最後に水戸市の農業を守るため、市長は政府に対し、TPP交渉から撤退を求める考えがあるのか質問いたします。いま米の生産価格は60㌔16,000円もかかるのに、昨年度の米の買い上げ価格は9,000円(仮払い価格)にとどまり、農家は大変な打撃をうけました。

それにも関わらず、安倍内閣はTPP交渉に前のめりになり、アメリカに米のミニマムアクセス米77万トンも輸入すると約束し、さらに5万トンを追加するとしています。これではますます米価が下落してしまいます。

今年のTPP交渉では参加国の反対運動の高まりもあり、利害関係が対立し、次回の会議も決まらない状況となっています。甘利TPP担当大臣も「漂流状況となっている」と表明しているほどであります。

水戸市には4,820戸の農家があり、農家人口も12,584人となっており、水戸市の農業は重要な位置を占めています。水戸市の農業に壊滅的打撃をあたえるTPP交渉から撤退をもとめるべきではあませんか。答弁をもとめます。

また今年も米価が低迷し「米つくって飯食えない」という状況を打開するため、どうような対策をとるのか、水戸市独自で米に対する補助はないのか、答弁をもとめます。

以上で代表質問を行ないますが、答弁によっては再質問を行ないます。

以上

≪答弁 市長≫

次に農業行政についてお答えいたします。

まずTPP交渉についてでございますが,私はこれまで,国においては,交渉経過について国民への説明責任をしっかり果たしていただくとともに,地域農業を守る立場から,国益にかかわる重要な農産物については関税撤廃の例外品目となるよう,粘り強い交渉をしていただきたいと述べてまいりました。しかしながら,国民へ十分な情報が示されないまま,交渉が進められていることから,今年6月に開催された全国市長会議において,「環太平洋パートナーシップ協定交渉に関する重点提言」を採択し,国へ提出いたしました。この提言は,交渉内容に関する徹底した情報開示と明確な説明を行うことや,農業を含む各分野への懸念が現実のものとならないよう万全の態勢で臨むこと,さらには,農林水産業の競争力強化に向けた取り組みの着実な実行,また,食料自給率の向上に資する施策の一層の充実及び,持続可能な力強い農林水産業を確立すること,などを含む内容となっております。

その後,7月末にハワイでTPP閣僚会合が行われ,大筋合意は見送られたところでありますが,引き続き茨城県市長会や全国市長会と連携し,国会決議を遵守することなど,地方として必要なことは国に要請してまいりたいと考えております。

次に,米価についてでございますが,米価下落に対する農家への支援策といたしましては,まず,認定農業者や集落営農組織に対して,米価が下落した際に,標準的な収入と当年産米の販売収入の差額の9割を補てんする,いわゆる「ナラシ対策」がございまして,市といたしましては,対象者への戸別訪問などにより,今年度も米価下落に備えて「ナラシ対策」への加入を推進してまいりました。

その結果,加入申請件数は,昨年度の45件に対して,今年度は米の生産を主力とする認定農業者のほぼ全員にあたる109件に増加したものであります。

また,米価を維持するためには,主食用米の過剰作付を抑制する必要があることから,国・県・市が連携し,転作作物として,主食用米と同等の所得を確保できる飼料用米の作付を推進するとともに,市単独の施策として,転作作物である麦・大豆等への助成を行っている所であります。

このような取り組みを進めてきた結果,平成27年産米については,国全体で,生産数量目標の配分が開始された平成16年以降初めて,主食用米の過剰作付が解消され,目標を越えて生産調整が達成される見込みとなっておりまして,JA水戸における27年産米の一俵あたりの概算金につきましても,昨年より1,500円高い10,500円となっております。

市といたしましては,引き続き,市単独の助成措置を継続しながら,飼料用米等の作付拡大を推進するとともに,保険的制度である「ナラシ対策」への加入を推進することで,米の計画的な生産と農業者の経営安定に努めて参ります。