時から午後3時まで作業していますから、厚生労働省の基準の約6倍とはるかに基準時間を超えています。

難聴予防に耳栓も配布されていましたが、これです。

この耳栓は100円ショップの耳栓です。私もその耳栓を使用しましたが、騒音を軽減する効果はまったく感じられませんでした。

さらにほとんどの障がい者が耳栓を使用していないと聞きました。保護者が危惧しているように、難聴になる確率がこの環境ではとても高いと感じます。

国は作業中に大きな音に曝されつづけると正常な耳の機能が損なわれる恐れがあることから、32年前には「騒音障害防止のためのガイドライン」が策定され、国を挙げて騒音防止に努めてきました。

そのガイドラインでは、騒音レベルが85デシベル以上の場合の対策として

・騒音の発生源である機械を防音カバーや防音パネルで覆う

・聴覚保護具を使用する

・半年以内ごとに1回は定期健康診断をおこなう

そうガイドラインに示されています。

先ほども話しましたが、リサイクルセンターで障がい者に配布されたのは、100円ショップの耳栓です。さらに瓶や缶を選別する機械の防音吸音対策はまったく行われておらず、聴覚検査は30年前から年に1回しか検査していません。

知的障がい者の場合、労働環境に問題があっても自分で声をあげるのは難しく、周囲が問題に気づいてからでは、対応が遅くなる事があります。労働弱者である知的障害者は、健常者以上に守りが必要な存在で、働く環境を整えることは非常に重要です。

家族福祉会は5月31日に障がい者の労働環境改善を求める要望書を水戸市に提出しました。

家族福祉会の要望を受けて、ヘッドホン型の耳栓だけは導入するとの事ですがそれだけでは不十分です。要望や指摘されてからとはいえ、どうしてこれまで対策をとらなかったのでしょうか。

リサイクルセンターで働く障がい者の労働環境改善のためには、国のガイドラインに沿った対応を求めます。

・最も大きい音が発生する瓶や缶を選別する機械を音が小さい機械に改善する事

・さらに機械を防音装置で覆うこと

・室内が密閉された空間なので音が壁に反響しさらに増幅するので室内全体を吸音パネルで覆う事

・年1回ではなく毎月の聴覚検査を求めます。障がい者にとって安心安全な働く環境にするためにも積極的な答弁をお願いします。

 

答弁:福祉部長

続きまして,水戸市リサイクルセンターにおける障害者の職場環境についてお答えいたします。

水戸市リサイクルセンターは,障害者と雇用契約を締結し,一定の支援のもとで働くことができる就労継続支援A型の事業所として,社会福祉協議会に委託を行い水戸市清掃工場内で運営をしております。

主な作業といたしましては,機械によっておおまかに選別された瓶や缶などのリサイクル品を,目視,手作業により,さらに細かく選別するとともに,資源物の品質に影響を及ぼす可能性のある不適物を取り除くなど,ごみの資源化を進める上で,重要な役割を担っております。

このため,職場環境は,缶を選別する機械からの音や,コンベヤ上で缶やびんが当たる音など,作業時において,それらを要因とする騒音が発生している状況であり,耳栓を配布して対策を行ってまいりました。

そのような中,先月,騒音による利用者の健康被害を懸念した家族会から,職場環境の改善に関する要望書の提出がごさいました。

これを受け,市としましては,遮音効果の高いヘッドホン型の耳栓を配布するとともに,聴力に関する健康診断を年に複数回実施することなどの対策を行うこととし,既に準備を進めているところでございます。

また,施設の騒音対策として,機械等に防音や吸音パネルなどを設置するという要望につきましては,安全面の観点から就労者の作業用スペース等の確保や,その効果を検証する必要がございます。

そのため,施設の運営事業者とともに防音,吸音対策を実施している先進事例を調査,研究しながら,騒音を減少させるための効果的な手法を検討してまいります。

今後とも,障害者の就労に係る課題の解決に取り組むとともに,障害者が安心して地域で生活できるよう,本人や家族などの御意見をいただきながら,きめ細かな障害者福祉施策に取り組んでまいります。